ママチャリの体感気温は3℃マイナス。秋の寒暖差を乗り切るコツを気象予報士が教えます

  • 2022年11月12日更新

秋は寒暖差の大きい季節。前の日よりも大きく気温が下がったり、1日の中でも大きく気温が変化したりします。大人も子どもも体調を崩さないように寒暖差を乗り切るコツを、気象予報士が解説します。

気をつけたい秋の寒暖差

気温の激しい変化は、この季節にはよくあることです。2022年の10月前半は、東京ではジェットコースターのような気温の変化に見舞われました。

10月5日に最高気温が25℃だったのに、翌日の6日には15℃にまで気温が下がりました。そして7日は最高気温13.3℃という12月並みの気温にまで下がります。この日は慌てて冬物のコートを引っ張り出した人もいたのではないでしょうか。なのに、10月8日には最高気温が20.9℃にまで上がり、10月11日は25.8℃となりました。

気象庁ホームページ

寒暖差が大きいと体調を崩しやすくなります。人間の体には外の環境と関係なく体温を一定に保とうとする働きがあるのですが、外の気温の変化が急激すぎると、その気温変化に体が追いつかないからです。

前日との気温差が何℃以上になると体調を崩しやすいのかは、統計がとられていないためはっきりとはわかりません。ただ、前日と4℃以上の差がある日はめったにないため、4℃以上の気温差のある日は体調を崩しやすくなる恐れがあります。

では、寒暖差に上手に対応するためには、どうすればよいのでしょうか。それはずばり、服装選びです。

自分の着るものなら、自分の感覚で判断して適宜調整すればよいのですが、もし油断して子どもに薄着をさせてしまい、上着を忘れてしまうと、子どもが風邪を引いてしまってあとあと大変になります。そのため、天気予報チェックにはちょっとしたコツが必要です。

時系列予報をチェック

気温に応じて、薄手の長袖でいいのか、それともコートが必要なのかなどの判断はどうすればよいのでしょうか。

これについては朝のニュースの天気予報でも気象キャスターが教えてくれますし、ウェザーニュースや日本気象協会が提供している天気予報アプリでも服装の予報があるため、ぜひそれをチェックしてみてください。

参考までに、ウェザーニュースが公表している気温と服装の関係は下記の通りです。

25℃以上…半袖シャツ
25℃未満…長袖シャツ
20℃未満…ベストやカーディガン
16℃未満…セーター
12℃未満…トレンチコート
8℃未満…冬物コート
5℃未満…ダウンコート

Adobe Stock / Kei A

ただし、これを見て、「今日は最高気温が15℃で最低気温が10℃だから、セーターの上に薄手のジャンパーを羽織らせればいいや」と判断するのは早計です。

その最低気温・最高気温がいつの時間なのかをチェックする必要があるからです。

そのためにも、毎日「時系列予報」をチェックする習慣をつけてください。

気象庁ホームページ

時系列予報というのは、上の図にあるような時間ごとの気温や天気の変化がわかる天気予報のことをいいます。

基本的には最低気温は早朝、最高気温は昼過ぎに記録することが多いのですが、必ずしもそうとは限らない日があります。曇っていてずっと北風が吹いている日などは、朝に最高気温を記録し、そこから気温が下がる一方ということもあるのです。

朝にちょっとベランダに出て「結構暖かいからこの程度の服で大丈夫そうだ」とろくに羽織らずに外出すると、子どものお迎えの時間に凍えるような思いをすることもありえます。ですから、自分や子どもが外出する時間帯の気温はどれくらいなのかを考えて服装を決める必要があるのです。

見落としがちな風の強さ

もうひとつ、チェックしてほしいのが風の情報です。

風が強いとそれだけ体感温度が下がります。ざっくりというと1m/sにつき1℃下がっていくので、同じ気温が15℃と予想されていても、風速1m/sのときと10m/sのときとでは体感温度は14℃と5℃で、全く違うのです。

特に風の強い日は、同じ上着でもニットカーディガンのような風をよく通すものよりは、ウインドブレーカーのように風を通しにくいものを選んだほうがよいでしょう。

また、子どもを幼稚園や保育園に送迎するときに、自転車を使う人も多いはずです。自転車は、こぐ人は体が熱くなるのでさほど寒さを感じませんが、後ろに乗っている子どもはとにかく寒いです。ママチャリの速度は3m/s程度ですので、気温から風速分と自転車の速度の-3℃分を引いた数字が体感温度だと心得て子どもの衣服を用意しておくとよいでしょう。

とはいえ、せっかく上着を用意していても、子どもが「寒くないから着ない」ということもありますね。私の場合も、息子は真冬なのに半袖Tシャツ1枚で上着も着ずに自転車に乗りたがるから困っています。鼻水をダラダラ垂らしていても「上着は着ない」の一点張りです。いったい何と戦ってるんですかね…。

まあ、「寒い」と「着たい」は必ずしもリンクするわけではないので、着せるかどうかはその場の判断になるかもしれません。それでも、子どもが急に寒いといったときにすぐに上着を出してあげられるようにしておけば、親としてはずいぶんと安心なのではないでしょうか。

筆者:今井明子
サイエンスライター、気象予報士。得意分野は科学系(おもに医療、地球科学、生物)。「Newton」「AERA」「東洋経済オンライン」「BUSINESS INSIDER JAPAN」「暦生活」「子供の科学」などで執筆。著書に「面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ」、共著に「こちら、横浜国大『そらの研究室』! 天気と気象の特別授業」などがある。気象予報士として、お天気教室や防災講座の講師、気象科学館の解説員なども務める。

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