こびりついた「内臓脂肪」を燃焼させるために必要な運動と食生活とは?

  • 2023年02月13日更新

こんにちは、くふうLive!編集部です。

お腹をぽっこりさせてしまう憎い“脂肪”は、2種類あります。ひとつは皮膚のすぐ下にあり、指でつまんで厚みを確認することができる「皮下脂肪」。もうひとつは体の深部の内臓の周りにあり、自分で確認することができない「内臓脂肪」です。

生活習慣病などの原因となりやすいのは、内臓脂肪です。今回は、この内臓脂肪を燃焼させ、減らすための方法を、医学博士の渡辺尚彦先生に伺いました。

内蔵脂肪を燃焼させる方法とは

内臓脂肪を減らすには、「運動」が最も効果的です。内臓脂肪は皮下脂肪よりも燃えやすく、短い時間のトレーニングでもある程度の効果があることがわかっています。

脂肪を減らすための運動というと、激しい筋肉トレーニングをイメージする人が多いでしょう。でも30分続けられないような強度が高い運動によって主に消費されるのは糖質なのです。

内臓脂肪をエネルギーとして、たくさん消費することができるのは、むしろ有酸素運動です。筋肉への負荷が大きいトレーニングよりも、ゆったりした有酸素運動のほうが脂肪燃焼には効果的です。

基本は「筋トレ10分+有酸素運動」のセット

有酸素運動を継続するだけでも健康的ですが、さらに内臓脂肪の燃焼を大きくアップさせるには、筋トレ10分程度と有酸素運動を組み合わせる方法が有効です。

内臓脂肪を燃焼させる有酸素運動

有酸素運動で大事なのは、がんばりすぎないこと。しっかり強度をコントロールして、30分以上続けられるウォーキングやジョギングを行うようにしましょう。 

ランニング

ランニングは、あまりにも速いスピードで走ってしまうと無酸素運動の比率が高まり、エネルギー源として糖質が使われる割合が増えてしまいます。自分の最大心拍数の50~70%程度を保ちながらランニングを行うと、脂肪燃焼効果が高いと言われています。

ウォーキング

ランニングが苦手なら、習慣的なウォーキングでも内臓脂肪を燃焼させることができます。毎日45分〜1時間、早足のウォーキングを行ったり、日常生活で歩く機会を増やしたりと、いろいろな方法を工夫しましょう。

スロージョギング

『アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー』誌に掲載された2011年のデューク大学の研究によると、1週間に20kmほどのジョギングをすると、お腹の脂肪が減らせるそうです。

水泳

水中では重力が1/6になるため、膝や腰などにかかる負担が少なく、陸上より長く運動し続けられます。また、意識して呼吸をすることから、有酸素運動としても効果的。水圧や水流に逆らって動くため、水中でゆっくりと動き続けたり歩いたりするだけで、消費カロリーが大きくなります。

内臓脂肪を燃焼させる筋力トレーニング

筋トレを行うと、脂肪燃焼を促進させるホルモンが分泌されます。そのため、まず筋トレを行い、脂肪燃焼が促進された状態で有酸素運動を行うと、脂肪燃焼効果がさらにアップします。以下の運動を、いずれも10~12回を1セットとし、まずは3セット行ってみましょう。

スクワット

筋トレというと腹筋運動をイメージするでしょう。ただ、お腹周りにはそれほど大きな筋肉はないため、むしろ下半身の大きな筋肉を複数使うスクワット運動のほうが、脂肪燃焼効率のいい運動と考えることもできます。

やり方は、足を肩幅程度に開き、手をクロスさせ、両肩に添えたら、お尻を後ろに出すイメージで、ゆっくりとヒザを曲げていきます。太ももと床が平行になるくらいまで体をおろしたら、元の状態に戻しましょう。

クランチ

特にお腹まわりに筋肉をつけたいという場合、クランチが効果的です。

まず、ひざを90度に立て、仰向けに寝転がります。両手は胸の前か、頭の後ろに添えてください。3秒程度ゆっくりと時間をかけて上体を起こします(完全に起こす必要はありません)。3秒程度ゆっくりと時間をかけて、元の状態に戻します。

