【2020年度】パート・アルバイトでも「確定申告が必要な人」の条件は?

  • 2023年06月27日更新

こんにちは、くふうLive!編集部です。

※新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、2020年度(令和2年度)の所得税・贈与税・消費税(個人事業者)の確定申告の期間が4月16日(月)までに延長されました。

毎年この時期になると、「確定申告」という言葉を聞く機会も増えるのではないでしょうか?

パートやアルバイトは「確定申告をする必要がない」と思っている人も多いかもしれません。しかし正社員ではなくても、自分で申告をしなくてはいけないケースがあります。

そこで今回、2020年度(令和2年度)の確定申告で、勤め先が年末調整を行っていない場合や、副業で一定額以上の収入があった人など、パート・アルバイトでも「確定申告が必要な人」の条件について解説します。

監修・執筆者紹介

【経済ジャーナリスト】酒井富士子[サカイフジコ]

金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。 リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。
酒井富士子

【パート・アルバイトの確定申告1】勤め先で年末調整が行われていない場合

パートやアルバイトで働いていても、一定額以上の収入がある場合は、所得税にあたる金額を差し引く、「源泉徴収」をされて支給されています。源泉徴収は基本的に1カ月の収入が8万8,000円以上、もしくは日給で2,900円を超える場合に行われます。

源泉徴収された金額は、勤め先で年末に払い過ぎた分を計算し、払い戻す手続きを行います。これが「年末調整」です。この年末調整は、パートやアルバイトは対象外という会社もあります。勤め先が年末調整を行っていない場合は、自分で確定申告をして、払い過ぎた税金を取り戻す必要があります。

扶養の範囲内の年収103万円以下(月収8万5500円)の人は、毎月の給与から所得税はひかれないことになっています。ですが、月によって給与が8万8000円以上になっているときは、源泉徴収されていることもあります。そうした場合、会社が年末調整を行っていないならば、自分で確定申告をする必要があります。

【パート・アルバイトの確定申告2】掛け持ちでパート・アルバイトをしている場合

年末調整ができるのは「1社のみ」です。複数の勤め先で、掛け持ちをして働いている場合は、そのうちの1社でまとめて年末調整を行うことができます。そのさい、年末調整をしてくれる会社に、他の会社の源泉徴収票を提出して手続きをしてもらいます。それができない場合、年末調整をしていない収入の分は、自分で確定申告をしなくてはいけません。

【パート・アルバイトの確定申告3】副業で20万円以上の収入があった場合

パートやアルバイト以外に、ネット販売やアフリフェイトなどの副業で、収入があった場合はどうすればよいでしょう。申告が必要なのは、「副業収入が20万円を超えた場合」です。パートやアルバイトの給与以外で得た副業収入は「雑所得」として申告します。この雑所得は「売上-必要経費=20万円以上」であれば、給与以外の所得として確定申告をする必要があります。

さらに扶養の範囲内で働こうと思っている人は要注意です。扶養が適用されるのは、所得の合計が38万円未満です(所得が給与のみの場合は、給与収入が103万円以下)。副業で20万円を超えている場合は、パート・アルバイトでの収入を18万円未満にし、給与所得と副業による雑所得の合計を38万円未満に調整する必要があります。

【パート・アルバイトの確定申告4】年度の途中で退職、転職した人

1月から12月の間の年度途中で退職した場合は、勤め先で年末調整を行っていない可能性があります。その場合自分で確定申告をしなくてはいけません。
また転職をした人に関しては、退職した会社の源泉徴収票を転職先に提出をすれば、合わせて年末調整を行ってもらえる場合もあります。この場合は、自分で確定申告をする必要がありません。

【パート・アルバイトの確定申告5】家族全員の医療費の合計が10万円を超えた人

確定申告では所得税の申告の他に、高額な医療費がかかった場合など、税負担を軽くするための「医療費控除」をうける手続きもできます。
医療費控除は、家族全員の年間の医療費が10万円を超えるとうけられる制度です。この場合の家族とは、同じ家に暮らしていなくても、生活費を仕送りしている子どもや実家の親、単身赴任中の夫など「生計を一にする」家族であれば、対象となります。

年末調整が済んだ人であれば、自分で医療費控除のみの申告もできます。また所得が200万円未満の場合は、所得金額の5%を超えた分が対象となります。

例えば年収185万円の場合:

185万円-給与所得控除額65万円=120万円
…120万円の5%の6万円を超えた分が対象です。

また平成29年度分(平成28年、2017年にうけた医療費)の申告から、“医療費控除の特例”として新たに「セルフメディケーション税制」加わりました。これは対象医薬品に指定された市販薬をドラッグストアなどで年間1万2000円を超えて購入すると、所得から控除される制度です。 ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できないので、どちらかを選択して申告することになります。

【パート・アルバイトの確定申告】まとめ

パート・アルバイトの人でも、以上の条件に当てはまれば、確定申告の必要があります。転職をした、ネット販売など副業で収入があった、病院にかかる機会が多かったなど、思い当たることがあれば、確認してみることをおすすめします。

この記事を書いた人
経済ジャーナリスト
酒井富士子

経済ジャーナリスト/
金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。
日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。
リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。
「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。

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