中古市場の拡大で変わった住宅の価値観

  • 2023年06月06日更新

今まで日本では、「家を買うなら新築で」という方が多かったようですが、景気が下向いてきてからは、中古住宅にスポットがあたるようになってきました。さらに、2014年の税制改正によって、「中古住宅流通・リフォーム市場の拡大・活性化のための特例措置の創設・拡充」が施行され、ますます住宅取得に対する価値観が変わっていくと思われます。

それぞれの世代における住宅購入事情

日本における中古住宅流通の割合は、欧米各国に比べてとても少ないようです。国土交通省の資料によれば、住宅市場の中での中古住宅流通戸数の割合は、アメリカやイギリスが約8割となっているのに対して、日本は1割を超える程度に過ぎません。欧米では中古住宅を自分のライフスタイルに合わせてリフォームをするというのが一般的な感覚ですが、日本では新築住宅を希望する人が多いということです。ところが近年、中古住宅の流通シェアが上昇し、首都圏の中古マンションの流通量が新築を上回り、徐々に中古住宅の割合が高まってきました。住宅金融支援機構発表の「平成24年フラット35利用者調査報告」によると、注文住宅や建売住宅などの新築を購入している人は30代が多く、世帯年収は400万円超600万円未満。一方、中古戸建てやマンションを購入している世帯は40代の割合が高く、世帯年収は400万円未満の世帯が増えています。フラット35利用者全体でも年収400万円未満の世帯が増加しており、家計に無理のない金額で買える中古物件の人気は上がっています。また、リフォーム技術の向上や材料の高品質化などの要因も大きく、新築に劣らない強度や美観を中古住宅に求めることができるようになったことも中古住宅流通の拡大に影響していると言えるでしょう。

税制改正で中古市場拡大に拍車がかかる?

2014年度税制改正により、「中古住宅流通・リフォーム市場の拡大・活性化のための特例措置」が創設・拡充されることになりました。この中古住宅の流通などに関連する特例措置は、中古住宅の流通市場が拡がるのを妨げていた問題点の解消を狙ったもので、主に2つの項目があります。1つは、「買い取り再販で扱われる住宅の取得に関わる登録免許税の特例措置の創設」です。主に、中古住宅を買い取って、それをリフォームした後に再販売する事業者向けのもので、中古住宅を整備するための改修工事を行って再販売する場合、登録免許税率が0.1%になるというもの(2014年4月1日 ~2016年3月31日の間)。もう1つは、「中古住宅取得後に耐震改修工事を行う場合における住宅ローン減税などの適用」です。こちらは購入者に対する住宅ローン等の減税措置で、築後25年以内(耐火建築物以外は20年以内)の家屋あるいは、1981年の法改正で定められた耐震基準を満たさない中古住宅を取得した後に耐震改修工事をして入居する場合に適用されます。実は、今までは購入後の耐震工事に対しての税制優遇措置はありませんでした(耐震基準に適合した中古住宅を取得した場合のみ適用していた)。これらによって、耐震性やその強化リフォームのための負担という大きな壁が軽減され、ますます中古住宅購入を考える方が増えることが期待されています。同時に、「中古住宅であっても美しく耐震性も新築に劣らない」という価値観が一般にも根付いてきているようです。

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