年収300万円台でも年100万円貯まる!プロが教える「家計見直し」術

  • 2023年06月23日更新

こんにちは、くふうLive!編集部です。

「年収300万円台でも年100万円」貯めている人がいますよね。年収に関係なく、貯蓄が上手くいく人と、失敗する人がいます、と語るのは、ファイナンシャルプランナーの小沢美奈子さん。

その差は、一体何でしょうか?
「マネー相談や取材を通して、多くの家庭の家計簿を見てきました。そこで思うのは、貯蓄が上手くいっている人は“毎月、家計簿をつける”習慣があることです。そして“定期的に家計を見直していること”が特徴です」

たしかに1,000万円貯めている節約達人たちは、ほぼ全員が「一度はかならず家計簿をつけた」経験があります。一度きちんと家計簿をつけて、毎月の収支がわかれば、その後は「カレンダー」や「手帳」などに、簡易的にメモをして、家計を把握している人もたくさん。
共通して言えるのは、どんな人でも、家計を見直すことで、出費にムダがないか「家計を改善しながら、お金を貯める」のが近道だということ。ムダを省けば、あとは自然と貯蓄が倍増するのです。

そこで今回、お金をしっかり貯める、貯蓄が成功する「家計の見直し方」と「仕組みの作り方」を聞きました。

監修・執筆者紹介

【ファイナンシャルプランナー】小沢美奈子

お金の管理が苦手だった経験を活かし、「お金のことを誰よりもわかりやすく伝える」をモットーに家計術・節約術、貯金術などを発信中。保険会社出身のファイナンシャルプランナーとして、数多くのメディアなどで活躍。著書に『本物の節約 残念な節約』(河出書房新社)ほか。
小沢美奈子

家計の見直しは「全体の収支」を読み解くだけ

いくら資産があったとしても、それを上回る負債(いわゆる借金)があれば、健全な家計とは言えなくなってしまいますよね。
家計の健全度を測るために、純粋な資産額(純資産と言います)を確認してみることをおすすめします。

純資産額は、「資産」から「負債」を引いて計算し、「バランスシート」(下記参照)と使うと計算できます。純資産額が多いか少ないかは、その家の持久力の大きさに相当します。たとえば、失業など不測の事態が生じたとしても、持久力のある家計(=資産の多い家計)なら、当面は生活していくことができますよね。

「持久力のある強い家計」を作るためには、純資産をできるだけ多くする必要があります。そのためには、貯蓄を増やすことはもちろん、定期的に家計簿を見直して無駄をなくていくことも大切です。

ここからは、家計簿の項目ごとの見直し方を解説します。

家計の「固定費」を見直す

家計の見直しをする際、真っ先に行った方がいいのは「固定費の見直し」です。なぜかというと、居住費や保険料など、一度に出ていく金額の大きい固定費の見直しは、10円や100円単位で節約できる変動費の見直しより、ずっと楽に節約ができるからです。
以下の3大固定費における見直し方を確認してみましょう。

住居費

【賃貸物件の人】 家賃が高いと感じている人は、契約更新のタイミングなどで、家賃の低い物件に引っ越すことを検討してみましょう。「駅から離れている」「築年数が経っている」などの物件は、家賃相場が低いことが多く、そういった物件に引っ越すのも一案です。

また、「お得な制度の活用」や「お得な賃貸物件を選ぶ」という方法もあります。たとえば、子育て世帯や新婚世帯向けの「家賃補助制度のある自治体」に引っ越せば、家賃の負担を減らせる可能性が大。また、「礼金・仲介手数料・更新料がかからないUR賃貸住宅」に住み替えるという手もあります。

【持ち家の人】 依然として住宅ローンの金利は低い状態が続いています。住宅ローンを組んでいる人なら、借り換えによりローンの負担を減らすことが可能です。
下記の3条件を満たしている人は、住宅ローンの借り換えを検討してみてください。

①住宅ローン残高が1,000万円以上ある
②借り換え後の金利が1%以上低くなる
③ローンの残存期間が10年以上ある

「面倒くさそう」と先送りせず、固定費から減らす…なかでも大きな割合をしめる住居費から見直すことは、効率的に貯蓄を増やしていく秘訣の1つです。

保険料

生命保険や損害保険など、保険料の見直しでは、無駄な保障(補償)は付いていないか、保障(補償)の重複はないか、保険のかけ過ぎはないかを重点的にチェックします。その上で、保障(補償)を外すことや、解約することなどを検討しましょう。

