「血圧を下げる飲み物」は意外に身近にある!毎日飲みたい「降圧ドリンク」とは?
- 2023年06月27日更新
こんにちは、くふうLive!編集部です。
「血圧を下げる飲み物」と聞くと、特定保健用食品(トクホ)のドリンクをイメージし、「毎日続けては摂りにくい」と感じているかもしれません。でも意外と、私たちにとって身近で毎日取り入れやすい飲み物の中にも、血圧を下げる効果が高いものが、実はたくさんあります。
今回は、血圧を下げる飲み物について、医学博士の渡辺尚彦先生に伺いました。
血圧を下げる飲み物で血圧は改善する?
高血圧には、遺伝や生活習慣などさまざまな原因があります。たとえば、ストレス過多で交感神経が過敏に働いているため、血管が収縮して高血圧となっている場合は、飲み物だけでは改善は難しいものです。
ですから単純に「ある特定の飲み物を飲んだから下げることができる」と考えず、日常生活のさまざまな要因を見直すことも大切です。
また高血圧は、生活習慣が大きく関わっているため、血圧を下げる働きのある飲み物を気まぐれに時々飲むだけでは、大きな効果は期待できません。そのためにも血圧が高めな方は、「血圧を下げる効果がある」だけでなく、「毎日、手軽に飲み続けることができる」飲み物を選ぶことが重要なのです。
血圧を下げる飲み物
「緑茶」
台湾・国立成功大学による疫学調査で、「緑茶かウーロン茶を毎日120ml(湯のみ1杯程度)、1年以上飲み続けている人は、高血圧の発症リスクが低い」という結果が発表されています(※)。
この調査によると、お茶を1日に120ml〜599ml飲む人は、お茶を飲む習慣がない人に比べて、高血圧の発症リスクが46%低かったそうです。さらにお茶を1日に600ml以上飲む人の場合は、65%も同リスクが低かったのだそう。
これには、いくつかの理由が考えられます。
緑茶に含まれるポリフェノール酸に強い抗酸化作用があり、血管の老化を防いだり、血管を詰まらせる原因になる悪玉コレステロールを減らしたりする効果があること。
緑茶に含まれるカテキンには、血管の収縮や血圧の上昇に関わる酵素の働きを抑える働きがあること。また緑茶には、リラックス効果のあるテアニンという成分が含まれていて、緊張による血管の収縮を抑えることも理由と考えられています。
※参考:日経メディカル公式HPより
「杜仲茶(とちゅうちゃ)」
杜仲茶(とちゅうちゃ)は、中国原産の落葉樹の一種で、杜仲の葉を乾燥し、煎じたお茶のこと。漢方薬の材料にも使われます。
杜仲茶(とちゅうちゃ)には、副交感神経を刺激するゲニポシド酸という物質が多いため、副交感神経を活性し、神経をリラックスさせて血管を広げる働きがあります。さらにゲニポシド酸には動脈硬化を防ぐ働きもあります。
「ギャバ茶」
もうひとつ注目したいのが「ギャバ茶」。ギャバ茶は、緑茶の一種で、アミノ酸を多く含みます。
抑制系の神経伝達物質として働くため、高めの血圧を改善する作用が確認されています。また、杜仲茶(とちゅうちゃ)と同様に、副交感神経を活性します。
「血圧 お茶」と検索すると、効果の予測されるお茶がたくさん出てきますが、「植物由来が血圧を下げる」といった因果関係は、研究の途上です。もしかしたら、これから新たな発見が出てくるかもしれません。
「ミネラルウォーター(硬水)」
血中の水分が不足すると血液中の水分が減り、濃縮されて流れにくくなり、高血圧や動脈硬化の原因になります。とはいえ、一度にたくさん飲んでも必要な量以上は排出されてしまいますので、1回200ml前後を2時間おきくらいに飲むといいでしょう。
ただの水でもいいのですが、日本の水は欧米の水に比べてミネラルが少量しか含まれていない、いわゆる「軟水」がほとんど。
