【余ったカレーの保存、それやめて!】"栄養士さん"が警告!その理由に「ぎくり!」「冬でも!?」食中毒対策
- 2025年01月20日公開
こんにちは、管理栄養士でヨムーノライターの安達春香です。
カレーやシチュー、おでんなど、温かい煮物が恋しくなる今の時期。大きなお鍋でドーン!と作って次の日に食べることも多いですよね。
「冬だから大丈夫だろう」とお鍋のまま常温で放置していると、思わぬ食中毒を引き起こすことがあるんです。
今回は、煮物をおいしく安全に楽しむための食中毒対策についてご紹介します。
100℃でも死なない? 強敵すぎる食中毒菌
食中毒というと夏のイメージが強いですが、寒い時期でも油断は禁物。
カレーやシチューなどの煮物に繁殖する「ウェルシュ菌」の食中毒は、毎年冬にも発生しており、患者数が多い食中毒菌トップ3に入っているんです。
「ウェルシュ菌」は高温や乾燥などの厳しい環境にさらされると自らバリアを作って生き残り、発育に適した環境になると通常の状態に戻って増殖しはじめます。
このバリアが作られると100℃で1時間加熱しても死滅しないため、一度大量に増えてしまうと「しっかり火を通せばOK」という常識がまったく通用しません。
また、「ウェルシュ菌」は"細菌界のF1レーサー"と呼ばれるほど増殖が早く、たった10分で菌の数が2倍になってしまいます!
酸素が大の苦手なので、煮物が入ったお鍋の中は「ウェルシュ菌」にとって理想の住処なんです。
お鍋を火にかけると、ボコボコと大きな泡が出ますよね。そのときにお鍋の底から空気が押し出されて酸素が少なくなります。
しっかり対策をしないとすぐ菌まみれになってしまうので、正しい保存方法を覚えておきましょう。
おいしく安全に!煮物の正しい保存術
煮物が余ったとき、「寒いから放っておいてもすぐ冷める」とお鍋をコンロの上に置きっぱなしにしていませんか?
大きなお鍋は、中心部の温度が下がるまでにかなり時間がかかってしまいます。
そして「ウェルシュ菌」は43〜45℃の温度が大好き!この温度帯をできるだけ早く通過させることが、安全に保存するための大切なポイントなんです。
余った煮物は保存容器に移し替えて冷蔵庫に入れ、2日以内に食べきりましょう。浅い容器を使うと、表面積が増えて冷めるまでの時間が短くなります。
冷蔵庫に入れる前にきちんと粗熱を取ることで、庫内の温度を上げず他の食品への影響も防げますよ。
フライパン&保冷剤でお鍋ごと急冷
「洗い物が増えるのは無理!今日中に食べるし、このままでいいか〜」と、お鍋ごと冷ましたい場合もありますよね。
そんなときは、大きめのフライパンと保冷剤を使う方法がおすすめ。
フライパンに保冷剤を入れてお鍋をのせ、横から水を注いで周りにも保冷剤を置きます。
このときお玉でかき混ぜながら冷やすと、「ウェルシュ菌」の増殖を抑えながらお鍋全体の温度をムラなく下げられます。保冷剤がない場合は氷でも代用できますよ。
冷めたらフタをしてすぐ冷蔵庫に入れ、その日のうちに食べましょう。
長期保存はこれで安心!冷凍保存のコツ
2日で食べ切れない場合は、冷凍用保存袋に入れて冷凍しましょう。保存期間の目安は1週間程度です。
じゃがいもやにんじん、大根、こんにゃくなどは、凍らせると食感が悪くなってしまうので、取り除くか袋の上からつぶしてから保存してくださいね。
食べるときは冷凍用保存袋のまま冷蔵庫に移すか、耐熱容器に入れて電子レンジで解凍してからお鍋で温めましょう。
再加熱はボコボコ沸騰させて
煮物を温め直すときのポイントは、バリアができる前のウェルシュ菌を撃退すること。
とくにカレーやシチューなどとろみのある料理は部分的にしか温まらないこともあるので、全体がボコボコと沸騰するまでじっくり加熱しましょう。
また、ウェルシュ菌が苦手な酸素が入るよう、ぐるぐるとかき混ぜながら温めるのが鉄則!温まったらすぐに食べてくださいね。
食中毒知らずの保存術
寒い季節に欠かせない、心も体も温まる煮物。「ウェルシュ菌」を増やさないためには「早く冷ます」「再加熱はしっかり沸騰させる」ことが大切です。
今回ご紹介したポイントを押さえて、安全に煮物を楽しみましょう。
趣味は旅行と食べること。好きなものを一生健康に食べていたくて管理栄養士免許を取得しました。「おいしいものはガマンしない」をモットーに、栄養の知識やお悩み解決食材などをわかりやすくお伝えします!
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