ただし自分で判断できないようなら、保険の見直しに強いファイナンシャルプランナーに相談するのも一つも方法です。「かけすぎ」も、「かけなさすぎ」もリスクがあるので、最適なプランを見直しましょう。

通信費

通信費は、料金プランを変更することや、使っていないオプションを解約することで、料金を下げることができます。
また、最近は電力自由化によりスマホとのセット割プランを用意している電力会社があり、それに加入することで使用料を下げられるケースもあります。

そのほか、1台あたりのスマホ代が5千円を超えているご家庭は、格安SIMに変えることを検討してみましょう。
さらに固定電話を使う頻度が低いようなら、固定電話を解約する手もあります。

家計の「やりくり費」を見直す

固定費の見直しの次に大切なのが、日々のやりくり費を見直すこと。食費や日用品費といったやりくり費の見直しは、すぐに大きな見直し効果は見込めない分、こつこつ続けることが重要。長く続けるには、無理のない方法で行うのがポイントです。

食費

「食費を使い過ぎている」と感じた場合は、もしかしたら予算の立て方に問題があるかもしれません。まず食費の予算は、「月収の2割程度」を目安に立てておきましょう。

また、家計簿の中では「食費」とひとまとめで管理するのではなく、できるだけ「外食費」、「コンビニ代」、「自炊する分の食費」というように細かく分けて管理した方が、見直しがしやすく、使い過ぎを防ぐことができます。

日用品費

日用品費も食費と同じように、見直しやすいように、日頃から家計簿の中で項目を細かく分けて管理することをおすすめします。たとえば、子どものいるご家庭では「子ども費」という項目を作ることや、ペットがいるなら「ペット費」などと分けるといいでしょう。

特別費

税金(固定資産税、自動車税)、家の修繕費、家電の買い替え費、賃貸物件の場合は更新料、車検代など、不定期に出ていくお金を特別費と言います。特別費は、前年の家計簿を参考にしてあらかじめ1年分の予算を立ておき、生活費の口座とは別口座で管理しておくことを鉄則としましょう。

また特別費は、ボーナス時にまとめて貯めておくという方法もありますが、その方法が厳しい場合は、1年分の予算を12分割して、毎月の貯金とは別に貯めていく方法が貯めやすくておすすめです。

資産を増やして負債を減らす

強い家計を作るためには、純資産をできるだけ増やすことが重要ということは既にお伝えしました。純資産はどのように増やしたらよいのでしょうか。資産を増やすだけではなく、負債を減らすことの合わせ技で取り組むのがコツです。

まず、資産の増やし方は、日々の家計管理で増やしていくことはもちろん、貯めたお金は普通預金に預けっぱなしではなく、定期預金や個人向け国債など、少しでも金利のよい商品に預けることで効率よく増やすことができます。

一方、負債の減らし方については、仮に負債の原因が住宅ローンなら、繰り上げ返済をすることや、金利の低い金融機関に借り換えをすることなどが、対応策として考えられます。
中には奨学金の返還が続いているご家庭もありますが、その場合は、なるべく繰り上げ返還をするマネープランを立てましょう。

「貯蓄は月収の2割」程度を目標に

今は、かつてのようにお給料が毎年上がっていくという時代ではなくなりました。そんな時代に頼れるのは、やはり「貯蓄」です。基本的には「月収の中から2割程度」の貯蓄ができていて、残りのお金で生活できていれば、収支のバランスは合格点だと思ってください。

しかし貯蓄ができていないのなら、家計の見直しで支出を減らすことや、場合によっては働いて収入を増やすことを考えてみましょう。

家計の見直しは「貯蓄の具体的なゴール」を決めてから

ひたすら節約してお金を貯めるだけの生活では、だれだって楽しくないものです。

そこで必要なのは、貯蓄のための具体的なゴール。 「何のために、いつまでに、いくら貯める」の3つを明確にしておくと、モチベーションが上がり、楽しくなるでしょう。

<例> *「マイホームの頭金として、5年後までに、500万円貯める」

  • 「家族でハワイに行くために、3年後までに、100万円貯める」

  • 「最新のドラム式洗濯乾燥機を買うために、2年後までに、20万円貯める」

など、みなさんの、具体的なゴールが決まったら、紙に書き出して、目に付くところに貼っておいてください。
きっとみなさんの貯蓄のスピードはアップするはずです。

この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー
小沢美奈子

大学卒業後に損害保険会社で合計16年間勤務後、2012年よりファイナンシャルプランナーとして活動開始。記事の執筆、セミナー講師、家計相談などを行う。2児の母。著書「本物の節約 残念な節約」(河出書房新社)

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