地下鉄東山線の謎に迫る 栄に車庫!?地上区間がある理由は?都市初のシールド工法など|線路の先には何がある?
- 2022年05月10日公開

毎月第1土曜日の午後にテレビ愛知で放送中の『日経プレミアム 工場へ行こうIII』の制作陣がお届けする、珠玉の電車企画第8弾! 今回は前回に続いて名古屋市営地下鉄東山線の「後編」。東山線を走る回送列車の運転席に特別カメラを設置し、普段は見られない運転士目線の前面展望を撮影しました。長く続く線路の先には何があるのか? 名古屋市交通局の稲垣秀規さんの解説とともにお届けします。

線路の先には何がある?東山線
栄駅の先にある謎の空間が東山線の歴史に深く結びついている!?(栄駅)
伏見駅を出発したのは『試運転回送列車』。車両更新時に機械のテストをするために走る特別な回送列車に特別な許可を得てカメラを設置し、前面展望を撮影しました。
栄駅を通過すると、すぐ先の左側に不思議な空間が広がっています。これはいったい何でしょうか?

試運転回送列車
この空間は、名古屋駅~栄駅間で地下鉄が開業したときに車庫のあった場所の名残。栄駅~池下駅が延伸開業する昭和35年まで使われており、地下鉄車両の修理や点検が行われていたそうです。ちなみに当時の栄町車庫があったのは地図のこの辺りでした。

栄車庫はこのあたり
普段はなかなか目に止まらない何でもない空間ですが、こうした場所にも東山線の歴史を紡ぐ貴重な遺構が残されています。
池下駅は始発駅!?池下駅に留置線が設置されている理由とは?(新栄駅~池下駅)
栄駅を出発後、錦通の下を一直線に走行する回送列車。新栄駅、千種駅、今池駅と通過した後、池下駅の手前にさしかかると、再び左側に空間が広がっているのを発見します。

池下始発列車
この空間は営業終了後に営業列車を止めている留置線。実は池下駅からは栄・名駅方面へと向かう始発列車が運行しており、その列車をこの線路に留め置いているとのことです。実はこの留置線、もともとは車庫へと続いていたもの。池下駅が終着駅だった昭和44年までは地上に池下車庫が設けられており、その車庫への出入りの線路として使われていました。

池下車庫
地下鉄が東へと延伸した際に車庫は移転しましたが、当時の線路の一部が現在も留置線として使われています。
池下駅~覚王山駅の間に『日本初』のシールド工法!?(池下駅~星ヶ丘駅)
池下駅を出発して覚王山駅へと向かっていくと、途中からトンネルが丸くなりました。

なぜまるに?
この丸いトンネルは『シールド工法』で作られたもの。この辺りの区間は住宅の下を通るため、地上から縦に掘る開削工法ではなく、横から掘り進んでいくシールド工法で作られました。
そしてこの丸いトンネルが歴史的な建造物。実は、名古屋のような都市部では日本で初めて『シールド工法』を採用して建設されたのがこの区間なのです。何気なく乗っている路線の至る所に歴史が刻まれているんですね。

シールド工法
本山駅を通過し東山公園駅へと近づくと、右手に長細い柱状のものが置かれていました。

枕木
これは緊急時に使用するコンクリート枕木。レールの下を支えている枕木に何かあった際にすぐに使えるよう、こういう場所に置かれているそうです。
さらに星ヶ丘駅へと向かうと、複数の線路が見えてきました。

上り線・下り線
この線路は折り返し運転を行うためのもの。池下駅と同じように星ヶ丘駅も終端駅となっていた時期があることから、このような線路が設けられています。
『地上を走る地下鉄(地上区間)』が誕生した理由とは!?(星ヶ丘駅~藤が丘駅)
一社駅から上社駅に向かう回送列車。ここでは東山線ならではの光景が見られます。

地下から地上へ
線路に沿って地下から地上へと上がる列車。この先は地上に作られた高架を列車は進んで行きます。
地下鉄なのに地上を走ることになった理由は「建設コストを抑える」ため。藤が丘駅までの延伸が進められていた当時はこの辺りに幹線道路や住宅地がなかったため、地下工事よりもコストが抑えられる高架が採用されました。開通当時の写真を見ると、今とは全く違う光景に驚きがいっぱいです。

高架が採用
さらに列車は東へと進んで終着駅の藤が丘駅へ到着。いよいよ、藤が丘駅の先へと進んで行きます。

藤が丘駅の先
藤が丘駅の先には多くの線路が設置されています。左側に真っ直ぐ伸びる線路は列車の折り返しに使われる留置線。右側には車庫に続く線路がカーブしながら伸びています。
右側の線路へと入り、カーブしながら下っていく回送列車。両側に住宅が見える中を進んで行きます。一般の乗客としては見ることが出来ない、貴重な光景です。

藤が丘工場
カーブを曲がり終えると、左側に建物が見えてきました。

モーターカーを停める
この建物には電気設備を保守するためのモーターカーが止まっているとのこと。建物を左手に見ながらさらに進んでいくと、多くの線路が見えてきます。左側にはたくさんの車両が止まっていますね。

藤が丘工場内
ここに留置されているのは全て東山線の車両。同じような施設が高畑駅にもあるそうです。
ちなみに、ここに止められる車両の数なんと55編成!!東山線の線路の先には、たくさんの列車を留め置くことができる藤が丘工場がありました。

藤が丘工場はココ
線路の先には何がある?
魅力に満ち溢れた線路の旅へご案内!テレビ愛知のレギュラー番組『工場へ行こうIII』の制作陣がお贈りする珠玉の電車企画。Locipo、GYAO!、Youtubeにて配信中です。
次回は『JR東海・飯田線』。めったに見られない貴重な運転席映像、ご期待ください!
【放送局】テレビ愛知
【番組HP】https://tv-aichi.co.jp/senro/
【配信】Locipo YouTube
※記事の内容は放送当時のものです。

Locipo Press(ロキポプレス)は、名古屋に本社を置く民間放送局4社〈東海テレビ放送・中京テレビ放送・CBCテレビ・テレビ愛知〉の動画情報配信サービスLocipoを、手軽に文章で読むことができるメディアです。
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