【2023年】啓蟄(けいちつ)とは?俳句にも使われる意味、食べ物、風物詩

  • 2023年01月13日更新

厳しい寒さを耐え忍び、そろそろ暖かい季節が恋しくなる頃にやってくる「啓蟄(けいちつ)」という言葉。啓蟄は中国伝来の暦「二十四節気」の1つであり、春を感じられる物事が多く起こるとされる時期を表します。

暦上では啓蟄の2つ前の節気「立春」が春の始まりですが、虫が動きはじめるという意味をもつ啓蟄は、私達が肌で感じられる春の始まりかもしれません。

この記事では、春の訪れを感じられる啓蟄の意味や食べ物、風物詩について解説します。

啓蟄とは

啓蟄とは二十四節気の1つで、春の中では3番目にあたる節気です。寒さが緩み、虫たちが土の中から出てくる季節を表し、春の季語としても使われます。 啓には「開く」や「開放する」という意味があり、蟄には「寒い時期に虫が土の中に籠もる、隠れる」という意味があります。

啓蟄の言葉が持つ意味どおり、この時期になると太陽が当たって雪解けが進み、土の中も暖かくなって虫たちが春を感じて動き出しはじめるのです。一歩ずつ春に近づいていることの現れですね。

2023年の啓蟄はいつ?

啓蟄の日付は3月5日~6日となることがほとんどです。2023年の啓蟄は3月6日、期間は3月6日~3月20日となります。期間は二十四節気に基づき、次の節気である春分(2023年は3月21日)までの15日間と定められています。

二十四節気は季節の移り変わりを知る暦

啓蟄の日付が3月5日~6日のどちらかで固定されていない理由は、二十四節気が太陽の運行に基づいているからです。太陽は毎年同じ日、同じ時間に同じ位置にあるとは限りません。そのため啓蟄に限らず、毎年二十四節気の日付は変動します。

そもそも二十四節気とは、古代中国で農業の種まきや収穫などの目安を分かりやすくするために作られたもので、1年を24等分にしてそれぞれの季節に名前を付けた暦のことです。その後、平安時代に日本に渡り、現代でも節気の時期がくるとニュースなどで紹介されています。

「啓蟄」と聞いてピンとこない方も居るかもしれませんが、二十四節気は普段から馴染み深いものも多く、意味はわからないけど聞いたことならあるというものが多いかもしれません。たとえば、四季の始まりを示す「立春」「立夏」「立秋」「立冬」は節気の中でも重要とされているため、よくニュースなどでも紹介されています。

  • 春… 立春・雨水・啓蟄・春分・清明・穀雨
  • 夏… 立夏・小満・芒種・夏至・小暑・大暑
  • 秋… 立秋・処暑・白露・秋分・寒露・霜降
  • 冬… 立冬・小雪・大雪・冬至・小寒・大寒

ほかにもよく耳にするのが「春分」「夏至」「秋分」「冬至」です。この4つの節気は四季の中心と定められている節気で、春分と秋分は昼と夜の長さが同じ日、夏至は1年の中で最も昼の時間が長い日、冬至は1年の中で最も昼の時間が短い日のことをいいます。

昼間の時間とは太陽が出ている時間のことを指すので、二十四節気は太陽の動きに基づいて定められているということがわかりますね。

ちなみに、啓蟄の次の二十四節気は「春分」。春分の日が休みである理由や、春分の日の3日前から始まる「春彼岸」について、こちらの記事で紹介しています。

【ほかの二十四節気を知りたい方はこちらもチェック】

中国では「驚蟄」と呼ばれている?

実は二十四節気が作られた中国では、「啓蟄」ではなく「驚蟄」と言われているのです。元々は中国でも「啓蟄」と言われていたのですが、「諱(いみな)」という習慣が大きく関わっています。

「諱(いみな)」とは、貴人や死者などの名を呼ぶことを避ける慣わしで、王や皇帝の場合は王朝が続く限り、もしくは彼らが生きている限り名前と同じ文字の使用を避けます。

中国の皇帝に啓蟄の「啓」が使われていた時代があり、その当時は似た意味の漢字として「驚」が用いられていました。その後、一旦は「啓蟄」に戻り、この時に日本に伝わります。しかし、慣れ親しんだ「驚蟄」の方がよいということで、中国では再び「驚蟄」に戻されたのです。

中国では今でも「驚蟄」の節気で親しまれており、このことが中国と日本での節気名が異なる理由として知られています。

啓蟄の時期に食べるものは?

