台風の名前の決め方とは?アジア名140個のルールと日本の名前の由来

  • 2026年09月17日公開

月の名前一覧|新月から晦までの月齢別の読み方と名前の由来を解説

こんにちは、ヨムーノ編集部です。

ニュースで「台風12号が接近しています」と言ったすぐあとに、カタカナのアジア名が出てくるのを聞いて、「番号と名前のどちらを覚えておけばいいんだろう?」とモヤっとしたまま毎年をやり過ごしていませんか。

実はあのカタカナ名、思いつきでつけられているわけではなく、日本を含む14の国と地域が決めた国際的なルールで運用されています。しかも、日本が出した名前はすべて「星座」がもとになっています。

この記事では、気象庁や台風委員会が公表している仕組みをもとに、名前の決め方を分かりやすく整理しました。あわせて、名前よりも先にチェックするべき防災情報と、今日からできる備えもまとめています。

お子さんに「なんで台風に名前があるの?」と聞かれたときの説明にもそのまま使えますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

台風の名前はどうやって決まる?アジア名140個の仕組み

台風のカタカナ名は「アジア名」と呼ばれ、2000年から使われています。あらかじめ用意された140個の名前を、発生した順番に上から使っていくだけ、というとてもシンプルな方式です。まずはこの2点、「誰が名前を出しているか」と「どう並べて使うか」を押さえておきましょう。

台風委員会に参加する14の国・地域が名前を用意している

名前を決めているのは、日本や中国、韓国、フィリピン、タイ、ベトナム、アメリカなど、北西太平洋で台風の影響を受ける14の国と地域が集まる「台風委員会」という国際的な組織です。各国・地域が10個ずつ名前を提出し、合計で140個。加盟しているのは、カンボジア、中国、北朝鮮、香港、日本、ラオス、マカオ、マレーシア、ミクロネシア、フィリピン、韓国、タイ、アメリカ、ベトナムです。

提出される名前は、その国らしさが出ていておもしろいところ。動物や植物、星、伝説の言葉などが多く、たとえば香港が出した「サンサン」は女の子の愛称、韓国の「ノルー」はノロジカを指します。日本が出したのは、あとで紹介するとおりすべて星座の名前です。世界中でニュースになる言葉なので、特定の人や商品を連想させない、発音しやすい言葉が選ばれています。

発生した順番に140個の名前を繰り返し使うローテーション方式

140個の名前はリストとして順番が決まっていて、台風が発生するたびに上から順番に割り当てられます。「今回の台風はこの名前がふさわしい」といった選び方はしません。リストの最後まで使い切ったら、また先頭に戻って同じ名前を使います。

台風の発生数は年によって差がありますが、気象庁が公表している平年値では1年あたり25個程度。単純に計算すると140個を使い切るのにおよそ5年かかる計算になります。つまり、同じ名前の台風は数年に一度めぐってくることになります。「前にも聞いたことがある名前だな」と感じたら、それは気のせいではなく、5年ほど前に一度使われた名前というわけです。

日本が提出した名前は星座に由来している

日本が台風委員会に出している10個の名前は、すべて夜空の星座がもとになっています。動物や神様の名前だと国や宗教によって受け取り方が変わってしまうため、どこの国の人が聞いても中立で、災害の場面で使っても差し障りのない「星座」が選ばれました。

コイヌ、クジラ、カジキなど、星座の名前が10個

気象庁が公表している日本提出の名前は次のとおりです。カタカナだけ見ると意味がわかりにくいものも、星座名だと知ると納得できます。

アジア名由来の星座
コイヌ(Koinu)こいぬ座
トモ(Tomo)とも座(船の後ろの部分)
ヘビ(Hebi)へび座
カジキ(Kajiki)かじき座
コト(Koto)こと座
クジラ(Kujira)くじら座
コグマ(Koguma)こぐま座
トケイ(Tokei)とけい座
トカゲ(Tokage)とかげ座
ヤマネコ(Yamaneko)やまねこ座

「台風の名前がトカゲって、なんだかかわいい」「ちょっとダサくない?」と感じる人もいますが、これは日本語としてかわいい言葉を選んだのではなく、星座の一覧から順に採用しているためです。子どもに聞かれたときは「空の星の並びにつけられた名前を、そのまま台風に使っているんだよ」と説明すると伝わりやすいでしょう。夏休みに星座早見盤を広げて、こぐま座やこと座を一緒に探してみるのも、ちょっとした自由研究のネタになります。

なお、このリストは固定ではありません。以前は「ヤギ」「ウサギ」など今はリストにない名前も日本枠に入っていました。入れ替わる理由は次の章で説明します。

「台風〇号」とアジア名、日本で号数を使うのはなぜ?

