4つの落とし穴に注意!つみたてNISAのデメリット

  • 2023年06月27日更新

こんにちは、くふうLive!編集部です。

長期的な積立を支援する制度である「つみたてNISA」。
投資で得られた売却益や分配金が非課税になったり、投資初心者でも比較的始めやすい金額設定できることなど、さまざまなメリットがあります。

しかしその一方で、つみたてNISAには注意しなくてはならない落とし穴がいくつかあります。

そこで今回は、そうしたつみたてNISAの思わぬ落とし穴について、経済ジャーナリストの酒井富士子さんに解説していただきます。

未使用の非課税枠があっても次の年に持ち込み不可

つみたてNISAの非課税投資枠は年間40万円です。ただし気をつけるべきなのは、この非課税枠が利用できるのは、1月から12月までというその年度中に限られるということ。

つまり、投資枠が余ったからといって、次の年に持ち込んだりすることはできないということです。

たとえばもし、2019年に非課税枠を30万円しか利用していなかったとしても、使わなかった10万円を2020年に持ち越すことはできません。

非課税枠を無駄なく利用したいのであれば、19年中に残りの10万円分の商品を買い付ける必要があります。

また、一度使用した非課税枠は、商品を売却して現金が口座に入ったとしても復活することはできません。

商品を売却した資金で違う商品を購入すると、非課税枠が新たに消費されてしまう点も覚えておきましょう。

損益通算・繰越控除ができない

通常、複数の証券口座で取引をしていれば、1年間の利益と損失を相殺する「損益通算」を確定申告などで行うことができます。

つまり、損益通算で相殺された分だけ、税金を安くすることができる仕組みに
なっているのです。

それに対してつみたてNISA口座では、利益も損失もないものとみなされるため、他の口座との損益通算はできない仕組みになっています。

たとえば、証券口座Aでは30万円の利益、証券口座Bでは15万円の損失が出たとすると、通常であれば利益と損失を相殺することで15万円のみが課税対象となります。

しかし損失が出たのがつみたてNISA口座だと、証券口座Aで出た利益30万円はまるまる課税されてしまいます。

また、本年分の損失を控除しきれないときに、翌年以降にその損失を繰り越して翌年以降の利益から控除できる制度が「繰越控除」です。
つみたてNISA口座では、この繰越控除も利用することができません。

分配金の再投資は「購入」とみなされる

効率的にお金を増やすためには、複利効果のメリットを享受することがポイントになります。

そのためには投資信託から毎年など出される分配金は、現金として受け取るのではなく、再度、元本に組み入れて再投資するのが鉄則です。

ところがつみたてNISAでは、分配金を再投資すると、新規購入とみなされ、40万円の非課税枠が使われてしまうのです。

仮に、年間投資限度額40万円以内で毎月積み立てる場合、投資枠ギリギリで利用しようと思ったら毎月3万3,333円を積み立てることになりました。

ところが、途中で分配金の1,000円が発生し、それを再投資したとすると、年間の投資額が合計で40万996円になります。そのため、12月には限度額である40万円を超えてしまい、買い付けができなくなってしまうのです。

金融機関によっては、限度額を超えるとNISA口座ではなく通常の課税口座で再投資になる場合もあるので、購入の際にはきちんと確認する必要があります。

分配金は再投資をしたほうが複利効果があるので、あまりにも投資枠ギリギリの金額で設定するのではなく、毎月3万円などで設定するとよいかもしれません。

一般NISAと併用するロールオーバーができなくなる

すでに一般NISAで投資を行っている人は、つみたてNISAを利用するときには気を付ける必要があります。というのも、一般にNISAとつみたてNISAは、同一年度はどちらかしか選択できないというルールがあるからです。

たとえば一般NISAを使って2015年に購入した商品は、2019年に5年間の非課税期間が終了します。

非課税期間が終わってもそのまま商品を保有し続けたい場合、2020年にはその時の時価で課税口座へ移すか、ロールオーバーを選ぶことになります。

ロールオーバーとは、5年間の非課税期間が終わったあと、さらに5年間、非課税期間を延長する制度のことです。つまり、ロールオーバーをすると最大10年間非課税で運用できるようになるということです。

ただしそこで2020年にロールオーバーを選択すると、その年はつみたてNISAは利用できません。一般NISAを今まで利用してきた人はどちらを選択するかよく検討しておく必要があります。

まとめ

つみたてNISAに関しては、ついついメリットにばかり目がいってしまいますが、デメリットもきちんと把握しておくことが重要です。
つみたてNISAを利用する場合は、ここで解説した4つの落とし穴に注意しておきましょう。

※2019年10月14日現在の情報です。

この記事を書いた人
経済ジャーナリスト
酒井富士子

経済ジャーナリスト/
金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。
日経ホーム出版社(現日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。
リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。
「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。

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