冬至の日には「寒さに耐え元気に頑張ろう」という願いを込めてカボチャを食べる風習が根付いていますが、啓蟄の時期に食べるものはあるのでしょうか。

季節の食材を食卓に並べたいという方は、啓蟄の時期に旬を迎える食材をチェックしてみましょう。

山菜(蕨や薇など)

啓蟄の時期になると雪解けも進み、山菜が旬を迎える頃です。「薇(ぜんまい)」や「蕨(わらび)」など春を感じるような山菜を食卓に並べてみてはいかがでしょう。

【要チェック!記事後半に“山菜の天ぷら”レシピ】

たけのこ

また、山菜と同様にたけのこも旬を迎える時期。啓蟄の頃にはすでにしっかり成長したたけのこを見かけるようになります。歯ごたえもしっかりした旬のたけのこは天ぷらやたけのこご飯などにして食べたら美味しいですよ。

【簡単!たけのこレシピ】

サヨリ

魚介類では「サヨリ」が旬の季節です。ほっそりとした姿が印象的なサヨリはほとんど食卓に登ることがありませんが、啓蟄の時期になるとスーパーなどでも見かけるようになります。

お刺身や天ぷらなどが美味しく食べられるので、季節の食べ物として取り入れてみてはいかがでしょう。子どもたちの食育にもなりますね。

啓蟄の風物詩は?

啓蟄は春の訪れを感じられる季節であり、冬じまいをする時期でもあります。この頃になると見られる風物詩を紹介します。

菰(こも)はずし

菰はずしとは、害虫から木を守ることを目的に付けられた「菰」を外す作業のこと。11月頃に松の木の地上から2メートルの高さの位置に菰を巻き付けることを「菰巻き」といいます。

菰巻きは江戸時代から伝わる伝統的な害虫駆除の方法でしたが、近年の研究結果では菰を巻いても害虫駆除の効果はないことが判明しました。

菰に虫などが集まることが分かり、逆効果となっているケースも多く見られたため、菰巻きを辞めたところも多くあるようです。現在でも続けているところでは江戸時代から伝わる冬の風物詩として大切に行われています。

虫出しの雷

虫出しの雷(むしだしのかみなり)は、二十四節気の春を示す最初の節気「立春」を過ぎてから初めての雷のことをいいます。俳句の季語でもあり啓蟄の近くに良く鳴るため、啓蟄の風物詩として知られています。

虫出しの雷が鳴ることで、土の中で眠っている虫たちが驚いて目覚め、地上に出てくることからその名が付けられました。

立春を過ぎると大気が不安定になり、雷が鳴ることが多く雨の日が続くこともあります。しかし、雷は虫たちの目覚まし時計となり、一雨降るごとに暖かさが増して春の訪れを知らせる兆候になります。

天気が悪いと気分もブルーになりがちですが、春に鳴る雷や雨は、冬眠している虫や動物たちが動き始めて、暖かい季節に一歩ずつ近づいている印です。啓蟄の時季の雷や雨を見て、季節の移り変わりを楽しむのも人生の醍醐味といえるでしょう。

啓蟄の頃に旬を迎えるもの・風物詩

2023年の啓蟄は3月6日、期間は3月6日~3月20日となります。期間は二十四節気に基づき、次の節気である春分(2023年は3月21日)までの15日間と定められています。

この頃旬を迎えるものといえば、桜よりも早く開花する梅やたけのこ。季節の行事には、3月3日のひな祭り、3月21日の春分の日、春分の日の3日前から始まるお彼岸があります。

他にも、春を楽しむ風物詩をこちらの記事で紹介しています。

まとめ

今まで「啓蟄」という言葉を聞いたことがなかった方も、季節を感じられる節気について興味が湧いてきたのではないでしょうか。

啓蟄という言葉だけを聞くと難しく考えてしまいがちですが、「虫が出てくる季節なんだな」と内容を理解するだけでとても身近なものに感じますよね。

寒い冬も終盤に差し掛かり、温かい陽気が待ち遠しくなる3月。散歩をしながら虫出しの雷で目覚めた虫や山菜を探してみてはいかがでしょう。

【1年の中で最も寒い日は?】大寒 解説記事

1年の中で最も寒い時期として使われている「大寒(たいかん)」という言葉はご存知ですか?大寒にスポットを当てて二十四節気や大寒と隣り合う節気「小寒」についてご紹介していきます。

【日本で作られた暦“雑節(ざっせつ)”の解説はこちら】

この記事を書いた人
無ければ創作する!自然大好きママライター
TOMO

超のつくめんどくさがり屋ということもあり、プチミニマリストで時短テクが大好き!普段は一児の母としても奮闘中。ハンドメイドをするのも、見るのも好きな転勤族の妻です!

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