団塊世代の定年退職がラッシュアワーの通勤電車にも影響?

  • 2021年03月22日更新

団塊世代サラリーマンの定年退職が2012年から始まっています。この世代が住宅を取得したころは、バブル期真っ盛り。当時、都心のマンションは「億ション」と言われ、サラリーマンには手の出ない物件でした。そのため、郊外にある新築住宅やマンションを購入し、そこから通勤していた彼らが退職すると、満員電車はどうなるのでしょう?

団塊世代の住宅事情と通勤時間

団塊世代とは、第一次ベビーブーム時代(1947~1949年)に生まれ、バブル期に出世した世代です。2012年以降、次々と団塊世代のサラリーマンは定年を迎えています。彼らが住宅を購入したころは1980年代後半から1990年前半のバブル期。当時はそこそこ高収入であった彼らですが、都内の新築マンションはどこも億単位で、手の届かない存在でした。また、ベッドタウンと言われる千葉、埼玉、東京都下にはニュータウンが続々と建設され、都心の空洞化から「ドーナツ化現象」と言われるくらいの人口の偏りが見られました。彼らにとって、郊外の広々とした住宅地に庭付き一戸建て4LDKを買って、核家族で暮らすというのが一種の理想でもありましたが、そのかわり通勤時間は長く、駅まで徒歩20分以上、満員電車に揺られて1時間、2時間は当たり前の世界で、そんなふうに定年まで頑張って働いてきました。そんな団塊世代のサラリーマンが定年退職したら、郊外からの通勤電車が空くのでしょうか? 実際は、現在の定年退職の年齢にはバラつきがあり、まだまだ現役で働いている方から早めに悠々自適に暮らす人まで個人差が激しいため、通勤電車がガラガラになるほどの影響はなかったようです。

老後は都心で暮らしたい?団塊世代の買い替え事情

一般的にリフォームや建替え、買換えを考えるのは築20年程度と言われていますが、統計庁発表の「日本の住宅・土地―平成15年住宅・土地統計調査の解説」によると、1980年以前に建てられた住宅が激減していることから、団塊世代の持ち家が今まさに住宅についての見直し時期に差しかかっているとわかります。見直しの原因として、建物の老朽化以外に、最寄り駅の遠さなど交通の便の悪さや、体力的に長距離移動がきつくなってくること、家の中や外回りの段差が辛くなってくるなど、自分の高齢化が身に染みてくる年頃であることも大きな要因でしょう。また、一戸建ての場合は、現在の住まいをリフォームして住むという人も多いようですが、買い替えを考える人には、マンションを買いたいという人も少なくありません。これは団塊世代の年齢からみて、退職金と持ち家を売却したお金で、子どもが独立したため大きくなくても都心の便利なところに住みたい、などという理由が考えられます。都心のマンション価格もバブル期よりも手ごろになってきましたし、それが夢ではなくなっています。再就職先への通勤時間短縮や、病院や商業施設が近いこと、交通手段が多いこと、車を使わなくても暮らせる、などの理由から、都心で便利な老後生活を送る人が今後は多くなってくるかもしれません。

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