塩分摂りすぎは「減塩チャレンジ」で対処!「ミスター血圧」が教える必勝メソッドとは?

  • 2023年06月27日更新

こんにちは、くふうLive!編集部です。

日本食には、味噌や醤油、塩などの調味料がたくさん使われています。毎日のおいしい食卓を楽しむためには、これらはすべて必要なもの。

でも、「塩分の摂りすぎ」が習慣化すると、健康を損なう恐れも。もし、“少し摂りすぎてしまったな......”と感じたときには、正しい対処をすることが大切。

今回は、塩分の摂りすぎを防ぐために意識したい対処法をご紹介。医学博士の渡辺尚彦先生に、成功する減塩メソッドを伺いました。

【監修者紹介】 渡辺尚彦[ワタナベヨシヒコ]

医学博士。東京女子医科大学東医療センター元教授、愛知医科大学客員教授、早稲田大学客員教授、日本歯科大学臨床教授、聖光ヶ丘病院内科医師。高血圧を中心とした循環器疾患が専門で、「ミスター血圧」として多数のメディアに登場。1987年から自身の腕に血圧計を装着開始して以来、24時間365日、血圧を測定し続ける。
渡辺尚彦

塩分を摂りすぎるとどうなるの?

塩分を多量に摂取して血液中の塩分が増えると、体内の浸透圧を一定に保つため、血液に多量の水分が取り込まれます。その結果、血液量が増えて血管の壁を圧迫するために、血圧が上昇してしまいます。

塩分を摂りすぎたときには、「のどが渇く」などの自覚症状を感じることもありますが、自覚しないまま塩分過多が積み重なることも。それが習慣化すると、病気を引き起こしてしまう場合もあります。

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どうしてのどが渇くの?

塩分を多く摂りすぎたときにのどが渇くのは、血中の水分量を増やして塩分濃度を一定に保つよう、脳が指令を出すためです。

多量の水分を摂る生活が慢性化すると、腎臓に負担がかかったり、尿と一緒に排出されるカルシウムが不足して骨粗しょう症になったりと、健康にあらゆるトラブルが起こることも......。そうならないためには、どういった対処をすれば良いのでしょうか?

「塩分が多そう」と思ったら、一緒に「カリウム」を摂取しよう

うっかり塩分を摂りすぎてしまったとき、塩分を体外に排出する良い方法が、「カリウム」を多く含む食品を摂ること。

カリウムは、体内に存在する量がもっとも多いミネラルで、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出して、細胞の浸透圧を一定に保つはたらきをしています。そのため、血圧を下げるのに役立つ代表的な栄養素といわれています。

国立がん研究センターが10年間、4地域にわたって約3万9,000人を対象に行った生活習慣の追跡調査「ニッポンデータ80」では、カリウムを多く含む野菜・果物の平均合計摂取量が多いほど循環器疾患(脳卒中・心臓病)による死亡リスクが低くなると報告されています。

厚生労働省は、高血圧改善の食事として、減塩と同時にカリウムの摂取も推奨しています。厚生労働省の「食事摂取基準2015」における目標量は男性が3,000mg、女性2,600mg。

ところが、同じく厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、現代日本人のカリウム摂取量は、男性が2,000mg、女性が1,800mgとなっています。つまり男女とも、今より1日に1,000mgほど、カリウムを多く食べることが望ましいとされているのです。

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カリウムを摂取するときに、気をつけたいこと

ただし、腎臓が悪い人は要注意です。カリウムには、尿の排出を抑えるはたらきがあるため、カリウムを摂ると血中のカリウム濃度が急激に上がり、「高カリウム血症」を起こして血圧の上昇を招く場合があります。腎臓の機能が弱っている方は、カリウムの摂取は1日1,500mgにとどめてください。

どんな食品にカリウムが多く含まれている?

野菜

カリウムを多く含む代表食材は、新鮮な野菜。
ただしカリウムは水溶性ですので、茹でたり水にさらしたりすることで水に溶けだしてしまいます。 そのため、水洗いは短時間にとどめ、茹でる調理法の場合、汁ものなどの茹で汁ごと食べる料理がおすすめです。かぼちゃや芋類は、茹でてもカリウムの量がほとんど変わりません。

特にこんな野菜に多く含まれています。
※食品100g当たりのカリウムの含有量(単位:mg)

  • 切干大根(乾燥)…3200
  • あしたば…540
  • にんにく…530
  • モロヘイヤ…530
  • しそ…500
  • えだまめ…490
  • ほうれん草…490
  • リーフレタス…490
  • かぼちゃ(日本)…480
  • ねぎ…320

果物

果物も、カリウムを多く含む食材です。生のまま食べると、調理による損失が無く、効率的にカリウムが摂れます。ただし糖分が多いものは食べ過ぎると糖質の摂りすぎになりますので、ほどほどに摂るようにしましょう。

※食品100g当たりのカリウムの含有量(単位:mg)

  • 干しぶどう…740
  • アボガド…720
  • 干し柿…670
  • プルーン(乾) …480
  • バナナ…360
  • メロン…350
  • キウイフルーツ…290
  • さくらんぼ(米国産)…260
  • さくらんぼ(国産)…210
  • パパイヤ…210

肉類

カリウムは筋肉細胞に多く含まれるため、あっさりした肉や魚にもカリウムが多く含まれています。例えば、牛サーロイン脂身付き100g中のカリウムは180mgですが、牛ヒレ赤身には340mgも含まれています。皮付き鶏もも肉は270mgですが、鶏ささみは420mg。脂肪が少ない分、肥満にもなりにくく量も摂りやすいので、おすすめです。

飲み物

ジュースは、野菜や果物に含まれるカリウムを効率よく摂れるいい方法。また海藻や緑茶にもカリウムが多いので、抹茶ドリンクや昆布茶もおすすめです。

減塩に最適な飲み物は「お酢」!

