未成年でも賠償金約1億円!?今から3大リスクに備える「自転車保険」をプロが解説

  • 2023年06月27日更新

キッズ・マネー・ステーション認定講師・ファイナンシャルプランナーの髙柳万里です。

エコで小回りの利く自転車の人気と需要は年々高まり、最近は民間や公営のレンタサイクルの利用者も増えているようです。

我が家でも、毎日の保育園への送迎や駅までの移動にかかせない自転車ですが、電動タイプはただでさえ車体が重いうえ、保育園の荷物や買い物袋をぶら下げるため、バランスを崩してよろけてしまい、ヒヤリとした経験は一度ではありません。

未成年でも賠償責任を問われる?

資格も要らず、老若男女問わず日常的に利用されている自転車ですが、利用者数の増加に伴い自転車による事故も増えています。
未成年でも、場合によっては高額な賠償金の支払いを命じられるケースがあります。

過去の高額賠償の事例を見てみましょう。

小学生の男児が夜間、自転車で走行中、歩道と車道の区別のない道路にて62才の歩行者女性と正面衝突。女性は頭がい骨骨折等の障害を負い、意識が戻らない状態となった事故で、加害者が支払いを命じられた金額は9,521万円でした。

平成25年7月の神戸地裁による判決が出た当時、未成年の子どもが自転車事故を起こすと親が責任を負う場合があるという点で、大きく報道され話題となりました。私自身も子をもつ親として、人ごととは思えないニュースとして衝撃を受けました。

想定される3つのリスクとは?

自転車を取り巻く事故のリスクとしては、以下の3つが挙げられます。

  1. 他人にケガをさせる
  2. 自分がケガをする
  3. 財物を壊す(損害を与える)

特に「他人にケガをさせてしまった場合」に関しては、傷害の程度によっては高額賠償となる可能性もありますので、なかなか預貯金で賄えないリスクといわれています。
それでは、この3つのリスクに備えるにはどうしたらよいのでしょうか。

自転車事故に備える保険って?

自転車には、クルマのような強制加入の保険(=自賠責保険)はありません。
「他人にケガをさせる」「財物を壊す」リスクへの備えは、『個人賠償責任保険』で補償されます。

『個人賠償責任保険』とは?

個人またはその家族が、日常生活において誤って他人にケガをさせたり、他人の物を壊して損害賠償金や弁護士費用などを負担した場合の損害を補償する保険です。
自転車の運転中に、人にケガをさせてしまった場合でも補償の対象となります。

『個人賠償責任保険』は火災保険・自動車保険等の特約としてセットすることが一般的です。
特約の名称・補償内容は各保険会社により異なる場合がありますのでご注意ください。
(※業務で自転車使用中に起こした事故は、個人賠償責任保険の補償対象外です)

『傷害保険』とは?

「自分がケガをする」リスクへの備えは、『傷害保険』で補償されます。

「急激・偶然・外来の事故」によりケガをした結果、入院・通院や死亡した場合等を補償する保険です。自転車で転倒するなどの、不慮の事故による運転者のケガも補償の対象となります。

保険会社によっては『個人賠償責任保険』とパッケージにして通称『自転車の保険』として販売している場合もありますので、詳細は保険会社または代理店に確認してみるとよいでしょう。

高額賠償の事例で取り上げた神戸地裁の判例を受け、全国的に自治体が「自転車保険」の加入を義務付ける動きが加速しています。

2015年10月には兵庫県、2016年には大阪府・滋賀県、2017年には鹿児島県と名古屋市で、自転車保険の加入を義務付ける条例が施行されました。
2018年4月からは埼玉県や石川県金沢市でも、自転車保険加入義務化がスタートしています。

自転車保険加入が義務化されている地域の方にかかわらず、万が一に備えて、3つのリスクに対応できる補償が準備できているどうか、改めてご家庭で確認してみましょう。

そして何より、日頃から交通ルールを守って、安全運転でまいりましょう!

髙柳 万里(たかやなぎ まり) キッズ・マネー・ステーション認定講師/ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーの夫と、子ども二人の4人家族。
金銭教育を受ける機会が全くないまま社会人となっていたことに愕然とし、必要に迫られて平成20年にFP資格取得。「未来の自分を養うのは今の自分」をモットーに、保険分野を専門にアドバイスしています。
小学校入学を機にお小遣い制をスタートした息子と、最近お金に興味を持ち始めた保育園児の娘が、一生を通じて上手にお金とつきあうためにはどうしたらよいか、日々試行錯誤中です♪

この記事を書いた人
キッズ・マネー・ステーション

キッズ・マネー・ステーションとは、「見えないお金」が増えている現代社会の子どもたちに、物やお金の大切さを知り「自立する力」を持ってほしいという想いで設立。全国に約160名在籍する認定講師が自治体や学校などを中心に、お金教育・キャリア教育の授業や講演を行います。2018年までに1000件以上の講座実績を持っています。

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