貯める?それとも備える?実は分かりにくい「こども保険」で得する最適なプランの選び方とは
- 2023年06月23日更新
こんにちは、ファイナンシャルプランナーの鈴木です。
子どもが生まれると、よく聞くようになる「こども保険」。
こども保険とは、どのような保険なのでしょう。調べてみると、学資保険と同じものとして説明されているケースもあれば、保険会社が販売している商品名そのものであるケースがあります。
また、2017年に小泉進次郎氏ら自民党の若手グループが提言した「こども保険」もあります。これは社会保険として創設することを目指したものなので、先に紹介したものとはまったく性質が異なります。
このように、「子ども保険」といっても、その言葉が持つ意味が分かりにくいことが多い保険です。そこで今回は「こども保険」についてまとめました。
こども保険は何を目的に加入するもの?
まず「こども保険」の定義をしておきましょう。
この記事では“子どもを被保険者とする保険”で、“子どもの教育資金の積み立てを目的に含む民間の保険”を「こども保険」と呼ぶことにします。
「子どもの教育資金」を準備するだけであれば、実は銀行の定期預金でも可能。それが一番堅実です。
でも、あえて“保険”という形にすることで、子どもに関する様々な保障や、親にもしものことがあったときにも備えられるようになります。では、具体的にどんな商品(プラン)があるのか、見ていきましょう。
貯める?それとも備える?子ども保険の種類とは
とにかく貯めたい人には「貯蓄型」
こども保険は、子どもが小さいうちに加入(商品によっては子どもが生まれる前から加入できるものもあります!)し、17、18歳になったタイミングで親がお金を受け取る仕組みがベースになっています。
子どもが成長するまでの期間を使ってコツコツとお金を貯めていくイメージです。わき目もふらず、ひたすらお金を積み上げていくことに特化したこども保険の商品(プラン)は貯蓄型という呼び方をします。
貯蓄型には特に大事な「返戻率」とは?
貯蓄型を希望する人が保険を選ぶ際に特に注目したいのが「返戻率(へんれいりつ」です。これは自分が払い込んだ保険料総額に対する受取金額の割合のことです。
たとえば保険料総額が280万円、総受取金額が300万円なら返戻率は107.1%になります。貯蓄型の商品は、ほとんど返戻率だけを基準に決める、と言っても過言ではありません。それほど重要な指標です。
保険機能を活かした「貯蓄型+保障型」
お金をコツコツ貯めながら、もしもの時にも備えたいという人には、貯蓄と保障がワンパッケージになっている「貯蓄+保障型」の商品(プラン)もあります。子どもが病気になったときや、友だちを誤ってケガさせて賠償責任が生じてしまったときなど、子どもに起因する予期せぬ出費に備えるものです。
こうした保障は、契約者が払う保険料の一部を使って行われるので、保険料のうち貯蓄に回す分が目減りし、保険の総受取金額は保障をつけないプランよりも少なくなります。つまり「返戻率」が低くなるということです。
「貯蓄+保障型」を希望する人は保障内容と返戻率のバランスをみて商品を選ぶことが重要になります。
お金を受け取るタイミングは意外と柔軟
子どもの教育費用が必要になるのは大学入学時だけとは限りません。早い人だと中学や高校入学時点でまとまったお金が必要になるでしょう。こども保険のなかにはそういった事情を考慮したプランを用意しているものもあります。
お祝い金や進学学資金などと呼ばれるもので、あらかじめ決められたタイミングでお金を受け取れるよう、契約時に決めておきます。ただし、大学入学時に一括して受け取るプランと比べると、保険会社にお金を預ける期間が短くなるので「返戻率」は低くなります。
親にもしものことが…。保険料免除はこども保険の切札
親にもしものことがあった場合はどうなるでしょうか。
一般的なこども保険では契約者である親が亡くなった場合、それ以降の保険料の払い込みは免除されます。もちろん、学資金は契約どおりに受け取れます。
(商品によっては契約者の死亡による保険料免除を特約で外せるものもあります。その場合は返戻率が高くなりますが、外しても問題ないかは慎重な判断が求められます)
また、契約者がなくなった場合に保険料免除に加え、子どもが育英年金を受け取れる特約をつけられる商品もあります。この特約は保険料の一部を使って行われるので、返戻率が低くなることが予想されます。特約をつける場合は返戻率のシミュレーション結果をふまえて判断することが大切です。
返戻率アップにこだわるプランの選び方
こども保険では「貯蓄型」、「貯蓄+保障型」のどちらを選ぶ場合でも、返戻率がより高くなればベターです。同じ商品でもプランによって返戻率がアップする方法もあるので紹介します。
1つめは、保険料の払込期間を短くする方法です。
一般的には学資金の受取開始までを払込期間とする方法が多いのですが、これを10年、5年と短くすればするほど返戻率は高くなります。ただし払込期間が短くなる分、毎月払う保険料の負担はアップします。
2つめは、保険料をまとめて払う方法です。具体的には保険料を月払いではなく年払いにします。それだけで返戻率は高くなります。
3つめは、学資金の受け取りを後ろにずらしたプランを選ぶことです。大学入学時に一括で受け取るのではなく、年金という形で入学後に何回かに分けてお金を受け取るプランにしておけば、それだけ長く保険会社にお金を預けていることになるので返戻率は高くなります。
保険リスクは契約前に見極めて!
こども保険に共通するリスクを確認しておきましょう。
まず、子ども保険は、保険商品ですので、仮に購入先の保険会社が倒産したら元本保障されない可能性があります。株式のようにまったく価値がゼロになることはありませんが、それでも元本保証がないリスクは考慮しなければなりません。
また、どうしても学資保険を解約しなければならないことになった場合、払い込んだ保険料総額よりも受け取る金額のほうが少なくなることがほとんどです。あらかじめそうした事態が予想されるのであれば、学資保険ではなく銀行預金にしておくほうが無難です。受取金額を高く設定しすぎない、というのも中途解約リスクの予防法としては有効です。
こども保険を販売している主な会社
こども保険は、多くの金融機関等で取り扱いがあります。
たとえば生命保険会社であれば4大生命保険会社(日本生命、明治安田生命、住友生命、第一生命)は当然のようにこども保険をラインナップしています。日本生命のように商品を貯蓄型の「ニッセイ学資保険」と貯蓄+保障型の「ニッセイこどもの保険げ・ん・き」に分けている会社もあればひとつの商品のプランで内容を細かくわけている会社もあります。
ほかには、フコク生命「みらいのつばさ」は兄弟割引の特典が特徴的な商品です。
また共済でもこども保険を扱っているところがあり、JAの「こども共済 学資応援隊」は祖父母が契約者になることもできます。このように各社様々な商品、プランをそろえていますので、目的や家族構成にあったものを選ぶようにしましょう。
出版社で5年、Webメディアで10年の勤務後に独立。独立後最初の確定申告で大きくつまづき、以後、本業のかたわら独学で社会保険、不動産、金融等の知識習得に励む。2018年、ファイナンシャルプランナーに。得意ジャンルは不動産で、実生活では中古マンションの購入、リフォーム、賃貸、売却を経験。やさしい日本語でにっぽんの制度や仕組みを説明する「やさしい にっぽん」を企画・運営。ほか執筆記事にパートだから社会保険に加入したくない。【2022年の条件は?】など。
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