ウルトラマンや写楽もアートに!TOKYO DESIGN WEEK2016に行ってきた
- 2023年06月27日更新
日本から世界へアートを発信する TOKYO DESIGN WEEK2016が、10月26日より開催された。31周年を迎える今回のイベントは、前期・後期と合わせて12日間と開催期間も長くなり、過去最大規模に。開催初日である26日、さっそく会場・明治神宮外苑へ行ってきた。
ウルトラマンが神に!? ダダもヨガする「ウルトラマン・インスパイア展」
筆者が開催前から注目していたのが、株式会社タグボートが主催する「ウルトラマン・インスパイア展 Powered by TCJ」だ。
国内外のアーティストから、ウルトラマンや怪獣などをモチーフにした作品を一般公募し、見事一次審査を通過した作品が展示された。
▲井戸博章『Requiem』/西垣肇也樹『我賞めえり巻き』
▲ウルトラ警備隊 エリ隊員『怪獣版画』
▲ヒラグリ モエ『Exercise』
▲和田岳秋『ウルトラマン対レッドキング』
まるでイエス・キリストのように後光が差すウルトラマンを木彫りでつくった『Requiem』。
ジラースの体のなかに大量のフォントが埋め込まれた『我賞めえり巻き』。
ポップアートのタッチでヨガをするダダを描いた『Exercise』。
見ているだけで楽しい作品がズラリと並ぶ。
▲加納和典『A JAMILA』/かなやまひろき『おかえりジャミラ』
なかでも印象深かったのは、バルサ材と麻布で作られた宇宙飛行士のフィギュア『A JAMILA』。
ロケットの事故で金星に墜落してしまった人間が、その過酷な環境に適応してジャミラへ変貌を遂げてしまったという怪獣誕生のエピソードを思い起こさせる一作だ。
ジャミラと言えば、頭と肩がつながった見た目が独特。
展示物のなかでは、『おかえりジャミラ』に怪獣としてよく知られた姿が描かれている。
▲さばトミオ『見合って見合って』
▲吉武大輝『ダダ ダダダ』/影山誠哉『U7_#03 湖のひみつ』
▲Happy☆Heart うらら はるか『Happy KANEGON』
会場内で審査が行われ選ばれた上位5作が、来年台湾で開催されるアートフェア「Independent」にも展示されるとのこと。
出展アーティスト30名、誰が選ばれてもおかしくない力作ぞろい。
東京デザインウィーク内特設テントにて開催中なので、メイン会場に入る前に見ておくのも良いだろう。
温水洋一も歌舞伎役者に?「浮世絵型ビジュアライザ」も登場の「写楽インスパイア展」
続いてメイン会場のなかほどで行われている「写楽インスパイア展」にも注目。
デザイナー、映像クリエイター、ミュージシャンなど、ジャンルの垣根を越え、さまざまなアーティストが江戸時代の浮世絵師・東洲斎写楽に影響を受けた作品を展開している。
▲松永真『“変身願望”』
▲永井裕明『模細工 でェ 写楽』
▲工藤慈子『写楽 イン 球美主義』
▲瀬川三十七『芸』/菱川勢一『srk』
こちらも、見るだけでも楽しい作品が満載。
なかには、歌舞伎役者がパイを投げられ、タライを落とされる『芸』や、ファッションのイメージビデオ『srk』など動画の作品も展示されていた。
▲赤間晃治『イデア オブ トイレット』/安齋肇『どーしたの? ぬくちゃん!』
また、俳優・温水洋一の顔に歌舞伎役者のような落書きが施されたプリントTシャツも。作者は、「空耳アワー」でお馴染みの安齋肇だ。
▲動いた。『Rhythmic PIC』
スマホなどのイヤホンジャックに接続して曲をかけることで、リズムに合わせて役者たちが動き出す『Rhythmic PIC』は、会場でも人だかりができるほど大人気。
試しにRADWIMPSの『前前前世』やピコ太郎の『PPAP』をかけると、「ガチャガチャ」という激しい音を立てながら陽気に動く。曲のサビになるとカツラが宙に浮くなど、実にシュールな作品だった。
▲橋本夕紀夫『べるさいゆのばら』
▲津村耕佑『写楽が描いた役者が石膏像として美術の教材だったら!?』
▲/*Shinharajuku*/『AI(”写楽”);』
この展示には52名のアーティストが参加。「写楽」のイメージが無限に広がる個性的な作品ばかり。しかと見るべし!
