2016年地価公示を専門家が解説!住宅価格の高騰で、住宅地伸び悩む
- 2023年06月27日更新
2016年3月22日に、2016年の地価公示が国土交通省から発表された。この地価公示をどう読み解けばいいのか、みずほ証券 市場情報戦略部 上級研究員 石澤卓志氏に解説していただいた。
プロフィール
- みずほ証券上級研究員 石澤卓志さん
- 慶應義塾大学卒業後、1981年日本長期信用銀行に入行。第一勧銀総合研究所上席主任研究員を経て、みずほ証券チーフ不動産アナリストを経て、2014年より現職。
――8年ぶりに地価公示が上昇しましたが、何が要因でしょうか?
地価公示が上昇した要因は、大きく3つのグループに分かれます。
- 1.再開発の進展があった、あるいは不動産投資が進行した地域
- 2.交通アクセスが改善した地域
- 3.観光・リゾート需要が高まった地域
2015年は1が目立ちましたが、2016年は3、つまりインバウンド需要による上昇が目立っています。地価が上昇したという点では昨年も今年も同じですが、不動産価格が上がったため利回りが少しダウン。価格上がりすぎていることが、投資にとって重荷になっており、1の伸びは昨年ほど大きくありませんでした。一方で観光・リゾート需要関係がずいぶん伸びてきているのが、今年の地価動向の特徴です。
――都市部と地方では、それぞれどのような傾向を見せましたか?
全国レベルの地価は、全用途で8年ぶりに上昇しました。これは大都市圏の地価が3年連続で上昇しており、全体を引っ張っています。一方、3大都市圏以外は24年連続で下落。しかし、下落幅は6年連続で縮小しています。全体的に地価の回復が進んでいますが、大都市と地方の二極化が進行しているというのが現状です。
不動産の評価の仕組み上、人口減少が続いているところは地価上昇が難しいと考えられます。日本全体で人口が増えているのは、東京圏と名古屋圏のみ。全体的に地価が上昇する地域は限られており、ますます二極化が進む可能性があります。
地方圏では、北海道の商業地と東北の住宅地で上昇しました。しかし、北海道の上昇地点はほとんどが札幌市内。県ベースで上昇した場所は、北陸は石川県のみですし、東北は宮城県と福島県のみ。福島県はいわき市に集中していますが、ここは原発事故被災者の避難者が集中している地域です。地方都市で上昇したのは、非常に特定の地域のみであることが分かります。地方経済圏のなかでも、二極化が進行していると言えるでしょう。
――住宅地の地価が伸び悩んでいるのはなぜでしょうか?
東京圏は2年連続の減少です。2014年4月の消費増税時は、その前年に駆け込み需要がありマンションマーケットが非常に賑わいました。しかしその反動が2014年に出て地価上昇地点数が減少しました。では2015年の減少要因は何かと言うと、用地不足と建築コストの上昇です。ただし売れ行きはそんなに悪くないので、住宅マーケットは堅調さを保っていると言えるでしょう。
来年春に消費増税があるのならば、今年、駆け込み需要が起きると考えられます。ですので、デベロッパーがそれを見越して住宅供給を限定している可能性があります。不動産価格も先高観があるので、供給を遅らせた方が有利という考えです。
昨年は、東京圏は郊外を中心にマンション供給戸数が9.9%減少しています。以前はデベロッパー間でシェアや供給戸数が競われていた時代もありましたが、今はどこも「売れないものは作らない」という方針です。実際、千葉県、埼玉県の郊外部は供給が減っているところが多くなっていて、千葉市の供給数はだいたい半減、さいたま市は21%減でした。一方で神奈川県は、売れ行きは好調ですが用地が不足してきています。大型開発も少なくなっています。マンション供給が減少すれば不動産投資も減少し、それが地価に反映しています。
日本全体でも消費増税と用地不足の影響が出ています。これが、住宅地が伸び悩んだ要因です。商業地は不動産投資と観光需要が増えていることにより、店舗賃料が値上がりしますので、住宅地より商業地の方が影響を受けやすいのです。そのため、商業地の方が住宅地を上回ったのでしょう。

――消費増税やマイナス金利の影響はあるのでしょうか?
2016年に公開された公示地価は、2015年1年間の取り引きが元になっています。5%から8%への消費増税の影響は薄まってきました。
来年、消費増税が実施されることになれば、今年の基準地価(7月1日時点)に反映されるかもしれません。マイナス金利が導入されたのも今年なので、こちらも影響が出るとしたら来年です。しかし、マイナス金利によって住宅ローン金利がいくら低下しても、不動産価格が上がれば帳消しになります。仮に住宅ローン金利が2%低下しても、地価が3%上がったら消費者負担は増えます。実際、地価の上昇は3%どころではありません。一般論からすると、マイナス金利はローン金利を引き下げるから住宅購入者に有利と考えられていますが、地価を上昇させる要因ともなるので購入者にとって不利になる可能性があります。金利の低下だけを見るのではなく、住宅購入価格の動向も込みで考えないといけませんね。
――地価の上昇はいつまで続くのでしょうか?
東京圏では今後2年間は上昇が続くでしょう。2017年でガタっとビル供給が減少する可能性があります。2017年は、開発コストの上昇による建築計画の見直し、大規模開発の権利調整の遅れ、自治体との調整の遅れなどが重なる見通しです。今年、来年とオフィスビルの供給は減りますが、賃料が下がったため需要は堅調です。コスト意識の高いメーカーも、執務環境と立地の改善のため都心に進出してきています。供給が減って需要が増えるので、2017年までは地価の上昇が続くでしょう。ただし、上昇幅のピークは今年でしょう。来年の上昇幅は半分、その翌年はさらに半分になると考えられます。
昨年、マンションの価格がずいぶん上がりまして、ミニバブルの頃を上回ってしまっています。個人的な意見ですが、一般的なサラリーマンが買えるマンション価格の上限は坪単価240万円。これは可処分所得の25%ほどを返済に回すということを上限として考えた数字です。しかし昨年は東京圏の平均で坪単価250万円を超えてしまっています。今は住宅ローン減税の充実、住宅ローン金利の低下により、価格は高いけれど購入しやすい環境にあるため、背伸びして購入した人が多かったのかもしれません。マイナス金利は、プラス面ばかりを見て過大評価すべきではありません。
3年後の景気については、まだ不透明な部分があります。ただ東京の場合は、五輪需要でオフィスビルマーケットがプラスになるかもしれないと考えています。2018年、19年はビル供給が増える見込みですので、市況の変わり目になってくるかもしれません。ビル供給は9年サイクルです。前のビル供給のピークが2012年だったので次は2021年になるはずですが、オリンピック前に完成させたいと思う事業者が多いので、前倒しされて2018年か19年に早まるでしょう。このあたりが不動産マーケットの1つの境目になる可能性があります。ビル供給の増加は場合によっては市況の悪化要因になりますが、上手く生かすことは可能だと思います。五輪は一過性イベントではないと私は考えています。例えば、五輪に向けて湾岸部を中心にインフラ整備が進められ、これは街の息の長い発展のための設備投資になります。2020年以降に関しても上手くやれば東京の発展につながります。活かせるかどうかは、2018年、19年にかかってくるでしょう。
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