高齢の親が【免許返納】してくれない!「説得方法は?」「相談先は警察…?」「その後の対応は?」我が家の実体験
- 2026年02月27日公開
「もう運転は危ない」 家族の誰もがそう思っているのに、当の本人だけが「俺(私)はまだ大丈夫」と譲らない……。そんな光景に、今この瞬間も頭を抱えている方がいるのではないでしょうか。
これは、かたくなに老いを認めない頑固な親と、離れて暮らす姉弟が挑んだ、我が家の「免許返納」物語。
「車がないと不便な所に住む親から、車を取り上げる」という申し訳なさと、「誰かの人生に迷惑をかけることだけは避けなければならない」という一心で、時に苦悩し、時に試行錯誤してつかみ取った「安全」への道のりです。
いろんなことを忘れても「プライドだけは忘れない」

知り合いの方が認知症になられたことをきっかけに、筆者は地域の「認知症サポーター」の養成講座なるものを受けたことがありました。
その時、講師の人の話でもっとも印象だったのは「お年寄りはどんどんいろんなことができなくなっていきますが、プライドだけは忘れません。それが人間です。おそらく、みなさんもそうなります」という言葉です。
確かに筆者の親も、60代の頃は「70代になったら免許返納する」と言っていたのに、いざ70代になると「全然大丈夫、まだまだ問題ない」と免許返納を拒否し、さらに耳がかなり遠くなったのに、年寄り扱いするなと補聴器も拒否。
子や孫たちに説得されて「次の誕生日には免許返納する」と約束していたにもかかわらず、その日がきたら「そこまで耄碌(もうろく)していない!」と免許返納を拒否する始末……。これが何年も続いた状態となっていました。
これは、そこから数年後、何度も何度も説得しても動かなかった山を、姉弟で協力しあって動かした、筆者の体験談です。
はじまりは、1本の“病院からの電話”から──

物語は、筆者も知らない間に動き出していました。
ある夏、地元で暮らす親が、小さな物損事故を起こしていたのです。幸い、壁をすった程度の事故でケガ人はいませんでしたが、現場に来た警察官は親の高年齢+耳が遠いことで、理解力が低下していると判断し、「認知症の診断結果を提出すること」との命令を下しました。
これにより親は3か月以内に、
①病院で認知症の検査をして「認知症ではない」との診断書を提出し、今まで通り運転する
②病院で認知症の検査をして「認知症である」との診断書を提出し、免許返納へ
③病院で認知症の検査を受けずに、免許を返納する
の3つの選択肢をせまられたのです。
そして、当然ながら筆者の親はどうしても①を選択したかったのですが、耳が遠いことで医師に理解力がないと判断されることを恐れて、こともあろうか病院の受付の人に「免許更新で必要になったので、診断を受けずに“認知症ではない”という診断書を出してほしい」と懇願したのです。
もちろん、そんなわけにはいきません。病院は断り、親は渋々あきらめて帰ったそうです。
その病院の医師は、たまたま筆者の弟の知り合いだったこともあり、「あなたの親が受付で揉め事を起こした。判断能力が落ちていて認知症の可能性もあるので、免許更新をとめたほうがいいのでは」という連絡をもらいました。ご迷惑をおかけしたことを詫び、あわてて家族会議をしました。
相談する窓口は意外にも警察署でも公安でもなかった!?

筆者と弟は結託し「どうにかして返納へ導こう」となりました。(※実はこの時点で、私たちはまだ物損事故の事実を知りませんでした)
弟はすぐに親に優しく説得を試みましたが、待っていたのは親の激しい怒号でした。 「私をボケ扱いするんか!車がなかったら、私はどこにも行けなくなる!どこかほかの病院へ行って診断書をもらって更新する!二度とこの話はするな!」と、思わず激しいケンカになってしまったと弟から落ち込んだ電話を受けました。
しかし、「判断能力が落ちていて認知症の可能性もある」という医師の助言もあり、ここであきらめるわけにはいきません。誰かの命もかかっています、親を加害者にするわけにもいきません。
まず、筆者は口コミを頼って「警察」へ電話をしました。警察に電話をして公安につなげてもらったものの、親の免許返納について相談したいと言うと「運転免許返納に関しては免許センターへ電話してください」の一点張りで、それ以上何も聞いてくれることはありませんでした。
そこで、親の住む地域の「免許センター」へ電話をし、事情をお話したところ「免許センターに在籍している警察官(運転免許課警察官)」の方に電話がつながりました。免許返納に関する担当者は、まさにこの方だったのです!