レックレイズ

寝転がった状態から脚を上げて鍛えるレッグレイズは、腹筋の真ん中にある「腹直筋」の下部を鍛えるのにとても効果的なトレーニングです。

まず仰向けに寝転がり、腕を地面にぴったりとくっつけます。息を大きく吸い込み、息をゆっくり吐きながら脚をまっすぐにした状態で地面と垂直になるまで上げ、息を吸いながらゆっくりと戻します。

内臓脂肪を燃焼させる食べ物

カロリーの摂り過ぎが内臓脂肪のつく最大要因ではありますが、ただ食べる量を減らせばいいということではありません。脂肪が燃焼しやすい体質にするためには、栄養バランスのとれた食事を摂ることも大事。特に脂肪の燃焼を助ける成分が多いのは、以下の食品ですので、積極的に摂りましょう。

食物繊維

野菜類や大豆類、海藻類、キノコ類などに多く含まれる食物繊維には、便通をよくし、脂肪を排出しやすくしてくれる働きがあります。またこれらの食品を食事の最初に食べると、脂肪の吸収を抑えることができるだけでなく満腹感が得やすくなって食事量を減らすことができるため、内臓脂肪がつくのを予防するのにも役立ちます。

2011年に発表された研究によると、水溶性の食物繊維の摂取量を1日10g(小さいリンゴ2個、またはグリーンピース1カップ程度)増やした場合、5年後に内臓脂肪を3.7%減らすことができたそうです。

お酢

継続して毎日、少量のお酢を摂るだけで、内臓脂肪を減少させることができます。
なぜなら、お酢に含まれる酢酸が、脂肪を燃やしてくれるたんぱく質を生み出すためと考えられるからです。

トマト

トマトなど、赤い色の野菜に多く含まれる「リコピン」という色素成分には、脂肪を蓄積する細胞(脂肪細胞)の働きを抑制し、太りにくい体にする働きがあることが近年の研究でわかっています。トマトは野菜の中で最もリコピン含有量が多いだけでなく、悪玉コレステロールの排出を促す食物繊維も豊富に含まれています。

豆腐

蓄積した脂肪を燃やすのは、筋肉。筋肉を作るには、タンパク質が欠かせません。豆腐には、筋肉を作るのに欠かせない良質な植物性のタンパク質が多く含まれているため、筋トレの効果を高めるのに役立ちます。また大豆に含まれるβコングリシニンという成分には、血中コレステロールを低下させるだけでなく、中性脂肪の代謝改善に効果があるという研究結果もあります。

コーヒー

ハーバード大学公衆衛生大学院の教授であるフランク・ヒュー博士によると、コーヒーには「脂肪吸収を抑えつつ脂肪燃焼する効果」が期待できるそうです。

理由のひとつは、コーヒーに多く含まれるカフェインに脂肪分解を助ける消化酵素(リパーゼ)を活発にする効果があり、脂肪燃焼効果をアップさせるため。またコーヒー豆にはカフェインよりも多く「クロロゲン酸」という成分が含まれていて、脂肪の吸収を抑えてくれるそうです。

まとめ

「落とすのがむずかしい」というイメージのある内臓脂肪ですが、それほど長時間の激しい運動をしなくても効果はあり、またふだん何気なく食べている食材にも脂肪燃焼をアップさせる助けになるものが多くあります。

まずはできることから実行し、健康な体づくりをスタートさせましょう。

【監修者紹介】 渡辺尚彦[ワタナベヨシヒコ]

医学博士。東京女子医科大学東医療センター元教授、愛知医科大学客員教授、早稲田大学客員教授、日本歯科大学臨床教授、聖光ヶ丘病院内科医師。高血圧を中心とした循環器疾患が専門。1987年から連続携帯型血圧計を装着開始。以来24時間365日、血圧を測定し続けている。『血圧を下げる最強の方法(アスコム)』など著書多数。
渡辺尚彦

【参考文献】
『血圧を下げる最強の方法(アスコム)30年間×24時間 自分の血圧を測り続けている専門医だからわかった正しい降圧法』(渡辺尚彦著)
『高血圧をもっと下げる新常識(笠倉出版社)』(渡辺尚彦著)
『誰でもスグできる! 血圧をぐんぐん下げる 200%の基本ワザ(日東書院本社)』(渡辺尚彦著)

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この記事を書いた人
ヨムーノ 編集部

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