また、「お酢を1日約15ml、毎日継続して摂ること高めの血圧を下げることができる」ということが実験で実証されています(※)。これはお酢を飲むと、アデノシンという血管を広げる物質の分泌が促されるため。

※:参考:ミツカン公式HPより

毎日、ビネガードリンクを飲むのも、高血圧予防対策に効果的です。渡辺尚彦先生の研究結果によると、3週間のあいだ15mlのお酢を毎日飲み続けると、塩分を4g減らした時に匹敵する効果があることが分かっています。

その他、おすすめの飲み物

  • 抹茶(粉) …2700
  • 昆布茶(粉)…770
  • ミルクココア(粉)…730
  • 日本茶(玉露)…340
  • トマトジュース…260
  • パイナップルジュース/ストレート…210
  • 野菜ジュース…200
  • 豆乳…190
  • オレンジジュース/ストレート…180
  • グレープフルーツジュース/ストレート…180
  • 豆乳(調整豆乳)…170
  • みかんジュース/ストレート…130
  • ワイン(赤)…110
  • レモン(果汁) …100

※参考サイト:
北海道医療センター
国立循環器病センター 減塩食について
一般財団法人 脳神経疾患研究所/総合南東北病院

減塩チャレンジ!渡辺式「反復1週間減塩法」とは?

高血圧対策には、カリウムの摂取と同時に、やはり「減塩」も大事です。多くの高血圧患者の減塩に成功してきた渡辺尚彦教授が提唱しているのが、「反復1週間減塩法」。減塩の究極メソッドとして話題です。

これは、「1週間だけ」「1日5g未満」という塩分摂取量を続けて徹底的に減塩したら、そのあとは塩分を気にせず食事をしてもかまわない、という考え方。実験でも検証されている数字です。

「5g未満」といっても、もちろん少ないほど効果的。一時的な我慢で済むので、1gや2gなど、少量を目指してみてもいいでしょう。

ただ、「そんなに塩分を減らしたら、かえって健康に悪いのでは?」と疑問に思う人もいるでしょう。でも、このメソッドでは、肉や野菜の素材の旨味で、塩分がなくてもおいしく楽しめる食材ならば、塩分はむしろ積極的に減らすことを推奨しています。

「反復1週間減塩法」のメリットは?

この方法には2つのメリットがあります。ひとつは、「1週間」という限定された期間なので、挫折しにくいこと。もうひとつは、1週間、徹底的に薄味の食生活をすることで、舌が薄味に慣れ、強い塩分を受け付けなくなることです。

学校の試験勉強を思い出してみましょう。テスト前の短期的な集中力は持続できますが、そのペースを何年も継続することは簡単ではないでしょう。減塩も、それと同じです。

このメソッドを経験した多くの人が、体験後に「自分はこんなに塩辛いものを食べていたのか」と驚愕します。自分の舌で実感することで、自発的に塩分を避けるようになることが成功のポイントです。(渡辺先生)

減塩の効果をより理解するために、1週間の減塩道場を1か月に1回行い、その都度、かかりつけの病院で尿をチェックしてもらいましょう。1日の尿をすべてため、その一部を検査する蓄尿検査でどれだけ減塩できたかが分かります。

自分の摂取塩分量をきちんと把握することも重要です。これを繰り返していくことで、塩分の少ない食事でも十分満足できるような体に変わるそうですよ。

“味覚”で塩分の摂りすぎを感知しよう!

この「反復1週間減塩法」で、塩分摂取量が7g以下に抑えられるようになると、ほとんどの人の味覚が変わり、「外食は塩辛くて食べられない」と訴えるほど。

言い換えると、外食を食べておいしく感じる人は、塩分の摂取量が多すぎるということでもあります。外食をおいしく感じるという人の多くは、1日に摂取する塩分量が14gを超えています。
味覚の変化に、塩分の摂取量が明らかに現れるのです。自分がどれほど塩分を摂っているのか、味覚の変化をひとつのバロメータにしてみてもいいでしょう。(渡辺先生)

まとめ

いかがでしたか?
高血圧や生活習慣病の予防はもちろん、日頃から私たちが自覚しやすい、むくみやだるさなどの症状も、塩分の摂りすぎが原因であることが少なくありません。

もし、“塩分を摂りすぎかな”と感じたら、カリウムやお酢などの減塩効果の高い食材を取り入れながら、塩分と上手に付き合っていきましょう。

「血圧のスペシャリスト」が解説!塩分摂りすぎ8つの対策

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【参考文献】
『血圧を下げる最強の方法(アスコム)30年間×24時間 自分の血圧を測り続けている専門医だからわかった正しい降圧法』(渡辺尚彦著)
『高血圧をもっと下げる新常識(笠倉出版社)』(渡辺尚彦著)
『誰でもスグできる! 血圧をぐんぐん下げる 200%の基本ワザ(日東書院本社)』(渡辺尚彦著)

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この記事を書いた人
ヨムーノ 編集部

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