血液中のナトリウムの濃度が高い状態となっている高血圧の人は、ミネラルバランスを整えて、この状態を改善することが必要なため、できれば、マグネシウムやカルシウムの含有量が豊富な「硬水」がおすすめです。
「甘酒」
甘酒にも降圧効果があります。甘酒に含まれるポリペプチドという成分が、強力な昇圧ホルモンの生成を抑える作用があり、その結果、血圧を拡張させて血圧をさげてくれます。
ただし、糖分が多く含まれるので、飲みすぎには注意してください。
「お酢ドリンク」
お酢に含まれる「酢酸」に血管を広げる働きがあり、お酢を飲むと血圧の上昇を抑えることができます。
お酢は、そのままだと内臓への刺激が大きいため、酸味のまろやかなリンゴ酢などを使い、お酢を水やお湯などで薄めたお酢ドリンクを作って、毎日飲むといいでしょう。
血圧対策「これ飲んでも大丈夫?」
「コーヒー」
コーヒーを飲むと、血圧は一時的に少し上がります。これは主にカフェインが交感神経を刺激するためです。ただしその状態が続くのは通常1時間以内で、繰り返し摂取すると身体に慣れ(耐性)が生じ、血圧の変化は小さくなるため、必ずしも高血圧に大きな悪影響があるとはいえないとされています。
ただし飲みすぎはカフェインや糖分の過剰摂取につながるため、注意しましょう。適量を心がけるようにしてください。
「お酒」
アルコールと高血圧の関係はよく知られていますよね。お酒の飲み過ぎは、それ自体が血圧を上げるとともに、降圧薬が効きにくい「治療抵抗性高血圧」の原因にもなります。健康な人や高血圧の患者さんを対象とした研究でも、アルコールによって血圧が上昇し、飲酒を制限すると血圧が下がることが報告されています。
またアルコールそのものの悪影響に加え、アルコール飲料によるカロリーが高血圧を悪化させる肥満の原因になったり、つまみの塩分が血圧上昇の要因となったりする点からも注意が必要です。
一方、アルコールは、適量であればリラックス効果も期待できます。飲酒している時期の血圧は、飲酒を制限している時期と比べて、日中は高くても夜間は逆に低く、24時間の平均値はほとんど変わらないという報告もあるほど。摂りすぎは良くありませんが、あくまでも「適量であればOK」。
ただし、急激な温度の変化は交感神経を強く刺激するため、末梢血管が収縮して、血圧が上がるので注意が必要です。お酒を飲むときは、キンキンに冷えたビールは避け、人肌ぐらいのぬるめの日本酒がおすすめです。
まとめ
私たちは、お水にお茶、コーヒー、ジュース、お酒など、様々な飲み物を口にしています。
飲み物は、調理が必要な食べ物と比べれば、暮らしの中で取り入れやすいものです。普段から血圧を意識する飲み物を意識的に選んだり、決まった時間に飲むことをルールにしたりと、心がけ次第で血圧をコントーロールすることができます。
さっそく、実践してみてくださいね!
【監修者紹介】 渡辺尚彦[ワタナベヨシヒコ]
- 医学博士。東京女子医科大学東医療センター元教授、愛知医科大学客員教授、早稲田大学客員教授、日本歯科大学臨床教授、聖光ヶ丘病院内科医師。高血圧を中心とした循環器疾患が専門。1987年から連続携帯型血圧計を装着開始。以来24時間365日、血圧を測定し続けている。『血圧を下げる最強の方法(アスコム)』など著書多数。
【参考文献】
『血圧を下げる最強の方法(アスコム)30年間×24時間 自分の血圧を測り続けている専門医だからわかった正しい降圧法』(渡辺尚彦著)
『高血圧をもっと下げる新常識(笠倉出版社)』(渡辺尚彦著)
『誰でもスグできる! 血圧をぐんぐん下げる 200%の基本ワザ(日東書院本社)』(渡辺尚彦著)
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