行ったつもりになれる!?【EXPO 2025 大阪・関西万博】トップの人気&行列を誇る【イタリア館】詳細レポ
- 2025年10月10日更新

こんにちは、ヨムーノ編集部です。
いよいよ10月13日に終幕を迎える「EXPO 2025 大阪・関西万博」。当初、「閑古鳥が鳴くのでは」などと心配されましたが、フタを開けてみたら大盛況!とにかく何を見るのも大行列と、SNSでも話題になっていました。
なかでも1、2を争う大人気となっていたパビリオンがイタリア館です。実際に現地に行ってきましたので、詳しいレポートをお届けします!
パピリオンの建物自体もアート!
「いのち輝く未来社会のデザイン」をメインテーマにかかげた今回の大坂・関西万博。世界中の課題解決のために未来に向けてできることを、各国が趣向を凝らしてパビリオンにて展開。その国々の特色が出た展示物の数々は、人々を魅了してやまないものでした。
なかでも、「芸術が命を再生する」がテーマのイタリア館は、国宝級の美術が一堂に会するとあって人気が集中。X(旧Twitter)では「待ち時間8時間」という情報も飛び交うほどです。
▲撮影/世利 隆之 Courtesy of Italy Pavilion at Expo 2025
パピリオンのデザインは建築家マリオ・クチネッラ、MCA(マリオ・クチネッラ・アーキテクツ)によるもの。「ピアッツァ(広場)」「テアトロ(劇場)」「ジャルディーノ(庭園)」からなる、ルネサンスの理想都市を現代的に再解釈した建物となっています。
ヨムーノ編集部が伺ったのは9月末。パピリオン前は人・人・人で、全容を写真に収めるのも困難なほどでした(汗)。
それでは、館内の美術品を詳しく見ていきましょう!
ファルネーゼ・アトラス - 古代ローマの至宝が日本初公開!
まず圧倒されるのが、紀元2世紀の大理石彫刻「ファルネーゼ・アトラス」。日本初公開のナポリ国立考古学博物館の至宝です。
高さおよそ2メートル、重さなんと2トンもある巨大な彫刻が、目の前にドーンと鎮座しています。
実はこの作品、アート作品としてだけでなく、科学的にも超重要。アトラスが支える球体は地球と思いがちですが、実は宇宙そのもの。6mmの浅浮き彫りで星座や四方位、天と地が精巧に彫られています。これが古代においてもっとも正確な星座の表現の一つとされていて、何世紀にもわたって天文科学に影響を与えてきたのだそう。
技術的・科学的知識が芸術性と融合した、まさに人類の叡智の結晶。目の前で見ると、その迫力に言葉を失います……。
ミケランジェロ『復活のキリスト』
次に目を奪われるのは、1514年〜1516年頃に製作された、ミケランジェロ・ブオナローティ(1475年〜1564年)の『復活のキリスト』。高さはおよそ205cmの大理石像です。
キリストの復活の瞬間を象徴し、右手に十字架を持つ姿で表現されています。大理石のなめらかな質感、布のドレープ、身体のやわらかさ……ミケランジェロの技術の高さに、ただただ感嘆するばかり。
普段はイタリア・ラツィオ州バッサーノ・ロマーノのサン・ヴィンチェンツォ・マルティーレ教会に安置されており、これもまた門外不出クラスの名作です。
実はこの作品、なんとこの美しさでありながら未完成なのだそう。それを証拠に、十字架の側面は加工が施されていない状態なんです。
天然の大理石ゆえに彫るまではわからなかった黒い筋が顔に当たってしまったため、ミケランジェロは制作途中で放棄。顔をよく見ると、まるで涙を流しているかのように、黒い筋があるのがわかります。
ティントレット『伊東マンショの肖像』
日本人にとって、特別な感慨を覚える作品がこちら。1585年にドメニコ・ティントレットによって描かれた「伊東マンショの肖像」です。
この肖像画は、日本からの大使の訪問に際してヴェネツィア元老院の委嘱により制作されたもの。ヨーロッパにおける日本初の外交使節団「天正遣欧使節」を率いた若き貴族、伊東マンショが描かれています。この絵画は、その象徴的な意味から選ばれました。
そして、この絵画が「伊東マンショ」を描いたものとしてミラノで発見されたのは実に2014年のこと。裏側に記されたメモが、その手がかりとなりました。
今回のイタリア館展示では、そのメモ書きも見られるよう、裏側もガラスで展示されています。
『紅の豚』のあの飛行機も!
さらに見逃せないのが、宮崎駿監督の『紅の豚』ファン必見の展示!1920年にイタリア人パイロット、アルトゥーロ・フェラーリンがイタリアから日本まで飛行した「木造プロペラ機(アンサルド SVA-9)」の実物大レプリカです。
『紅の豚』でポルコの友人として登場したフェラーリンは、このアルトゥーロ・フェラーリンから名前をとっているのだそう!
