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幼少期の経験が大切!ストレスや失敗…何があっても乗り越えられる"心の力"を育てるために親がわが子にしたいこと

  • 2022年12月22日更新

社会で生きていくには、楽しいことやうれしいことばかりではないもの。誰しも、心が折れそうになるつらい経験をすることがありますよね。

わが子が今後、生きていくうえで避けられない困難やストレスに直面したとき、それに負けてしまうことなく、生き抜いていってほしい、と願う親は多いことでしょう。

最近耳にする機会が増えた「レジリエンス」という言葉。逆境に負けない力・立ち直る力を育むには、幼児期からの経験も大切だといいます。わが子にどう寄り添えばいいのか、「森のようちえんさんぽみち」の園長・野澤俊索さんにお聞きしました。

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森の中に寒い冬がやってきました。冷たい北風が吹くと、ぶるっと身震いします。冷たくなった手はかじかんでいつものように力が入らなくなります。
私の園は毎日を自然の中で過ごす「森のようちえん」です。季節の変化は子どもたちの体験となり、たくさんのことを教えてくれます。

先日、いつもの広場に向かってお散歩をして、お弁当を食べました。その後子どもたちは、いつものように川に行き、いつものように濡れて遊びました。

その帰りに年少の子どもがぽつりと一言。
「かわ、つめたかった」
いつもの森には今、いつもと違う新しい冬が来ています。

小さな子どもたちはまだ、季節の変化を理解しきれていません。子どもたちは今まさに、冬は寒くて水は冷たいんだということを、身をもって経験しているところです。この経験を経て、年長になる頃には「冷えるから川には入らないで陸で遊ぼう」という選択ができるようになります。経験は、判断のモノサシになるのです。

何かあっても大丈夫!"自分を信じる力"を育むには

親は誰でも、わが子が苦しんでいる姿を見たいとは思いません。できるだけ幸せに、いつも笑っていてほしいと願います。そうした親心とは反対に、社会に出ると厳しくつらいこともよく起こります。

そんな時に困難に向き合って乗り越えていく力や、適応していく力、外的ストレスに打ちのめされてもしなやかに回復していく力などの心の力を「レジリエンス」と呼びます。レジリエンスは幼児期に育んでいくべき大切な力のひとつです。

しかし、困難なことをたくさん経験することがレジリエンスにつながるわけではありません。何か嫌なことやうまくいかないことがあったときに、その気持ちにしっかりと向き合うことが大切な経験になります。

そして自尊感情が高まることで、何かあっても自分は大丈夫だ、きっと何とかできると信じることができるのです。

子どもたちは日々、なにか嫌なことがあったら泣いたり怒ったりしています。また、自信を持てなくてふさぎ込んでいることがあるかもしれません。そんな時に私たち大人は、子どもの気持ちをはぐらかしたり、相手のせいにしたりしないで、「今は泣きたいんだね」「嫌なんだね」と今の気持ちそのものをまず認めてあげることが大切です。
気持ちは"その子そのもの"。今の自分の在り方そのものを肯定してもらうことになるからです。

生きていれば、誰しもが辛い思いや悲しい思いをします。泣きたいことは大人だってあります。泣きたいときに、ちゃんと泣くこと。それは眠い時にあくびをするように当たり前のことではないでしょうか。「泣いていいんだよ」とそんな気持ちを、そのまま受け止めて、認めてあげましょう。

つらい時に、そんな自分を嫌だとか、ダメな人間だとか思わずに、今の自分を素直に受け止めて肯定的に対処していくレジリエンスは、"自分を認めてもらった"という幼少期の経験が育んでいくのです。

周りから肯定してもらう経験が自己肯定感を育てる

ある日、寒くて手がかじかんで、お弁当のミカンが上手にむけなくて困っている年少の子がいました。怒ったり泣いたりしていると隣の子が「できないの?やってあげる」といって手をさし出しました。

けど、やっぱり力が入りません。その隣の子が「てをあっためたらいいんだよ」といって、自分の手をこすってミカンをむいてあげました。

その子は「ぼくも、ちいさいとき、てにちからがはいらなくて、むいてもらったんだ」と言いました。受け取った年少の子の「ありがとう」とにっこり笑った顔には、嬉しい気持ちが満たされていました。

人間は、感情を持った生き物です。自分を肯定する力(自己肯定感)というのは、自分の気持ちを肯定することから育まれます。そのために必要なのは、両親や友だちなど身近な愛する人から自分の気持ちを肯定してもらう経験です。

気持ちや感情は、生きていくエネルギーです。喜怒哀楽の大きな波のすべてがそのエネルギーになります。喜と楽だけをとりだしても、その波はおきません。いきいきと生きるために、怒や哀という気持ちもしっかりと受け止められるように、心の力を育んでいきたいものですね。

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