プロ独自の視点に驚かされる「プロ展」、大きな可能性を感じる自由な発想の「学生展」
メイン会場の奥では「プロ展」が開催。若手からベテランまで45組のクリエイターが参加し、すでに商品化されているものなど、たくさんの作品が並ぶ。
▲清水久雄『「キャラ」付いた雑貨・家具』
▲Wen-Chuan Huang『catfish』/鈴木智『革切子®×光』
▲柳澤豊・木下直之『アニマルズ。』
▲tetra『EPORA』
ナマズの口からインスピレーションを受けた収納付きの竹椅子『catfish』など、プロならではの視点で作られたものばかり。他にも、数字ではなく光の変化で移り行く時間の変化を表す時計『EPORA』など、既成の概念を覆すようなものが多く展示されている。
一方で、発想の斬新さにおいてプロにも負けてないのが、屋外の「学校作品展」で展開されている各大学の参加型アート作品だ。
▲東京電機大学 情報環境学部『みっけ!』
東京電機大学・情報環境学部の『みっけ!』は、太い木製のフレームの中に格子柄を描くように配置された薄いパネルを一枚一枚窓のようにパタパタ開きながら外を見て、誰かと視線を合わせるという作品。
作品内部には段差もあり、横の視線だけでなく、見下ろす・見上げるという上下の視線の動きも体験者へ促す。
極めて素朴ながら、人の視線を避け俯いて歩きがちな現代において、人と人が目を合わせつながっていくことのおもしろさを改めて教えてくれる、大人が楽しめるアスレチックである。
また、九州大学・芸術工学部が作った椅子型の体重計は、会場で展示されている全作品の中でも「わかりやすさ」という点においてトップクラス。一般的な体重計のように数字は表れないが、座ると大きくヒビが入ることによって自分の体重の増え具合が可視化される。
▲九州大学 芸術工学部『ワレ』
バネの費用などの関係で、80kgが限界とのこと。これをさらに強化するとともに、座ると「バキバキ」など音が鳴るようなギミックを追加すれば、商品化も間違いなし!?
北海道グルメ満載のフードコート。他にも展示物が盛りだくさん!
最後に、フードコートを紹介。今年は北海道グルメが大集合。「道産小麦の揚げピッツァ」で話題の「TRATTORIA CUGIRA」や、テレビ番組でも紹介されたジンギスカン専門店「名前はまだ無い。」など、注目の店舗のメニューがいただける。
▲TRATTORIA CUGIRA『道産小麦の揚げピッツァマルゲリータ』(600円)
▲名前はまだ無い。『生ラム函館塩ネギジンギスカン丼』(1,000円)
他にも「スーパーロボット展」や「地方創生展」、「りんご音楽祭」など、魅力が満載。
とても1日では回り切れない分、休日・平日問わず夜9時まで開催しているのは嬉しいところ。
学校帰りや会社帰り、フラリと訪れるだけでも、きっと何か運命的な出会いが待っていることだろう。
編集後記
写真いっぱいでお届けしたが、正直、まだまだ紹介しきれないものがたくさんあり、悔しい。特にタグボート主催の展示エリアでは、「ウルトラマン・インスパイア展」だけでなく、「80年代を継承するサブカルチャー」の展示や、国内・台湾の若手アーティストによる展示もあった。日々生まれ出るアートは、必ずしも万人が理解できるものではない。だからこそ一人一人がイベントを通じ、自分だけのお気に入りの作品を見つけて大切にしてほしい。
(取材/平原 学・協力/植木 裕貴)
TOKYO DESIGN WEEK 2016
会場:明治神宮外苑 絵画館前(〒160-0013 東京都新宿区霞ヶ丘町2-3)
前期:2016年10月26日(水)~31日(月)
後期:2016年11月2日(水)~7日(月) ※11月1日は終日閉場
開場時間:11~21時 ※最終日は20時まで
入場チケット:2,500円(一般当日券)
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