【漫画】「トイレにも行けない…」人生初登山でキリマンジャロに挑んだ私→山頂目前で突然、体に異変が…!
- 2026年07月18日公開
こんにちは、約2年かけて1人で世界一周したヨムーノライターの佐々木舞です。
世界60カ国ほどを巡った中で特に印象に残った経験が、アフリカ大陸最高峰「キリマンジャロ」に登ったこと。しかも"人生初登山"で。
今回はキリマンジャロ最終回です。
すでに、ひどい高山病、寝不足、疲労で満身創痍の私たち。きっとこれが人生最初で最後のキリマンジャロアタック。
登れるか。それともリタイアか……?
突然起こった覚醒
(ピンクの服を着たのが私)
登山4日目も高山病はいっこうに良くならず、なんとか、登りの最後のキャンプ場に到着。 ついに山頂を目指す最後の登山が始まります。
この時点で私は、すぐ近くのトイレに行くことすらままならない状態。
きっと私は山頂の景色をこの目で見ることはできない。だけど1歩でも高いところまでいこう。1秒でも長くこのチームのメンバーでいよう。
私は静かに目を閉じ、心の中で10秒唱えた。
これは小さな頃からの癖。
何がきっかけかは覚えていないけれど、弱い自分が顔を出した時、いつからか私は目を閉じゆっくり心の中で10秒数えて深呼吸をするようになった。
そして10数えて目を開けると、そこには強い自分が立っている。そんなふうに頭の中でイメージする。おまじないみたいなもの。
自分の息遣いを聞きながら心を落ち着かせながら数えた。よし、私はやれる!
歩き出そうと一歩前に足を出した瞬間……。

「あれ……?」
奇妙なことが起きた。
体が嘘みたいに軽い。まるで近所の公園を日向ぼっこしながら散歩しているような、そんな感覚に陥っている。辛いどころか、気持ち良さまで感じている。
なにこれ。とにかく体が軽い。羽が生えたかのように軽い。私は無意識にお気に入りの歌を口ずさんでいた。
周りのみんなも私を見て驚いている。結局そんな時間が5時間も続いた。今思い返しても、本当にあの時間は魔法にかかったみたいだった。
そうこうしていると朝日が昇り始めた。

朝日が登り切るまで、誰一人として微動だにせず、誰一人として口を開かなかった。
動けなかった。
ただただ目の前で変わりゆく地球の表情に魅せられた。

私は自分が泣いていることにさえ気づかず、じっと太陽を眺めていた。
そして、朝日が昇るのと同時に、魔法が解けてその場に倒れた。
みんなで見た、人生最初で最後の景色

少し休んで、私はまた歩き出した。この時のことは、ただただツラかった記憶しかない。
数分が何時間にも感じられて、たった10mが果てしなく遠い。えずいても、もう吐くものは何もない。自分の苦しい呼吸しか聞こえない。
ここまできてリタイアの決断をした人たちと何人もすれ違う。
歩かなきゃ。歩き続けなきゃ。足を前に出さなきゃ。つらい。もうやめたい。
そういえば、キリマンジャロに登るって宣言した時みんなからの反応は、冗談と思われて笑われるか、本気で止められるかのどちらかだった。

だけどね。
私、ここまできたよ。
夢にまで思っていた、夢だと思っていたこの場所に立てたよ。
(キリマンジャロの山頂より)
意外と、達成感とか、感動とか、高揚とか、そんなふうに感情が激しく動くことはなく、私の心は、穏やかに満たされていた。
もう、人生で二度と見ることがない標高5,895m、キリマンジャロの山頂からの景色を静かにゆっくり見渡した。

凛として美しい空気。1万年以上前からあるとされている、絶壁のように切り立つ氷河。足元に広がる雲と、地上に向けて優しく色が変化していく青空。静かだ。とっても静かだ。
私はこの景色を一生忘れない。
そうそう……。キリマンジャロの山頂で飲んだキリマンジャロコーヒーは人生最高の1杯でした。
キリマンジャロに登って変わったこと、変わらなかったこと

強くなりたくて、弱い自分とさよならしたくて登ることを決意したキリマンジャロ。
新しい自分になれたか?
答えはNOです。
いくらしんどいと言ったって、たった1週間の出来事。人間はそんな簡単には変わらない。

だけど、弱い自分を受け入れること、認めることが出来ました。それと同時に、私は自分が思っていたほど弱くないし、思っていたより強いことを知りました。
それで十分。
そういえば一つだけ変化がありました。
隠さずに自然に「私、右耳が聞こえないので右側に座っていいですか?」って言えるようになった。元気なフリをせず「体調が悪い」と言えるようになった。
たったそれだけのことだけど、ずっと出来なかった。
隠すんじゃない。我慢するんじゃない。今の自分を認めて受け入れて、そして周りを頼れるようになりました。
キリマンジャロ登山は本当にしんどかった。人生で一番辛いチャレンジだった。
だけど、登って本当に本当によかった。
みんな、ありがとう。元気でね

下山後、マックス、ジャスティン、ジェームス、カイ君、そして私のメンバー全員でささやかな打ち上げをしました。

全員一致で「もうキリマンジャロは見たくもない!」という意見だったので、あえて見えないお店をチョイス。
みんな、顔は日焼けでボロボロ、筋肉痛なのかなんなのか、体もうまく動かせなくてロボットみたい。だけど、心はこの上なく元気。お喋りと笑い声が止まらない。
ふと誰かが言った。
「僕たちにもう不可能はない。どんなことだってできる。だって……」
そこまで聞いて、全員が声を合わせた。

そしてみんなで顔を合わせて笑った。
明日にはそれぞれがそれぞれの場所へと飛び立つ。
あんなに濃い時間を共にしたのに今日でさようなら。

今でも目を閉じると
豪快に笑うマックスの笑顔、
『お舞さーん』と私を呼ぶジェームスの声、
何度も何度も差し出されたジャスティンの手、
みんなを笑わせようとするひょうきんなカイ君の仕草、
なんだって鮮明に思い出せる。
助け合って、励まし合って、たった1週間だったけど私たちはとてもいい仲間だった。
なのに、中にはもう二度と会えない人もいるかもしれない。旅ってさみしいね。
みんながそれを分かってる。だから、なかなか打ち上げの会を締める言葉を出せなかった。そして夜遅く、私達はそれぞれの宿へと帰った。
本当に本当にありがとう。みんなのこと一生忘れない。
イラスト:きびのあやとら
週3回以上100均で宝探しをしています。「お得に、だけど我慢しない豊かで快適な暮らし」をモットーに工夫しながら毎日を過ごす元TVリポーターのwebライター。趣味はグルメと海外旅行、特技はコスパ最高アイテムを見つけるコト!そんな私が見つけた素敵なモノをご紹介します♪
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