精霊流しとは?読み方・意味と灯籠流しとの違いを解説

  • 2026年08月07日公開

こんにちは、ヨムーノ編集部です。

「精霊流し」という言葉をニュースなどで耳にしても、「どんな行事なのかよく分からない」「読み方に自信がない」という方は少なくありません。読み方は「しょうろうながし」で、亡くなった方の霊をあの世へ送り出すお盆の伝統行事です。

本記事では、精霊流しの意味や由来をはじめ、混同しやすい「灯籠流し」との違い、行われる時期や地域について分かりやすく解説します。さらに、華やかな爆竹を鳴らす理由や、さだまさしさんの名曲との関係まで網羅しました。行事の知識を深めて、ご家族やお子さまに自信を持って説明したい方は、ぜひ参考にしてください。

精霊流し(しょうろうながし)とは?意味と読み方

まずは「読み方」と「行事の意味」という、いちばん知りたい部分から整理します。ここだけ押さえれば、会話や説明で困ることはほとんどありません。

読み方は「しょうろうながし」/「せいれいながし」ではない

精霊流しは「しょうろうながし」と読みます。「せいれいながし」と読んでしまう方が多いのですが、これは間違いです。「精霊」を仏教の世界では「しょうろう」と読み、ご先祖様や亡くなった方の霊を指します。ファンタジー作品などに登場する「精霊(せいれい)」とは意味がまったく異なります。読み間違えやすい言葉なので、まずは「しょうろう」と覚えておくと安心です。

故人をあの世へ送り出すお盆の行事——意味と由来

精霊流しは、その年に亡くなった方(初盆・新盆を迎える故人)の霊を、家族が手作りの船に乗せてあの世へ送り出す行事です。お盆にこの世へ帰ってきたご先祖様や故人を、再びあの世へ見送るための儀式にあたります。長崎では、遺族が「精霊船(しょうろうぶね)」と呼ばれる船を作り、故人の名前を記した提灯や造花で飾って街を練り歩きます。江戸時代には、実際に船を海や川へ流していた地域もありましたが、現在は流さずに陸を曳く形が主流です。しめやかでありながら、どこか温かい——それが精霊流しの供養のかたちです。

精霊流しと灯籠流しの違いを対比表で整理

精霊流しと似た言葉に「灯籠流し(とうろうながし)」があります。名前も時期も近いため混同されがちですが、実際にはかなり違う行事です。ここで一度、対比表ですっきり整理しておきましょう。

精霊流し灯籠流し
読み方しょうろうながしとうろうながし
流すもの手作りの大きな「精霊船」小さな灯籠(ろうそくを灯した箱)
どこを流す陸(街の道を曳いて歩く)水(川や海に浮かべて流す)
雰囲気爆竹や鉦でにぎやか静かで幻想的
主な地域長崎県を中心とした一部地域全国各地

「陸を曳く」精霊流しと「水に流す」灯籠流し

いちばん大きな違いは、精霊流しが「陸」を、灯籠流しが「水」を舞台にする点です。灯籠流しは、故人の霊を灯した小さな灯籠を川や海に浮かべて流す、静かで幻想的な行事です。一方の精霊流しは、大きな精霊船を遺族が引いて街を練り歩き、最後に「流し場」と呼ばれる終着点へ運びます。名前に「流し」とついていても、精霊流しでは船を水に浮かべるわけではありません。ここが最も誤解されやすいポイントです。

爆竹を鳴らすのは不謹慎?にぎやかに送る弔いの形

精霊流しでは、船を曳きながら大量の爆竹を鳴らし、鉦(かね)を打ち鳴らします。初めて見聞きすると「お葬式のような場面で不謹慎では」と戸惑うかもしれません。けれど、これは決してふざけているわけではありません。爆竹の大きな音には、道を清め、悪いものを追い払うという意味が込められていると言われます。しめやかに泣いて見送るのではなく、にぎやかに、明るく故人を送り出す——それが長崎らしい弔いのかたちなのです。ですから、見物する側も過度に神妙になる必要はなく、地域の文化として温かく見守れば大丈夫です。

精霊流しはいつ・どこで行われる?

次に、実際に見に行きたい方のために「時期」と「地域」を確認しておきましょう。開催日は毎年ほぼ固定なので、予定を立てやすい行事です。

お盆最終日・8月15日の夕方から

精霊流しは、お盆の最終日にあたる8月15日に行われます。夕方から夜にかけて、遺族が精霊船を曳いて街へ繰り出すのが一般的です。日が暮れて提灯に灯りがともり、爆竹の音が響き渡る光景は、長崎の夏の風物詩として知られています。お盆の入りにご先祖様を迎え、最終日にお送りするという流れの、いわば締めくくりにあたる行事です。

長崎県を中心に熊本の一部・佐賀市などでも行われる

精霊流しといえば長崎市が最も有名ですが、長崎県内の各地のほか、熊本県の一部や佐賀市など、九州の一部地域でも行われています。地域によって船の形や飾り方、進み方には少しずつ違いがあります。全国どこでも見られる行事ではなく、九州の限られた地域に根づいた文化である点も、精霊流しの特徴のひとつです。旅行や帰省のタイミングが合えば、一度実際に足を運んでみる価値があります。