親の免許返納について相談したいとお話したところ、筆者の氏名、親の氏名と住所で対応してくれ、ここではじめて、親が物損事故を起こしていて、数か月後に免許センターの警察官が自宅訪問する可能性があることを知らされ、衝撃で言葉を失いました。
「このまま診断書を出さない、返納もしないとなると物損事故から3か月後に免許停止150日、そしてその後は免許取り消しとなり、本来ならもらえる“運転経歴書(身分証明に代わるもの)”がもらえなくなります」と教えてくれました。物損事故から1ヵ月以上が経過していました。
そして、こうした高齢者の物損事故や免許返納のトラブルが、現在多発しているとも話していました。
免許返納とともに「物理的に車に乗れない状況づくり」を

まさか、物損事故まで起こしていた──、こうなると、もう絶対にひけません。
筆者が「車を取り上げることも辞さないという覚悟」と伝えたところ、担当警察官からは「実際のところ、免許返納を決意されたとしても車があれば乗ってしまうお年寄りがいらっしゃいます。その間に事故が起こってしまった例もあります。まずは物理的に車に乗れない状況を作っていただけると助かります」とのことでした。
そのため、免許センターの警察官が動く前に、まずは筆者たちが動くこととなりました。
1.筆者が帰省し車の鍵をキーケースごと回収
まずは、車の鍵の回収です。ここ数年の説得や今回のやりとりから、正面から取り上げると親子関係がこじれてしまうことがわかっていたため、致し方なく、黙って回収することにしました。
ここは疑われないように、弟には前もって一週間実家に行かないようお願いし、遠方に住んでいて、もし疑われても対峙しない筆者が担当することにしました。
「黙って回収」──、親をだますような真似をしてまで……という罪悪感で、当日までの数日、筆者はほぼ眠れず、ひどい便秘になりメンタルは絶不調に陥りました。ですが、もし明日親が誰かを傷つけてしまったら、その罪悪感は一生消えません。地獄を避けるための泥をかぶる決断でした。
新幹線の距離である筆者が帰省。少しでも親に喜んでもらいたい一心で、なかなか祖父母に会えずにいた高校生の息子に一緒に来てもらいました。そして、1泊して帰り際に、親のキーケースと車のスペアキーをさっと回収し、素知らぬ顔で実家をあとにし、鍵はその後すぐに弟に渡しました。
2.騒ぐ親に「知らない、失くしたんじゃないの?」で通す
新幹線に乗り帰ろうとしたとき、親から電話がかかってきました。
「私のキーケースがないんだけど知らないか?どこ探してもない」と。もちろん筆者は、「最近、よく物なくしてるよね、どこかに落としたか、服のポケットじゃないの?私が知るわけないでしょ」と心を鬼にして知らないそぶりを貫き通しました。
……本当にこれでよかったのか、葛藤しながら帰路につきました。
3.弟が「販売店に連絡してレッカーしてもらった」と車を移動させる
数日キーケースを探してそろそろ疲れてきた親に、弟が「鍵を作ってもらえるように車の販売店に聞いたら、車をレッカー車でお店まで運ぶ必要があるそうだ。頼んだら、レッカー車の手配ができ次第持って行ってくれることになった」と伝えました。
親を外食に連れ出した時に、弟の奥さんに親の車を弟の自宅近くの駐車場へ移動してもらい、「今レッカー車が車を持って行ってくれた」と説明。
以上、1~3までを5日間というスピードで実行しました。
ここまでしてやっと「親が物理的に車に乗れない状況」を作ることができました。とりあえず、家族総出の協力のもと、親からいったん車を回収することは達成できたのです。
親から思わぬ「返納することにした」という言葉!

いざ車のない生活をしはじめた親は、徒歩15分ほど離れたスーパーまで歩いて買い物にいくことができること、スーパーに配達サービスがあることなどに自信を取り戻し、なんと自ら「免許を返納するので、車の鍵作ったら車は売ってほしい」と言い出したのです。
これは予想外で、本当に嬉しい瞬間でした。免許センターの担当警察官へ報告すると「親御さんの気が変らぬうちに、明日にでも警察署へ返納手続きしてきてください。もしご本人が警察署へ行くのは疲れる・面倒だ、などとおっしゃるのであれば、ご家族が“代行”することも可能です」と教えてくれました。(※代行返納の可否や必要書類は自治体によって異なるため、事前の確認が必要です)
しかし、親本人の意思は変わらなかったため、翌日、弟が親を連れて警察署へ向かい、親は自分の手で免許証を返納。 ここでやっと、筆者家族と弟家族の数年に渡る「高齢親の免許返納問題」が解決したのでした。
親もずっとこのままでいいのかと心のどこかで葛藤していたようで、「自分の限界がきたので決意した」と言っており、結果的に親のプライドを傷つけず、穏やかに返納するに至りました。
その後「キーケースは家の中から見つかった」という流れを作って返却

車を回収し、免許を返納した後は、回収していたキーケースを車の鍵をつけた状態で親に返しました。
部屋の押し入れの片隅に落ちているように置いて、親が見つけられるように誘導し見つけてもらい、弟が「車買取業者に鍵を渡す必要があるので、キーケースの中から車の鍵を抜いて、こちらに渡してほしい」とお願いし、親は素直に車の鍵を弟に渡してくれたそうです。
また、キーケースが戻ってきたことで親も安心したようだと弟が言っていました。最後まで、あくまでも「キーケースを無くした」という流れで親のプライドを傷つけずに、物損事故についても筆者たち家族は誰も知らないことにして、対応しました。
最後に
この記事は、特定の個人を批判するものではありません。高齢者の尊厳と、社会の安全をどう両立させるか。その一つの体験談です。返納後の移動手段の確保や、心のケアについても、これから家族でゆっくりと話し合っていく予定です。
※AI生成画像を使用しています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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