お客様は65歳以上!誰もが自分らしい暮らしを手に入れる未来を目指して|R65不動産 山本遼さん
- 2023年06月27日更新

「不動産の賃貸契約ができない人・難しい人」というと、どのような人を思い浮かべるでしょうか。「定職がない人」「決まった収入がない人」などを真っ先にイメージされると思います。
もちろんそれも正しいのですが、実は「高齢者」もなかなか思うように賃貸物件を借りることができません。その対策として、国も高齢者を対象とした賃貸住宅の情報提供システムを推進するなどの施策を勧めています。
そんな現実のなかで2015年5月に、65歳以上の高齢者を対象とした「R65不動産」が誕生しました。なぜ賃貸契約が難しいと言われる高齢者を対象に、事業をはじめようと思ったのでしょうか。R65不動産を営む山本遼さんに話をお聞きしました。
プロフィール
- R65不動産 山本遼さん
- 広島出身の26歳。愛媛の大学を卒業後、不動産会社に就職。入社2年目に東京に異動となり、社会人4年目の春、R65不動産を立ち上げた。
きっかけは80歳のお客様、自分にしかできないことで誰かの力になれる。
――R65不動産を立ち上げたきっかけは何ですか?
社会人になったとき、衣食住のどれかに関わる仕事がしたくて不動産会社に就職しました。その会社で、80歳のお客様の部屋探しをお手伝いしたことがきっかけです。
高齢者は決まりにくいため、それまではご相談を断っていました。でもその方に「5社目だ」と言われ大きなショックを受け、自分が怠慢だったことに罪悪感を覚えました。
部屋探しを始めると案の定本当に大変でしたが、見つからないとお客様が困ってしまうのでがんばりました。もっと高齢者が住まいを探しやすい社会を目指し、「R65不動産」を立ち上げました。
――高齢者の家探しで、何が一番のネックですか?
1番の問題は僕を含めて不動産仲介業に携わる人間が「なぜ借りられないのか」をはっきりと知らないことです。
「事故物件になるリスクが高いから」と言われますが、事故物件の定義も人によって違います。「入居者が病死した物件」や「人に見守られながら眠るように亡くなった」物件は事故物件に含まれるのでしょうか。
「なんとなく事故になるのが怖くて、他の人も断っているから貸していない」という人が多いですね。
――お客様の年齢層を教えてください?
60歳の方もいれば90歳の方もいて、バラバラです。当社の認知度もだんだんと上がってきて、徐々にお問い合わせも増えてきました。
部屋探しの理由は、「子どもの近くに住みたい」「住んでいたマンションが建替えになり、値上がりして住めなくなった」「今の家が広すぎて管理できない」「海外から帰ってきてマンションを購入したいが、それまで住むところを確保したい」など、さまざまです。定年退職をきっかけにマンションを買ったり、賃貸に住んだりする人も多いですね。
立ち上げから現在に至るまで、運営は大変なことの連続です。しかし自分にしかできないことで、誰かの力になれるのは幸せなことです。先日物件が決まった78歳のお客様は、「こんなに親身になって探してくれるところはこれまでなかった」と涙ながらに喜んでくださいました。
――お客様は「R65不動産」を何で知ることが多いですか?
意外にWebを見てくださる方も多いですよ。きちんとした信頼があればWebでも人は来るものだな、と最近すごく感じています。
最初はお客様がどういう人かまったく分からないまま運営していました。30代から90代まで幅広い世代が入居する「荻窪家族レジデンス」(賃貸住宅と地域のコミュニティスペースを併設した建物)に関わるようになり、直接お客様の意見や悩みを聞けるようになりました。その活動を通して、オーナーにとっては気になるところかもしれませんが、人間を年齢で区切ることに意味はないとも感じるようになりました。
R65不動産の対象エリアは基本的に1都3県です。もっと広い範囲の物件を載せてもよいのですが、自分が分からない地域の物件を扱うと何かあったときに対応できません。それは無責任だと思います。
ただ、県外でお困りのお客様の手助けはしたいので、情報をきちんと取り扱ってくれる協力者がいれば、ぜひ広げたいと思っています。
――賃貸オーナーへはどのような働きかけをしていますか?
賃貸オーナーにとって、中で人が亡くなるかもしれないというのは怖いことです。高齢者を断るのは心苦しいけれど、資産の目減りも防がなくてはなりません。
高齢者を断らずに、建物とともに入居者が高齢化していったオーナーのためにできることを考えています。例えば、保険や保証会社、センサー他見守りの手法も様々あります。種類も様々でオーナーさんの物件に合わせて見守りの仕組みを作っています。
「高齢者の力になりたいけど、どうアプローチしていいか分からない」と相談してくださる、素敵なオーナーさんもたくさんいます。そういった方々が高齢者に部屋を貸してもなるべくリスクにならないような、ソフトとハードの支援をしています。
「R65不動産」は、なくなれば良い!
――ひとりで起業することに不安はありませんでしたか?
どちらかというと、前例もなく成功の保証もないことに人を巻き込むことの方が怖かったですね。だからひとりでやろうと決めました。
会社に所属したままでもできなくはなかったのですが、それではリスクを覚悟して思い切ったチャレンジをすることはできません。ひとりだと一見大変そうですが、朝何時に起きても良いですし(笑)、とても楽しいことが多いです。
その一方で、やるべきことをきちんとやらなければ結果や評価には結びつきません。市場からの評価を冷静にチェックする必要があります。人のマネジメントはありませんが、そのバランスが大変です。
売上は目的にしておらず、自分の生活できるレベルで、自分や家族が幸せに思える社会の基盤ができたら良いと思っています。心に響かないことはやりません。
仕事では福祉にかかわる話も多いですが、福祉の知識はないので、そこは専門家に聞くということを大事にしています。良いものをつくりたいからこそ、いろいろな人の意見を多く取り入れたいですね。
――今後のビジョンを教えてください。
僕の最終的な目標は、高齢者の部屋探しが普通になること。一生賃貸に住みたいと希望する人は、全体の3分の1といわれています。現状、その人たちが高齢化するとともに更新を断られたり建替えを理由に追い出されたりして、住むところがなくなります。
施設に住む人も多くいますが、希望と違う場所で自分らしい暮らしが送れるでしょうか。希望しない人が施設に入れられて、社会がその費用を負担する。それよりは本人の希望を叶えつつ、社会の負担が減るに越したことはありません。
お金をかけて施設を新しく建てることももちろん大事ですが、税金がかかります。マンションの空室や空き家を開放すればお金がかかりませんし、喜ぶ人もたくさんいます。不動産業者として、オーナーに迷惑がかからない形でそれを実現する方法を模索している最中です。
高齢者入居可物件が増え、例えば検索条件に「高齢者可能」とチェックして検索すれば結果が何十件と出てくるくらい物件数が揃ってくれば、僕のやりたいことは叶っている状態です。
規模の拡大は目指しておらず、むしろR65不動産が必要なくなれば良いと思っています。そうなると僕の仕事はなくなるわけですが、そんな社会が実現すれば、自分の老後も安泰ではないでしょうか。
自分や家族にとって住みやすい社会の実現を目指し、できることから誠実に取り組む山本さん。高齢者はもちろん、賃貸物件のオーナーや社会の福祉まで視野に入れた活動は、素晴らしいものです。
「社会を変える」というと個人にとっては難しいことのように思われますが、私たちにもできることがあるのではないかと考えさせられました。
取材先
R65不動産
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