冷凍肉の「常温解凍はNG!」管理栄養士が教える「お肉の旨みを守る」正しい解凍法

  • 2025年06月08日公開

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こんにちは。お肉は安いときにまとめ買いして冷凍している、管理栄養士でヨムーノライターの安達春香です。

冷凍庫から出して「ちょっと常温で置いとけばいいかな」と、キッチンに放置していませんか?

実はこの“よくある解凍法”、食中毒のリスクを高めてしまうこともあるんです。

さらに、電子レンジで解凍したのに外側だけ加熱されて中はまだカチコチ……なんてこともよくありますよね。

今回は、やってはいけないお肉の解凍法と、解凍ムラを防ぐコツをわかりやすくご紹介します。

なんでダメなの?常温解凍の落とし穴

お肉を常温に置くと、表面から先に溶け始めますよね。中心部までしっかり溶けたころには、表面温度が上がってしまいます。

食中毒菌は20℃以上の暖かい場所が大好き。見た目は普通でも、菌がどんどん増殖中かもしれないんです。想像するだけでゾッとしませんか?

しかも、うまみ成分を含む赤い液体(ドリップ)がダラダラ流出。せっかくのお肉が、パサパサで味気なくなってしまいます。

「このお肉、なんか美味しくない」と感じたことがある人は、もしかすると解凍方法が原因かもしれません。

常温解凍でドリップが出やすくなる理由

冷凍肉にドリップはつきもの。どれだけ丁寧に解凍したとしても多少は出てしまいます。

なんで常温解凍するとドリップの量が増えるのか、気になりませんか?

そもそもお肉のたんぱく質は、本来なら水分をしっかりと蓄えておける優秀な「貯水タンク」のような働きをしています。

ところが、常温解凍ではこのタンクが壊れてしまうんです。

実は、お肉の中には「たんぱく質を分解する酵素」がひそんでいて、10〜40℃になると動きが活発になり、たんぱく質がどんどん分解されて、水分をつかまえておけなくなってしまいます。

出典:おいしい冷凍研究所「魚介類・肉類は保存・解凍中にタンパク質が変性してドリップが出る」

「途中までレンジ、あとは常温」も要注意

「レンジで半分だけ解凍して、あとは常温に放置すれば節電になるかも」と思ったことはありませんか?

実は、これもNG。電子レンジは加熱ムラができやすく、一部が中途半端に温まっている可能性があります。

その状態で長時間常温に置くと、食中毒菌が増えてしまうかもしれません。

節電のつもりが、体調を崩す原因につながる場合もあるので避けてくださいね。

解凍ムラが気になるときは?

お肉を冷凍するときは、なるべく薄く平らにしておくのがポイント。そうしておけば、解凍スピードが早くてムラが出にくくなります。

ただ、どれだけ薄くしても、電子レンジで解凍する場合はムラが起きやすいのが難点。一部は火が通って中はカチコチなんてことがよくあります。

解凍ムラをちょっとでも抑えたいなら、加熱途中で上下をひっくり返しましょう。

それでも確実に均一にするのは難しいので、包丁で切れるくらいのかたさ(半解凍)で止めて、そのまま調理してしまうのもおすすめです。

結局どうするのが正解?

理想は冷蔵庫でじっくり解凍。冷蔵庫なら2~5℃をキープできるので、菌の繁殖を抑えられます。

8〜12時間かけてゆっくり溶かせば、ドリップも最小限。「明日はお肉料理にしよう」と思ったら、寝る前に冷蔵庫に移しておきましょう。

どうしても急ぎの時の裏技

「お肉を使おうと思ってたのに、冷蔵庫に移すの忘れてた!」なんてこともありますよね。

そんなときは、次の解凍方法がおすすめ。

  • 氷水解凍:冷たい氷水で解凍(2〜3時間)
  • 流水解凍:密閉袋に入れて流水にさらす(20〜30分)
  • 電子レンジ解凍:上記のコツを使って慎重に

時間があれば氷水解凍、急ぎのときは電子レンジと使い分けてみてください!

常温解凍はこれで卒業

何気なくやっていたお肉の常温解凍。

楽ちんですが、食中毒の原因になったり、せっかくのうまみが逃げてしまったり、デメリットがたくさんあります。

解凍方法を変えるだけで、お肉の美味しさが格段にアップします。ぜひ試してみてくださいね。

この記事を書いた人
おいしいと健康を両立させたい管理栄養士ライター
安達春香

趣味は旅行と食べること。好きなものを一生健康に食べていたくて管理栄養士免許を取得しました。「おいしいものはガマンしない」をモットーに、栄養の知識やお悩み解決食材などをわかりやすくお伝えします!

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