ニュースで番号とカタカナ名の両方が出てくるのは、日本には日本の数え方があるからです。気象庁は毎年1月1日以降に発生した台風に、発生順で「台風第1号」「台風第2号」と番号をつけています。この番号が、日本で昔から使われてきた呼び方です。

一方のアジア名は、国際的に情報をやりとりするための共通の呼び名です。同じ台風が日本では「台風12号」、フィリピンや中国では別の言い方をしていたら、各国の気象機関どうしで話が通じません。そこで140個のリストから決まった名前をつけ、どの国でも同じ台風を指せるようにしています。

つまり、番号は国内向け、カタカナ名は国際共通。生活のなかで台風情報を追うぶんには、日本の号数だけ覚えておけば十分です。カタカナ名は、海外のニュースを見るときや、あとから「あの年のあの台風」と振り返るときに役立つ、と考えておけばすっきりします。

大きな被害を出した台風の名前は「引退」して入れ替わる

140個の名前は繰り返し使うのが原則ですが、例外があります。甚大な被害をもたらした台風の名前は、加盟国からの申し出を受けて台風委員会で話し合い、以後は使わないようにリストから外されるのです。いわゆる「引退」で、空いた枠には提出国が新しい名前を出します。

理由はシンプルで、被害にあった人にとって、その名前がつらい記憶と結びついてしまうからです。数年後にまた同じ名前の台風が来たら、被災地の人はニュースを見るたびに当時を思い出すことになります。日本が出した名前でも、大きな災害と結びついたものが過去に何度か引退し、別の星座名に差し替えられてきました。今のリストにない「ヤギ」「ウサギ」も、かつては日本枠にあった名前です。

ジェーン台風など、かつての米国式・女性名だった時代

アジア名が始まったのは2000年から。それ以前は、アメリカが英語の名前をつけ、日本もそれをカタカナにして使っていました。しかも当時は女性の名前が中心で、1950年に大阪を中心に大きな被害を出した「ジェーン台風」、1949年の「キティ台風」などが記憶されています。祖父母世代から「昔の台風は人の名前だった」と聞いたことがあるなら、これがその時代の話です。

その後、女性名だけを使うことへの見直しが世界的に進み、北西太平洋ではアジア各国が持ち寄る名前へと切り替わりました。名前のつけ方ひとつをとっても、時代に合わせて更新されてきたわけです。

気象庁が独自につける「令和〇年〇月豪雨」という名前

台風のアジア名とは別に、日本国内には気象庁が独自に名前をつける仕組みもあります。ニュースで聞く「令和元年東日本台風」「令和2年7月豪雨」といった呼び名がそれです。数字だけの呼び方より記憶に残りやすく、教訓を語り継ぎやすいという理由で名づけられます。

気象庁は、住宅の損壊や浸水が著しく多いなど、後世に伝えるべき大きな被害が出た現象に名前をつける、という考え方で運用しています。台風では「令和元年房総半島台風」(2019年の台風15号)のように被害の大きかった地域名が入ることもあり、豪雨では「平成30年7月豪雨」のように元号と月を組み合わせた形が基本です。

ここで気をつけたいのは、名前がついた時点ではすでに被害が出たあと、ということ。命名は防災のためのサインではなく、記録として残すためのものです。だからこそ、災害が起きる前に見るべき情報は別にあります。

名前や号数より確認すべき、台風情報の見るべきポイント

名前の仕組みを知るのは楽しい雑学ですが、台風が近づいたときに命を守るのは名前ではありません。見るべきなのは、進路と、自分の住む場所に出ている警報や避難情報です。ここだけは押さえておきましょう。

進路予報・警報レベル・自治体の避難情報を優先する

台風が近づいたときは、次の3つを順番に見てください。

  1. 進路予報…気象庁の予報円で、いつ自分の地域に最接近しそうかを確認する。円は「中心が入る可能性が高い範囲」で、円の外でも強い風雨になることがあります
  2. 警報・注意報…大雨、暴風、高潮、洪水などが自分の市区町村に出ていないかを確認する
  3. 自治体の避難情報…警戒レベルの数字で判断する。レベル3は高齢者や子ども連れなど避難に時間がかかる人が動くタイミング、レベル4の避難指示は全員が危険な場所から離れるタイミングです

