名もなき家事の生みの親大和ハウスに聞いた55項目

  • 2023年06月27日更新

多田綾子さん多田綾子さん家事を分担しているつもりだけど、なぜか手が足りない、余裕ができないとお悩みの方も多いと思います。
実はその家事分担は、間違っているかもしれません!

今回は、「名もなき家事」の第一人者である、大和ハウス工業株式会社 一級建築士の多田綾子さんに、「名もなき家事」と「家事シェアのコツ」についてお話を伺いました。

家事を「シェアする」という発想

――「名もなき家事」とは何ですか?

「家事」と言うと、掃除や洗濯、料理、ゴミ捨てなどの「名のある家事」がまず思い浮かぶと思います。
家事を減らそう、分担しようとしてもなぜかひとりの負担が減らない場合が多いのです。それは、分担に漏れがあるせいでした。この漏れが「名もなき家事」です。

例えば「ゴミ捨て」をする前には「ゴミの分別」があり、そのあとには「ゴミ袋を取り替える」などの作業があります。他にも「脱ぎっぱなしの服をクローゼットにかける」「不要なチラシを捨てる」など、「名もなき家事」が家事に対する負担感を強めていたのです。ひとつひとつはささいなことですが、積もればと膨大な量となり、家事の負担になっています。

―――「名もなき家事」という言葉ができたきっかけを教えてください

家事について、なぜ分担では上手くいかないのか話し合いを重ねるなかで、「名もなき家事」という言葉が生まれ、大和ハウス工業の暮らしに関するコラム「TRY家コラム」で、2017年1月くらいに情報配信をするようになりました。

つい見落としがちな家事も、ひとつひとつが積み重なると膨大で負担になりますよね。家事の分担をする家庭は多いですが、「名もなき家事」も含めて家事のすべてを「家族ごと」ととらえましょう。家族みんなで家事を「シェア」する発想で、まずは奥様が家事をする固定概念を辞めることが重要だと考えました。

―――「名もなき家事」に対する反応はいかがでしたか

TRY家コラム▲TRY家コラム

意見としては、女性からの共感を多数いただきました。男性からは反論を想定していたのですが、反省のご意見もありホッとしました。
家事分担の重要性が分かっていても、踏み込めなかった人も多いかもしれないですね。
共働きが増えるなかで「家事を誰がするのか」ということは社会問題ともなっており、注目を集めたという面もあると思います。

特に印象的だったのが、弊社で開催したイベントに参加した小さい子どもを二人抱えているお母様のご意見です。
「家事がすごく大変だ」と旦那様に訴え、掃除と洗濯をお願いしていたそうですが、家事が一向に減らず苦しんでいました。
旦那様に「何が大変?」と聞かれても、具体的に答えられなかったそうです。

そんななか、ある時奥様が1週間入院したそうで、その時初めて本当の家事の大変さが分かったと。
「私たちを苦しめていたのは『名もなき家事』だった!名前を付けてくれてありがとう」と言われました。主婦の思いを象徴しているエピソードですよね。

家事シェア成功のポイントは、家族との会話にアリ!

―――「名もなき家事」を含めた家事シェアを成功させるポイントを教えてください

理想は家族全員が家事をシェアすることです。誰かに偏らないように「シェア度」をポイントに考えてみてください。
まずは「家事はいったい何があるか」という情報を共有しましょう。
お母さんが司令塔になって指示をするのではなく、みんなで共有するのが大切だと思います。

家族同士、夫婦同氏が普段から会話をするだけで、家事を頼みやすくなったり聞きやすくなったりもします。
事実、家事がうまくいっているご家庭にお話をお伺いしたところ、「会話を通じて家事の満足度があがる」という結果が出ています。
誰かが家事を行ったら、その行為に気づいて「ありがとう」という感謝の気持ちを伝えることも大事ですね。
「ありがとう」が増えると、笑顔が増え、さらに家事シェアがうまくいくと思いますよ。

ヨムーノ編集部では、大和ハウス工業株式会社様のご協力を得て、名もなき家事入りの家事シェアチェックリストを制作しました。

名もなき家事入り「家事シェアチェックリスト

どのくらい自分ができているのか、ぜひチェックしてみてくださいね。

―――「名もなき家事」を含めた家事シェアは、子どもも対象になるんですね!

TRY家コラム▲TRY家コラム

はい、そうですね。
「家事」は、小さいお子様は難しいと思われがちですが、家事をシェアする第一歩である「自分のことは自分でする」仕組みを盛り込むことで可能になります。

まずは「自分のことは自分でする」こと、それだけで名もなき家事を減らすことができるのです。
それを自然にできる仕組みを取り入れてみてください。そのために、家族ひとりひとりに「自分専用」の収納を作ることが有効です。
「自分専用」の中で、何がどこに入るのか、モノの帰る場所を明確にしましょう。
自分専用ボックスに写真シールを貼ってあげると、小さいお子様でもお片づけをきちんとすることができますよ。

―――最後に、名もなき家事に対しての向き合い方で、一番大切だと思うポイントを教えてください

これは先ほど申し上げたなかでもありますが、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えることだと思います。
ありがたいなと心で思っていても、なかなか言葉に出せないこともありますよね。

でも恥ずかしがらないで、面倒がらないで言葉にすると、相互で「ありがとう」を伝えられるようになります。
当たり前なことに対しても「ありがとう」を伝えることで、自然と相手がやっていることに気づくこともできます。
「言わなくても分かるだろう」はダメで、まずはありがとうからスタートしてみてくださいね。

共働き世帯が増えるなかで、家事を誰がするのかは非常に重要な問題のひとつといえます。
「名もなき家事」を理解し、家事シェアを進めることで、家事の負担を軽減するだけではなくコミュニケーションを円滑にすることができます。
みなさんもぜひ、チェックリストを活用して、家事が家族の誰かに偏ることがないように、みんなで家事シェアしてみてくださいね。

大和ハウス工業様の家事シェアハウスコラムはこちら
ダイワハウス流 家事ストレス攻略法~家事シェアのススメ~

この記事を書いた人
あおみ ゆうの

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