この飛行機、ローマ〜東京間、およそ1万8千キロを109日間かけて飛行した歴史的な機体。到着した代々木練兵場には、その雄姿を見ようと20万人もの群集が集まったそうです。
貴重なオリジナルはそのまま日本にとどまりましたが、残念ながら第二次世界大戦で消失。
今回のレプリカは、オリジナルの技術図面に基づいて忠実に再現されたものです。
レオナルド・ダ・ヴィンチの直筆スケッチ!
あの天才レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)の直筆スケッチも目玉のひとつ(目玉がいくつあるのか……)!ミラノのヴェネランダ・アンブロジアーナ図書館所蔵の「アトランティックコード」から、保存上の理由から定期的な入れ替えを行いながら厳選された4枚のページを展示。
「アトランティックコード」というのは、レオナルドが残した1,119枚のシートからなるコレクション。科学(解剖学、物理学)、技術(機械、飛行装置)、芸術(スケッチ)、建築(都市計画)など、幅広い分野のメモや素描が含まれています。1637年以来、図書館が大切に所蔵してきた宝物です。通常は厳重に保管されているため、これほど間近で見られる機会は極めて稀なんだとか。
文字をよく見ると左右逆転していて、あの有名なダ・ヴィンチの鏡文字を見ることができます。
カラヴァッジョの名画『キリストの埋葬』
イタリア館内に設置された「バチカンパビリオン hosted by Italy」。ここには、バロック期の巨匠カラヴァッジョ(1571年〜1610年)の傑作『キリストの埋葬』が展示されています。
この作品、現在はバチカン美術館の絵画館に置かれている門外不出の名作!サイズは300×203cmの大型作品で、1602年〜1604年に制作されました。
キリストがゴルゴダの丘で十字架から降ろされ、遺体が準備される場面を描いています。左側に聖母マリア、中央にマグダラのマリア、そして両手を上げて悲しむクロパのマリアという3人のマリアが印象的に描かれています。
この作品の特筆すべき点は、通常は若い娘のような美しさで描かれる聖母マリアが老女として描写されていること。キリストの死をいたみ、より深い悲しみをたたえた聖母マリアを見事に表現しています。
現代アートも見逃せない!
ヤゴ『循環器系』
心臓の鼓動を芸術作品に変えていくというコンセプトのインスタレーション。30個の白い液体セラミックのハートが円形に配置されていて、生命の継続的で無限のリズムを象徴。そしてこの心臓を連続して投影すると、一つの心臓が鼓動を打つ様が浮かび上がります。
オリアナ・ペルシコ『pneumOS』
データを音に変換する5つのサウンドメンブレンと、都市の呼吸をシミュレートする呼吸バッグで構成された作品。最新技術と芸術の融合を体感できます。
ボッチョーニ《Forme Uniche nella continuità(連続性の中の唯一の形態)》
空間と速度に対する探求を示す、芸術・工学・科学の融合を象徴する作品。
難解な芸術作品のように思えますが、イタリア人にとってはとても馴染みのあるフォルム。というのも、イタリア・20セントユーロ硬貨の裏面に描かれているのだそうです。
2026年ミラノ・コルティーナ冬季オリンピック2本の聖火も来日!
建築家カルロ・ラッティによってデザインされた、2026年ミラノ・コルティーナ冬季オリンピック2本の聖火が世界初公開。いよいよ来年にせまったイベントの大切な聖火も、日本のために特別に展示されました。
また、先日には10月13日にパビリオン正面のイタリア広場にて万博のクロージングセレモニーを開催するとの発表も。そこで、ミラノ・コルティナ2026 冬季オリンピックおよびパラリンピックの聖火トーチ引き継ぎ式が行われる予定です。
式典には、聖火ランナーであり世界的元アスリートのカロリーナ・コストナー元選手、マルティナ・カイローニ元選手、そして日本の宮原知子元選手が登場するので、これまた見逃せません!
まとめ
通常では絶対に一堂に会することのない、古代ローマからルネサンス、バロック、現代までの至宝が集結したイタリア館。門外不出の名作を、しかも撮影自由で鑑賞できるという、まさに奇跡のような機会でした。
待ち時間は長くとも、その価値は十二分にあるはず。芸術に興味がある方はもちろん、そうでない方でも圧倒される体験ができます。
またもし今回イタリアの至宝の数々を見逃した方はぜひ現地へ!来年のオリンピックを今から予定してみるのはいかがでしょうか。
▲撮影/世利 隆之 Courtesy of Italy Pavilion at Expo 2025

「くらしをもっと楽しく!かしこく!」をコンセプトに、マニア発「今使えるトレンド情報」をお届け中!話題のショップからグルメ・家事・マネー・ファッション・エンタメまで、くらし全方位を網羅。
こちらもどうぞ
人気記事ランキング
24時間PV集計
大阪
特集記事
-
2025年07月31日
-
2025年04月18日
-
2024年08月09日PR
-
2024年05月02日
連載記事
-
2019年08月21日
-
2019年05月28日