【人参の栄養】皮まで食べても問題なし?消化・食感など管理栄養士が解説

  • 2024年10月01日更新

料理によく登場する定番野菜の一つ・にんじん。「皮はむかないでもOK」「皮も食べられる」なんてウワサには聞くけど、結局皮をむくべきなのかどうかわからず、迷ったことはありませんか?

にんじんの皮をむく・むかない問題について、管理栄養士の筆者が解説します。

にんじんの皮は食べられる?

結論からお伝えすると、にんじんの皮は食べても問題ありません。

実はにんじんの皮は、収穫後に洗浄される際にほとんどはがれてしまい、スーパーで販売されているものには薄皮しか残っていません。一般的に野菜の皮は食感や見た目の問題でむくことが多いですが、にんじんの場合は気にならなければ皮ごと使ってOKです。

にんじんは薄皮も食べられるので、皮を使った料理を作ってもいいでしょう。シャキシャキとした歯ごたえのある食感を楽しめますよ。極端に消化が悪いなどということもないので、安心して食べられます。

にんじんの皮を食べるメリット

食べても問題ないとお伝えしたにんじんの皮ですが、そもそも食べるメリットはあるのでしょうか?

β-カロテンが摂れる

にんじんに含まれるβ-カロテンは、野菜の中でもトップクラス。特に皮の近くに多く含まれているので、皮を食べることでβ-カロテンをたっぷりと補給できます。

β-カロテンは体内でビタミンAに変換されて作用しており、不足すると免疫機能が低下したり、粘膜が乾燥して感染症にかかりやすくなったりすることも。またβ-カロテンには抗酸化作用があり、肌の老化防止をサポートする働きもあります。

食品ロスを減らせる

皮の部分を捨てずに食べることで、食品ロスが減らせます。

日本国内で年間600万トン以上出る食品ロスのうち、約半分の300万トンは家庭から出ているといわれています(※)。捨てられたごみにはまだ食べられるものも含まれており、一人ひとりの心がけが大切です。

また食品ロスを減らせるだけでなく、皮を使ってもう1品作れば食費の節約にも繋がりますね。

※参考:消費者庁「食品ロスを減らしましょう」

料理の時短に繋がる

にんじんの皮をむかずに料理すれば、皮をむく時間を省けるので時短に繋がります。忙しいときは、料理にかかる時間を1分1秒でも時短したいもの。皮をそのまま料理することで、時短しながら栄養も補えて一石二鳥です。

農薬の心配はない?にんじんの皮を食べる際の注意点

「にんじんの皮に農薬が残っているのでは?」と不安になるかもしれませんが、ご安心を。食品中に残留する農薬については、口に入っても人の健康に影響がないように国がきちんとした基準を定めており、販売されているにんじんはその基準をクリアしています。

そもそも、にんじんは収穫したあとに洗浄してから出荷されるため、表面に農薬が残っていることは少ないと考えられます。汚れが残っているか気になる方は、念のため流水でしっかりと洗浄してから調理するとよいでしょう。

定番のにんじん料理、皮はついていてもOK?

にんじんを使った定番料理にはさまざまなメニューがありますが、皮つきのまま調理してもおいしく食べられるのでしょうか?料理ごとに解説します。

カレー

にんじんをやわらかくなるまで煮込むため、皮つきのままでOKです。見た目もカレーの中にまぎれるので、皮がついていても気にならないでしょう。

筑前煮(煮物)

カレーと同様、にんじんをしっかりと煮込むため、皮つきのままで問題ありません。ただし見た目をきれいに仕上げたい場合は皮をむく方がいいでしょう。

しりしり(炒め物)

皮のシャキシャキとした食感を楽しめるため、皮がついていてもおいしくいただけます。ただし、にんじんの皮はやや硬く火が通りにくいため、皮のある部分とない部分では硬さのムラができてしまうことも。気になる方は皮をむいて調理しましょう。

スムージー

にんじんを生のままミキサーにかけて作るスムージーは、皮をむくのがおすすめです。皮つきのままミキサーにかけると、皮の硬い部分が残りやすく、口あたりが悪くなってしまいます。

節約や食品ロス削減に!にんじんの皮を使ったメニュー

むいた後のにんじんの皮。食べられるのに捨てるのはもったいないので、もう一品作ってみませんか?

にんじんの皮で作る「塩きんぴら」

にんじんの皮のシャキッとした食感が残り、噛みごたえのあるメニュー。シンプルな味付けでにんじんの味をそのまま楽しめます。

今回ご紹介するレシピで使うにんじんの皮は、歯ごたえを出すためにピーラーでなく包丁でむいたものを使っています。大根の皮などがあるときは、一緒に調理するのもおすすめです。

材料(作りやすい分量)

にんじんの皮…1本分
ごま油…適量
○酒…小さじ1
○鶏がらスープの素(顆粒)…小さじ1/3
○塩…少々
鷹の爪(輪切り)…少々
白いりごま…少々

作り方

1. にんじんの皮を千切りにする。

2. フライパンにごま油を熱し、弱めの中火でにんじんの皮を炒める。

3. しんなりしてきたら○の調味料(酒、鶏がらスープの素、塩)を加える。仕上げに鷹の爪、白いりごまをふる。

野菜の皮で作る出汁「ベジブロススープ」

にんじんの皮や切れ端、ほかの野菜の余った皮や芯で、野菜のうまみと栄養がつまった出汁がとれます。この出汁を使ってスープを作るのもいいですし、カレーや煮物を煮込むときの煮汁としても使えます。

材料(作りやすい分量)

野菜の皮や切れ端…両手1杯分(約200g)
水…1,000ml
酒…大さじ1

作り方

1. 鍋に野菜の皮や切れ端などを入れ、水と酒を入れる。

今回はにんじんの皮とヘタ、たまねぎの皮、大根の皮と葉、長ねぎの青い部分を使用

2. 火にかけ、沸騰するまでは強火で、沸騰したら弱火にして20分ほど煮込む。

3. ザルなどでこす。

冷蔵庫に入れておけば3~4日もつので、まとめて作っておくといいでしょう。この分量で700~800mlほどの出汁が作れます。

出汁をとる野菜は何でもOKで、ほかにはかぼちゃの種やワタ、じゃがいもの皮、ブロッコリーの芯、トマトのヘタなども使えます。

出汁をとったあとのにんじんの皮や大根の皮などは、スープの具材や、細かく切ってハンバーグに混ぜ込むなどして再利用できます。

にんじんの皮をおいしくいただいて、栄養をたっぷり摂り、食品ロス削減にも役立てましょう。

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【皮むきが面倒という方におすすめ!】

この記事を書いた人
広田千尋

管理栄養士。病院や保健センターで赤ちゃんから妊婦、高齢者まで幅広い年代の栄養をサポート。現在はフリーランスとして、栄養&食に関する記事制作やレシピ制作、オンラインダイエットカウンセリングなどを行っています。「試してみようかな~?」と思ってもらえる記事をお届けします。

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