お肉の消費期限、加熱や冷凍で延びる?プロが教える正しい“期限の考え方”
- 2025年11月07日公開
こんにちは、ヨムーノ編集部です。
最近、ネットで「お肉は加熱したり冷凍したりすれば消費期限が延びるの?」という投稿が話題になっていました。
筆者も「勝手に延びるでしょ」と思い込んでいたのですが、「そう言われてみたら根拠ゼロ……」と冷や汗をかいてしまいました。
一見もっともらしいこの説、実際のところはどうなのでしょうか。
気になったので、食肉のプロ・中村牧場さんに直接聞いてみました!
中村牧場さんに真相を直接、聞いてみた!
今回教えてくれたのは、有限会社中村牧場。
1958年の創業以来、国産豚肉に特化した食肉卸会社として、豚肉の仕入れから製造加工、販売まで行われています。
埼玉県・群馬県・栃木県を中心とした養豚農家さんからさまざまな品種や特徴の豚を仕入れ、細やかかつていねいに加工している、まさに豚肉のプロ!
日本の食卓の笑顔のために、品質を重視した製造販売に日々取り組まれています。
スーパーの豚肉パック、消費期限はどうやって決まっている?

Q.スーパーに並んでいる豚肉パックの消費期限は、どのように設定されているのでしょうか?
豚肉パックの消費期限は、加工場ごとの試験結果に基づいて設定されています。
加工場の温度管理や衛生管理の状態、原材料(※1)の状態が食肉販売業者(※2)によりさまざまであるため、試験機関などに依頼して行います。
(※1)原材料:枝肉(頭、しっぽ、四肢、皮、内臓などを取り除き、骨と肉のみになった状態)や部分肉(枝肉から骨や脂を取り除いた、部位ごとの肉)
(※2)食肉販売業者:加工場やスーパーの精肉加工場など

主な設定要素は、
- 微生物試験(製造日からの微生物増殖に伴う品質劣化の評価)
- 理化学試験(酸化などの品質劣化の評価)
- 官能試験(色、におい、味、食感といった五感での評価)
などです。
これらの試験結果に基づき、「安全係数」を考慮して、実際に安全性が確認された期間よりも短く設定されます。
これは、実際の流通や保存のわずかな変動を考慮して、安全性をより確実にするためです。
一般的な目安としては、スーパーで販売されるチルド(冷蔵)の精肉の場合、パック詰めされた日から2~5日程度で設定されることが多いです。
ただし、これは一般的な傾向であり、加工方法や包装技術によって異なります。
「産地」や「銘柄」で違いはある?消費期限を左右する意外なポイント

Q.産地や銘柄によって、消費期限の設定に違いはありますか?
基本的に、産地や銘柄による消費期限の設定に違いはありません。
消費期限の設定は、お肉の質そのものよりも加工・包装方法、保存温度に大きく左右されます。
①温度が下がるほど長持ち!

冷蔵(10℃)では3日前後しかもちませんが、同じ肉でも4℃で6日前後、0℃で7日前後まで延長されます。
わずかな温度差で2倍近い差が出ることもあります。
②加工が進むほど短くなる!

同じ温度でも「かたまり肉」より「スライス肉」、さらに「ひき肉」は短いです。
例:4℃で保存した場合
- 豚かたまり肉:6日前後
- 豚スライス肉:5日前後
- 豚ひき肉:3日前後
加工が進むほど空気や菌に触れる面積が増え、傷みやすくなることがわかります。
③肉の種類でも違う!

鶏肉は他より短く設定されやすい傾向があります。
肉の性質による違いも一因ですが、温度・加工状態の影響の方が大きいです。
例:4℃でスライス肉を保存した場合
- 牛肉:6日前後
- 豚肉:5日前後
- 鶏肉:4日前後
また、トレー包装(よく見るトレーにのせてラップで包む包装)より、真空パックやスキンパックのほうが鮮度を保ちやすいため、消費期限を長めに設定できることもあります。
消費期限“当日”のお肉を加熱したら、期限は延びる?
Q.消費期限が「今日」の豚肉を加熱調理した場合、その消費期限は「今日中」となるのでしょうか。それとも加熱により数日延長される可能性はありますか?

結論:加熱しても「今日中」が原則!
「今日」が消費期限の豚肉を十分に加熱調理した場合、その調理済みのものは少し延長することは可能ですが、衛生的な観点からしても、その日中に食べきることがベストになります。
豚肉を加熱することで、微生物や菌は死滅しますが、加熱の温度が低いと残ってしまっている可能性もあります。
安全に火を通すには「中心部までしっかり火を通す(中心温度75℃で1分以上)」ことが大切です。
調理に使う豚肉の厚さ・大きさによって調理の目安は変わってきます。こま切れ肉などの場合には、比較的火が通りやすいですが、赤身の部分が完全になくなり、均等に加熱ができると安全です。

保存容器に移したら、速やかに冷まし、その後すぐに冷蔵庫で保存してください。安全性を保つため、食べる際には電子レンジなどで再加熱し、できるだけ早めに召し上がることをおすすめします。

特にカレーやシチューなどの煮込み料理などで発生しやすいウエルシュ菌などの一部の食中毒菌は、熱に強い芽胞(がほう)という形で存在します。
これらは、冷却中の温度帯(約20℃〜50℃)はウエルシュ菌などの増殖最適温度と重なり、急速に菌が増える可能性があります。
再加熱でも死滅しない菌となります。
参照:公益社団法人日本食品衛生協会「HACCPの考え方に基づく衛生管理のための手引書」
冷凍すれば安全?お肉の“期限延長”は本当にできるのか
Q.消費期限が「今日」の豚肉を冷凍保存した場合、やはり「今日中」となるのでしょうか。それとも冷凍することで数日延長されるのでしょうか?

まず消費期限とは
消費期限とは定められた方法により保存した場合において、腐敗・変質その他の品質の劣化に伴い安全性を欠く恐れが無いと認められる期限を示す年月日です。
購入時に商品ラベルに記載された保存温度で家庭の冷蔵庫に保管した場合に、安全性を欠く恐れが無い期限になっています。
結論:一定期間延長できるが、“劣化は止まらない”
冷凍保存することで、ラベルに記載されている保存方法と異なるため、冷凍することで一定期間延長されると考えられます。
冷凍保存は、冷凍することで、微生物の増殖は停止できます。しかし、空気中の酸素による酸化での品質の劣化(冷凍焼けなど)は少しずつ進んでしまいます。
1回の調理に使う分に分けてラップに包んでから冷凍すると、解凍しても使い切れるのでおすすめです。おおよそ2週間〜1か月を目安に食べきることをおすすめします。
まとめ
今回は、食肉のプロ・中村牧場さんに「お肉を加熱や冷凍したら消費期限が延びるのか?」という疑問に答えていただきました。
加熱で菌を減らしたり、冷凍で保存期間を延ばしたりすることはできますが、魔法のように新鮮な状態が続くわけではないことがわかりました。
安全においしく食べるには、やはり消費期限内が基本ですが、調理後の保存や冷凍などライフスタイルに合わせた方法を取り入れて、最後までおいしくいただきましょう。
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