精霊船とは?街を練り歩く当日の様子

精霊流しの主役ともいえるのが「精霊船」です。どのように作られ、どんなふうに街を進むのか、当日の様子をイメージしてみましょう。

精霊船の作り方と初盆(新盆)との関わり

精霊船は、その年に亡くなった方の初盆(新盆)に合わせて、遺族が手作りするのが基本です。竹やわらで骨組みを作り、故人の名前を書いた提灯や、色鮮やかな造花で飾りつけます。大きさはさまざまで、小型のものから、数メートルを超える立派な船まであります。地域の団体や町内会が合同で大きな船を出すこともあります。故人が好きだったものをモチーフにするなど、一つひとつに家族の思いが込められているのが特徴です。手間はかかりますが、その準備の時間そのものが、故人を偲ぶ大切な供養になっています。

見物するときのマナーと交通規制の注意点

精霊流しは遺族にとって大切な供養の場です。見物する際は、行列の進行を妨げないよう、歩道など決められた場所から静かに見守りましょう。当日は爆竹の音がとても大きいため、小さなお子さんは驚いてしまうことがあります。耳をふさげるように近くにいてあげると安心です。また、市街地では大規模な交通規制が敷かれます。車での移動は避け、公共交通機関を使うか、時間に余裕を持って行動するのがおすすめです。混雑もするので、はぐれないよう待ち合わせ場所を決めておくとよいでしょう。

さだまさし『精霊流し』の歌と行事の関係

精霊流しという言葉を、さだまさしさんの歌で知ったという方も多いはずです。この歌と実際の行事には、深いつながりがあります。

歌は実話?歌詞に込められた意味

さだまさしさんが在籍していたグレープの楽曲『精霊流し』は、長崎出身の彼にとって身近だったこの行事を題材にした作品です。亡くなった大切な人を精霊流しで送る、という情景がしっとりと描かれています。長崎で育ったさだまさしさんにとって、精霊流しは幼いころから見てきた夏の風景でした。歌の静かで切ない雰囲気から、精霊流しを「もの悲しく厳かな行事」と想像する方もいます。けれど実際の精霊流しは、前述のとおり爆竹が鳴り響くにぎやかな行事です。歌のイメージと現地の光景のギャップに驚く人が多いのも、この行事ならではのエピソードといえます。

精霊流しをもっと深く知る豆知識

最後に、知っているとより深く味わえる背景を2つ紹介します。ここまで読んだ方なら、精霊流しの全体像がぐっと立体的に見えてくるはずです。

川や海に流さず陸を曳くようになった理由

かつては精霊船を実際に海や川へ流していた地域もありました。しかし、船の材料が海を漂うとゴミとなって環境を汚してしまう、船の航行の妨げになる、といった問題がありました。そのため現在は水に流さず、決められた「流し場」まで陸を曳いて運び、そこで解体・回収する形が定着しています。名前に「流し」と残っているのは、その名残です。伝統を守りながら、時代に合わせて形を変えてきた行事だといえます。

お盆の迎え火・送り火・灯籠流しの中での位置づけ

お盆は、ご先祖様の霊を家に迎え、また送り出す一連の行事です。お盆の入りに焚く「迎え火」で霊を迎え、最終日の「送り火」で見送る——精霊流しや灯籠流しは、この「送り」の役割を担う行事にあたります。全国的には送り火や灯籠流しが一般的ですが、長崎ではその送りの形が、精霊船を曳く精霊流しとして独自に発展しました。こうしてお盆全体の流れの中に位置づけると、精霊流しが果たす意味がよりはっきり見えてきます。

よくある質問

この記事に関して、よく寄せられる質問をまとめました。

精霊流しは「せいれいながし」と読んでも間違いですか?

はい、正しくは「しょうろうながし」です。「精霊」を仏教では「しょうろう」と読み、亡くなった方の霊を指します。「せいれいながし」と読むのは誤りなので注意しましょう。

精霊流しと灯籠流しはどう違うのですか?

精霊流しは大きな精霊船を陸で曳いて街を練り歩く、爆竹の鳴るにぎやかな行事です。一方の灯籠流しは、小さな灯籠を川や海に浮かべて流す、静かで幻想的な行事です。「陸か水か」「にぎやかか静かか」が大きな違いです。

なぜ爆竹を鳴らすのですか?不謹慎ではないのですか?

不謹慎ではありません。爆竹には道を清め、悪いものを追い払う意味があるとされます。長崎では、しめやかにではなく、にぎやかに明るく故人を送り出すのが供養のかたちとして受け継がれています。

精霊流しはどこで見られますか?

長崎市が最も有名で、長崎県内の各地のほか、熊本県の一部や佐賀市など九州の一部地域で行われます。全国どこでも見られる行事ではありません。

精霊流しはいつ行われますか?

お盆の最終日である8月15日に行われます。夕方から夜にかけて、遺族が精霊船を曳いて街を進みます。

まとめ:精霊流しは故人をにぎやかに送るお盆の伝統行事

精霊流し(しょうろうながし)は、亡くなった方の霊を精霊船に乗せてあの世へ送り出す、お盆の伝統行事です。長崎を中心に受け継がれ、爆竹や鉦の音とともに、明るくにぎやかに故人を見送るのが大きな特徴です。最後に、この記事の要点を整理します。

  • 読み方は「しょうろうながし」。「せいれいながし」は誤り
  • その年に亡くなった方(初盆)の霊を送る供養の行事
  • 灯籠流しは「水に流す」、精霊流しは「陸を曳く」で別物
  • 爆竹は道を清める意味があり、不謹慎ではない
  • 8月15日に、長崎を中心とした九州の一部地域で行われる

読み方や意味、灯籠流しとの違いまで押さえておけば、お子さんや家族に聞かれたときも自信を持って説明できます。今年の夏、ニュースやさだまさしさんの歌で精霊流しに触れたら、その背景にある温かい供養の心にも、ぜひ思いを寄せてみてください。

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この記事を書いた人
ヨムーノ 編集部

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