覚え方としては「レベル4までに全員避難」。レベル5は災害がすでに発生しているか切迫している段階で、安全な避難ができるとはかぎりません。小さな子どもがいる家庭やベビーカーが必要な家庭ほど、レベル3で動きはじめるくらいでちょうどいいと考えてください。「大げさかな」とためらう気持ちは誰にでもありますが、空振りで済んだならそれが一番いい結果です。

今すぐできる台風前の備えチェックリスト

台風は地震と違って、来ることが数日前からわかる災害です。前日までにできることを、家の中と外で分けて挙げます。どれも特別な道具は必要ありません。

  • ベランダや庭の植木鉢、物干し竿、子どもの三輪車を室内へ入れる(風で飛ぶと凶器になります)
  • 飲料水を確保する。目安は1人1日3リットル×3日分。2リットルのペットボトルを箱で買い足しておくと安心です
  • 浴槽に水をためる。断水したときのトイレ用に使えます
  • スマホとモバイルバッテリーを満充電にする。停電時の情報源になります
  • 懐中電灯や電池、ラップ、ポリ袋、ウェットティッシュは100円ショップでもそろいます。ラップは食器にかぶせれば洗い物を減らせます
  • 冷凍庫に保冷剤や凍らせたペットボトルを入れておく。停電しても数時間は庫内の温度を保てます
  • ハザードマップで自宅の浸水想定と、最寄りの避難場所までの道を確認する。自治体の窓口やホームページで見られます
  • 子どもがいる家庭は、おやつ、着替え、母子健康手帳、常備薬をひとつの袋にまとめておく

全部やろうとすると腰が重くなりますが、上から3つだけでも実行しておけば、当日の慌て方がまったく違います。避難用の袋は防災専用のものを買いそろえなくても、リュックにふだん使いのものを詰めるだけで十分です。

よくある質問

この記事に関してよく寄せられる質問をまとめました。

台風の名前は日本人が決めているのですか?

日本が決めているのは140個のうち10個だけです。残りは中国、韓国、フィリピン、ベトナム、タイ、アメリカなど、台風委員会に加盟するほかの13の国と地域がそれぞれ10個ずつ提出しています。実際にどの台風にどの名前がつくかは、リストの順番で自動的に決まります。

台風の名前は毎年新しく作られるのですか?

いいえ。140個のリストを何年もかけて繰り返し使います。1年におよそ25個の台風が発生するため、リストが一巡するのはおおむね5年ほど。新しい名前が追加されるのは、大きな被害を出して引退した名前の枠を埋めるときなど、限られた場合だけです。

子どもに台風の名前の話をどう説明すればいいですか?

「台風には、生まれた順番につけられる番号と、外国と共通で使うあだ名の2つがあるんだよ」と伝えるとわかりやすいです。日本のあだ名は星座から取っていると教えれば、星座の本や星空観察につなげられます。あわせて「番号や名前より、おうちの近くに危ない知らせが出ていないかを見るのが大事」と一言添えると、防災の話にもつながります。

台風の号数は年をまたぐとどうなりますか?

気象庁の号数は1月1日以降に発生した順につけられるため、年が変わると番号は1号に戻ります。12月に発生した台風が年をまたいで存在していても、その台風の番号は発生した年のままです。

まとめ|台風の名前の決め方と日本名の由来

台風のカタカナ名は、日本を含む14の国と地域がつくる台風委員会が用意した140個のリストから、発生順に機械的につけられています。日本が出しているのは星座に由来する10個。大きな被害を出した名前は引退して入れ替わり、国内では気象庁が「令和元年東日本台風」のような名前をつけて記録に残します。

  • アジア名は14の国と地域が10個ずつ持ち寄った140個を、発生順にローテーションで使用
  • 日本提出の名前はコイヌ、クジラ、カジキなどすべて星座が由来
  • 日本国内の「台風〇号」は気象庁が1月1日からの発生順につける番号
  • 甚大な被害を出した名前は引退し、新しい名前に差し替えられる
  • 備えで見るべきは名前ではなく、進路予報・警報・自治体の避難情報

今年できることは、ハザードマップで自宅の浸水想定を見ておくことと、ベランダに飛びそうなものを置きっぱなしにしないこと。名前の由来を子どもに話しながら、一緒に懐中電灯の場所を確認する。それだけで、いざというときの動きは変わります。知った雑学を、そのまま家族の備えにつなげてみてください。

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この記事を書いた人
ヨムーノ 編集部

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