「つみたてNISA」と「iDeCo」、どちらを選ぶべき?2つの違いをチェックしよう
- 2023年06月27日更新
こんにちは、くふうLive!編集部です。
「つみたてNISA」と「iDeCo」はどちらも将来のためにお金を積み立てるための制度で、運用益で非課税になる点も同じであるため、しばしば比較されます。
しかし、この2つは一見似ているように感じますが、違う点が多数あります。ここからは2つの制度の違いや、それぞれがどのような人に向いているかを解説していきます。
監修・執筆者紹介
【経済ジャーナリスト】酒井富士子[サカイフジコ]
- 金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。 リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。
つみたてNISAとiDeCoの違いとは
つみたてNISAとiDeCoの違いはさまざまな観点から整理することができます。
①目的
1つ目の違いは「目的」です。つみたてNISAの場合、利用する目的は限定されていません。住宅や自動車の購入、子どもの資金準備など、中〜長期的なスパンで運用し、幅広い目的のために利用することができます。
それに対してiDeCoは、老後資金を自分で準備することを促進するための制度です。そのため、つみたてNISAは途中解約し、いつでも資金を引き出すことができますが、iDeCOは原則として60歳まで引き出すことができません。
②税制メリット
2つ目の違いは「税制メリット」です。通常の投資では、運用益に対して約20%の税金がかかりますが、つみたてNISAやiDeCoを利用すれば非課税になります。
これは、両方に共通する運用時のメリットです。ただしiDeCoの場合は、それに加えて積立時、受取時と3段階で手厚い税金優遇を受けることができます。特に積立時の掛金は全額所得控除の対象となり、所得税と住民税負担を軽減できます。
③金融機関選び
3つ目の違いは「金融機関選び」です。つみたてNISAは基本的に、積立時から受取時まで一貫して手数料がかかりません。
そのため手数料の面でみれば、金融機関はどこを選んでも問題ないと言えます。商品ラインナップや使い勝手などは金融機関によって違うため、その点を重視する必要があります。対してiDeCoの場合、積立・運用・受取のそれぞれの時点で手数料がかかります。
iDeCoは税制メリットが大きいので、手数料面でのデメリットはそれほど大きくないですが、口座管理手数料は金融機関によって変わるので、できるだけ安いところを選びたいところです。
④選べる商品
4つ目の違いは「選べる商品」です。つみたてNISAの場合、投資対象は投資信託(ETFを含む)のみが対象で、定期預金や保険は対象外です。
商品は金融庁の厳しい条件をクリアしたもののみに厳選されており、すべての投資信託が手数料無料となっています。一方でiDeCoでは、元本確保型(定期預金・保険)または元本変動型(投資信託)から選択することができます。
iDeCoのほうがつみたてNISAよりも選択の幅が広く、投資が苦手な場合は、定期預金や保険などの元本確保型からスタートしても税金面での優遇を受けることができます。
つみたてNISAとiDeCoは、それぞれどんな人に向いている?
先ほど解説した2つの制度の違いを知れば、それぞれどのような人に向いているかも自然と見えてきます。
つみたてNISAに向いている人
投資初心者
投資初心者によくあるのが、「何に投資したら良いのかわからない」という悩み。その点、つみたてNISAではコストや信託期間などの観点から、金融庁の一定基準をクリアした商品のみが取り扱われているため、初心者でも安心して始めることができます。中長期で備えたい資金がある人
すでに説明したように、iDeCoには無いつみたてNISAのメリットは、いつでもお金を引き出すことができるということです。そのためつみたてNISAは、住宅や自動車の購入、子どもの教育資金など、老後資金とは別の用途のための資金を貯めるために活用することができます。55歳以上の人で老後資金の準備を考えている人
老後資金を準備するには、基本的にiDeCoを活用するのがベター。ただし、55歳以上の人が老後資金をこれから準備するのであれば、つみたてNISAがよりオススメです。というのもiDeCoの掛金を拠出できるのは、現時点で60歳まで。
55歳上の人がそのタイミングで加入すると拠出期間は最長でも5年間です。それに対して、つみたてNISAには期限がないため、55歳から何歳まででも積立・運用することが可能です。
iDeCoに向いている人
老後資金を準備したい人
上で述べてきたように、iDeCoの基本的な目的は老後資金を準備することです。そのため、iDeCoに向いている人としては、教育資金など中~長期的な目的ではなく、「老後のためのお金」を準備したいという人が挙げられます。
またiDeCoは、原則として60歳まで引き出すことができないという強制力があるので、貯金をするのが苦手という人がお金を貯めるのにも有効です。自営業の人
自営業やフリーランスの人は、会社員や公務員のように厚生年金がないため、将来的に支給される年金額は少なくなりがちです。
そのためiDeCoは老後資金を準備する有効な手段となります。しかも、iDeCoは会社員よりも自営業のほうが拠出できる額が多く設定されているなど、国政年金がない背負う自営業の人に、より手厚い制度となっています。
まとめ
つみたてNISAとiDeCoを比較していくと、両者は似ているようにさまざまな点で違いがあるということがわかります。何を目的にしてお金をつくっていきたいのかを考えると共に、自分の年齢などを考慮して、どちらを利用するか検討するとよいでしょう。
ちなみに、この2つの制度は併用することができます。よって、余剰資金があれば、どちらか一方だけでなく、両者を目的に合わせて賢く使い分けていくのがベストといえるでしょう。
※2019年9月30日現在の情報です。
経済ジャーナリスト/
金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。
日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。
リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。
「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。
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