iDeCoの掛金の所得控除、どのように手続きすればいい?

  • 2023年06月27日更新

こんにちは、くふうLive!編集部です。
個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)では、積み立てた掛金全額に所得控除を適用することができます。

ただし、税金の還付を受けるためには所定の申告を行う必要があり、申請をしないと控除が受けられなくなってしまいます。そこで、掛金の所得控除について、仕組みや手続き方法をご紹介していきます。

監修・執筆者紹介

【経済ジャーナリスト】酒井富士子[サカイフジコ]

金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。 リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。
酒井富士子

iDeCoの所得控除の仕組みとは?

所得税や住民税などの課税金額は、年収から一定金額を差し引いた「課税所得」から算出されます。差し引く金額の1つが、年収を稼ぐために必要であったと想定される「経費」です。

ただし、会社員の場合には、いちいち経費を申告するのではなく、給与水準に応じて決められた額が「給与所得控除」として引かれます。

これに加えて、条件によって医療費控除や生命保険料控除なども差し引いた金額が、実際に課税の対象となる金額、つまり課税所得となります。同じ年収だったとしても、課税所得が少なければ引かれる税金も少なくなり、実質的に手取りが多くなるのです。

iDeCoの掛金は全額所得控除の対象のため、例えば、毎月2万円を積み立てた場合、1年で24万円が課税所得から差し引かれることになります。

これにより、課税所得が少なくなり、結果として税金を安く抑えることができるという仕組みです。自分の老後資金を積み立てながらも、税金面で得をすることができるというのは、iDeCoならではのメリットといえます。

しかし、この恩恵を受け取るのに忘れてはいけないのが、年末調整や確定申告での手続きです。続いては、その内容について解説していきます。

会社員や公務員の場合は年末調整で手続きできる

年末調整の手続きに必要な書類は、「小規模企業救済等掛金払込証明書」と、年末調整に使う「給与所得者の保険料控除申告書」です。

小規模企業救済等掛金払込証明書は、iDeCoの加入者が年間で払った総額の掛金の証明書です。初回の掛け金を払い込んだ時期に応じて、毎年10月下旬から翌年1月下旬ごろにかけて送付されますので、届いたら大切に保管しておきましょう。

職場から年末調整の用紙を受け取ったら、右下に記載のある「小規模企業救済等掛金控除」の欄にiDeCoで積み立てている掛金額を記入します。記入が完了したら、事前に送付された小規模企業救済等掛金払込証明書を添付し、勤務先に提出します。

ただし、拠出を給料天引きにしている場合には、給与計算の際にすでに所得控除が完了しているので、上記のような年末調整での手続きは不要です。小規模企業救済等掛金払込証明書も送付されませんので、注意しましょう。

また、払込時期の関係で小規模企業救済等掛金払込証明書の送付が年末調整に間に合わない場合には、確定申告の手続きが必要ですので、以下の内容を参照して手続きを行ってください。

自営業者の場合は確定申告の手続きが必要

自営業者や専業主婦(夫)は、確定申告を行って所得控除を受けます。確定申告のできる時期は毎年2月16日〜3月15日ごろなので、時期を確認して申告漏れのないようにしましょう。

手続きに必要な書類は、国民年金基金連合会から届く「小規模企業共済等掛金払込証明書」と、確定申告書です。

まず、確定申告書の第一表と第二表にある「小規模企業救済等掛金控除」の欄にiDeCoで積み立てた掛金の総額を記入します。第二表にある「掛金の種類」には、「個人型確定拠出年金」と記入しておきましょう。

あとは書類の手順に沿って支払金額、合計を計算し、記入します。小規模企業共済等掛金払込証明書を添付のうえ、税務署に書類を提出したら手続きは完了です。

還付金は、4〜5月ごろに指定の口座に振り込まれます。振込日が決まると、ハガキで金額の決定の通知書が届きますので、申請に間違いがないか確認しましょう。

手続きする際の注意点

手続きに際して計算が面倒な人は、国税庁のホームページに掲載されているフォームを利用するのも1つの手です。各項目に金額を順次記入していくだけで自動計算され、還付金額も求められます。

うっかり計算ミスもありませんので、手軽に済ませたい方は国税庁ホームページ内の「確定申告書等作成コーナー」を利用してみてください。こちらでは計算だけでなく、WEB上で確定申告書類を作成し、印刷・捺印して送付することも可能です。

また、自営業者等の場合には「確定申告書B」が必要ですが、年末調整が間に合わなかった会社員・公務員や、払込証明書の送付以降で掛け金学の変更があった会社員・公民の場合には「確定申告書A」が必要となります。書類が適切か確認をしましょう。

もし、小規模企業共済等掛金払込証明書を紛失してしまった、手違いがあり届かなかったといった場合には、再発行の手続きをとることができます。

国民年金基金連合会や加入している運営管理機関(金融機関)に連絡して再発行してもらいましょう。再発行には少し時間がかかるので、紛失に気づいた場合にはなるべく早めに手続きを行いましょう。

必要書類は紛失に気をつけて、大切に保管すること

iDeCoは申請をしなければ控除を受けることができません。必要な書類はきちんと保管し、適切な時期に申請ができるようにしておきましょう。

また、業態や扶養の有無などによっても申請方法や条件が変わることがあるため、詳細についてはiDeCoの公式ホームページを確認するか、加入先の運営管理機関に問い合わせるようにしてください。

※2020年1月現在の情報です。

この記事を書いた人
経済ジャーナリスト
酒井富士子

経済ジャーナリスト/
金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。
日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。
リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。
「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。

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