「あの不動産屋さん」が仕掛ける街の古民家カフェって?

  • 2023年06月27日更新

東急東横線妙蓮寺駅から徒歩2分の「HUG.CAFE」は、連日にぎわっている人気の古民家カフェ。地元の不動産会社「住まいの松栄」が(株)HUGを立ち上げ、この古民家CAFEを手がけている。なぜ町の不動産会社がカフェを始めたのか、そして人気の理由とは? 「HUG.CAFE」を立ち上げた酒井洋輔さんを直撃してみた。

プロフィール

住まいの松栄専務取締役、株式会社HUGオーナー 酒井洋輔さん
賃貸、売買、建設などを手掛ける創業55年の不動産会社「住まいの松栄」で専務取締役を務める。2014年に「住まいの松栄」の子会社として「株式会社HUG」を立ち上げた。2児の父。
酒井洋輔さん

看板

▲お店の看板

「ビジネスで世の中をよくしていきたい」そんな思いから始まった

――なぜ不動産会社さんが「HUG.CAFE」を開いたのでしょうか?

元々、ここの物件は「住まいの松栄」で管理していた物件なんです。ただ270坪もある広い物件だったので、なかなか借り手もみつからず……。これだけの広さがあれば更地にして、マンションを建てたほうが利益は出せると思います。ただ庭もある、築50年の素晴らしい建物を壊すのはもったいなく、この物件を使って「世の中が困っていることを解決するために何かできないか」とずっと考えていました。そこで、住まいの松栄の子会社として株式会社HUGを立ち上げ、地主さんからこの物件を借りて、2015年3月から古民家カフェを運営することにしました。

――世の中が困っていることとはどんなことでしょうか?

たまたま見ていたテレビで、1日3食も食べられない子どもや、買ってきたご飯を1人で食べている子どもたちがいることを知りました。そんな子どもたちに、ちゃんとした温かいごはんを食べさせたい、食卓を囲んで団らんしてもらいたい、と思いました。「社会貢献」というと大袈裟かもしれませんが、小さなことでもいいので、困っていることに対してビジネスで何か行動を起こせないかと考えていました。

お庭

お庭2

▲敷地内のお庭。この風景は都会であることを忘れてしまうほど。

すべての人が居心地よくいられる古民家カフェ

――親子カフェなのでしょうか?

いえ、違います。よく誤解されるのですが、普段は様々な年代の方にご利用いただけるカフェです。ただ、子どもたちの食やコミュニケーションをサポートするために、「HUG食堂」というイベントを月1回開催しています。小学生以下のお子さんを対象に、1人300円でごはんが食べられ、ボランティアの大人とトランプやジェンガなどのゲームをして遊ぶといった内容です。そこで新たに友だちができたり、普段は接することの少ない大人とも話す機会が生まれ、学校以外のコミュニティできているようです。

――なるほど。では、普段はどういった方に利用されているのでしょうか?

8~9割は女性ですね。女性同士でおしゃべりを楽しむ方や、1人でゆっくりされる方、ご年配の方で「昔の家のようで懐かしい」と来てくださる方もいます。あとFREE Wi-Fiと席によってはコンセントもあるので、パソコンを使われる方もいます。おかげさまで口コミが広がり、全国各地から東京観光のついでにここまで足を運んでくださったり、なかには海外からのお客様もいたりします。妙蓮寺駅は横浜からも渋谷からもアクセスがいいんですよ。

――カフェとして利用するというよりかは、この場所を求めに来られているんですね。

そうかもしれないですね。あと、月に数回ワークショップも開催しています。これは、「HUG.CAFE」のスタッフがやるのではなく、希望される外部の方が、開催という形をとっています。今までに東洋医学を生かしてヨモギのカイロを作ったり、消しゴムハンコを作ったり、チョークアートをしたり、マヤのこよみときを学んだリ。いろいろなことをやって頂いています。

店内

▲お座敷スペース。ゆったりしたいときにぴったり。

店内2

▲こちらはテーブルスペース。外の景色を眺めながらお茶ができます。

サイト画像

▲ワークショップの情報などはHUG.CAFEサイトでチェックできます。

手作りにこだわった安心安全な料理

――先ほど食やコミュニケーションのサポートのためにカフェを作ったとのことですが、食へのこだわりはあるのでしょうか?

はい。市場や生産者さんから直接仕入れた旬の食材を使用し、既製品に頼らず、手作りすることにこだわっています。普段は11時30分~14時30分をランチタイムとして、日替わり定食を提供しています。基本、一汁三菜で、肉料理か魚料理かが選べます。決して豪華なメニューではないですが、赤ちゃんが食べても、自分の家族に毎日食べてもらっても安心な料理なんです。それ以外の9時30分~11時30分、14時30分~17時はカフェタイムとして、ドリンクやデザートを提供しています。黒蜜やガムシロップなども手作りしています。

――ガムシロップまで!?

スタッフは企業理念に共感して働いていただいているので、食の大切さにもとても関心が高いです。自信の持てる食材を使って、自分たちが納得する調理をしてくれています。ちなみに、ランチメニューの献立はTwitterで告知しています。すべて手作りで、朝からていねいに手作りしているので40食限定です。

――「HUG.CAFE」はなぜ17時までの営業なのでしょうか?

やはりスタッフたちにも、夕食はご家族で食卓を囲んでほしいですし、そうでなければ企業理念とズレてしまうので、17時までの営業にしています。「HUG.CAFE」はスタッフが素晴らしく、それで成り立っているお店です。僕が足を引っ張っているくらい(笑)。素材・手作りにこだわった料理なので、ぜひ味わってほしいです。

調味料

▲可愛らしいビンに入った調味料

デザート

▲デザートはなんと黒蜜まで手作りとのこと。

黒蜜がけわらび餅

▲アイスとわらび餅のハーモニーは幸せのひととき!

東横線妙蓮寺駅からすぐの場所にあるにもかかわらず、都会の喧騒から離れ、おだやかな空間の「HUG.CAFE」。多くのお客さんに利用されているのも納得です。ゆったりしたいとき、健康的な食事をしたいとき、誰かと交流がしたいとき、訪れてみては?

▼お店の入り口近く。四季折々の風景を楽しむことができそうです。

入り口前

取材先
HUG.CAFE

HUG.CAFEの最新情報が分かるTwitterアカウント
@hugcafe_engawa

この記事を書いた人
名久井 梨香

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