注目度NO.1!家の「梁の作り方」思わず最後まで見ちゃう「全写真で魅せる加工3ステップ」【連載】「セルフビルド冒険の書Vol.12」@千葉県長柄町

  • 2023年09月03日公開

こんにちは、木こりの源です。

木こりでも大工でもなかった”レベル1のど素人”が、木を伐って、加工して、家を建てる!と無謀にやり始めたものだから、そりゃ大変!
師匠に怒られ、最初はボッチで、やっとできた仲間にはなじられ、失敗を積み重ね…。 5年かけてやっと完成するまでの、貴重なノウハウをここに記していきます。

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連載12回目は、伐って製材した木の仲間をレベルアップさせる”加工”の第4弾、「梁(はり)の作り方」を見ていきましょう。

部屋の中空に飛ぶスター的存在「梁」の登場です!

梁とは、建物の横方向にかける構造材で、横方向の接続を固める働きをします。
そして、部屋の中空を飛ぶ梁は、内装で見える構造材の花形!
立派な梁が見えると、スゴいって感動するものです。

梁をドラクエで例えるとすると、役に立たないけど華やかな「遊び人」から転職した、どんな局面でも役立つスター「賢者」といったところでしょうか?

賢者は、特別なアイテムがないと転職できない上級職で、攻撃力もそこそこ高く、僧侶と魔法使いのじゅもんも全て覚えることができ、高い次元で何でもこなせるゼネラリストです。

当時子どもだった僕は、職業選択の自由があたえられた時、転職できない勇者より、特別な上級職で、どんな局面でも誰かの穴埋めができる賢者を格好いいと思ったものです。

そして、レベルが上がるにつれ戦闘中にサボりがヒドくなる、全く役にたたない遊び人が、特別なアイテムなしに賢者になれる職業だとわかった時は、衝撃を受けたものです。

大人になればなるほど、この「遊び人が進化すると賢者になる」と言うのが的を射た真理だと、噛み締めたものです。

ホントにⅢは何から何まで傑作です!!

すみません!全然話がそれました!

話を元に戻します。 在来工法において、梁の接続は「腰掛け蟻継ぎ」で行うのが一般的です。

こちらが前回紹介した「腰掛け蟻継ぎオス」

▶︎「腰掛け蟻継ぎ」の作り方を紹介した記事はこちら

我々の作る家は、「ポスト&ビーム工法」と言うログハウスの一種なので、梁の接続にはログハウス独自の「ノッチ」と言う継ぎ手を使います。

ノッチには、上か下に重ね合わせる継ぎ手の「ハーフノッチ」と、上下から挟み込まれる継ぎ手の「フルノッチ」があります。

上と下から挟み込むAパーツとBパーツにあたる「ハーフノッチ」

コア戦闘機のように上下から挟み込まれる「フルノッチ」

合体!こいつ、動くぞ!すごい…オヤジが熱中するわけだ!

ノッチで組んだ丸太材は、あの”白いヤツ”が合体するようにガッチリつながれます。

その継ぎ手の強固さは、緑ザコのマシンガンなどでは効かないくらいなのです!

「梁」にレベルアップ!加工3ステップをご紹介!

では、早速「ハーフノッチ」と「フルノッチ」の作り方を見ていきましょう!

1.「ハーフノッチ」を作る
2.「フルノッチ」を作る
3.「背割れ(セワレ)」を入れ、磨き上げる

では具体的にやり方を見ていきましょう。

1.「ハーフノッチ」を作る

ノッチの墨

墨が丸太の上下面どちらかについていたらハーフノッチの墨、上下両面についていたらフルノッチの墨となります。

丸ノコの切り込み深さを47mmに設定します。
我々の使うログ材は180mmの角材と想定して設計されているので、180mmの4分の1である45mmに、逃げ(余裕を持たす遊び部分)の2mmを足して、47mmとします。

クロスしている墨の、四隅から真ん中に向かって切っていきます。

四方向から中心に向かって切った線

両端の墨を切ります。

1cm間隔くらいで、切れ目を入れていきます。

インテリアバールという小型のバールを切れ目に入れて、下面のつながっている部分をバリバリ折っていきます。

玄能(かなづち)で、木片を叩き落していきます。

こんな感じにデコボコした面ができる

ここで新たなる武器、チェーンソーの登場です!

それは、大工道具と言うには あまりにも大きすぎた。 大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた、それは正にチェーンソーだった… 。

そんなチェーンソーを”そうび”して、繊細なタッチで使っていくのです。
柔らかいタッチでデコボコをならしたら、左右に振って少しずつ削って面を出していきます。

これくらいの面ができれば上出来!

仕上げは、ノミで面を削り出します。

できた面に、専用の治具(じぐ:ノッチの大きさに切ってある透明な板)を使って、芯墨(しんずみ:丸太の中心線)を書きます。

芯墨を垂直に下ろして、つなぎ合わせます。

治具の芯と、ノッチの芯墨を合わせて、両端に墨線を入れます。

★実はここまでの工程は、フルノッチも同じ

側面の斜めにできた切れ込みを、側面の芯墨まで手ノコで切ります。

側面の芯は、上から90mmの所

丸太材を横にして、先ほど入れた墨線の所まで、丸ノコの刃を出します。

横面の芯墨に沿って切れ込みを入れます。

曲面に対して丸ノコを使うのは、非常に難しい高等技術!

斜めの手ノコの切れ目から5mmくらい内側に、側面の芯墨の所までチェーンソーで切れ目を入れます。

四隅にも同じく切れ目を入れます。

切れ目にノミを入れて、墨の内側を切り落としていきます。

手ノコの切り残し部分と、墨線に沿ってきれいに削り取り、仕上げていきます。

ノッチの各所が垂直になっているか確認します。

ノッチに治具をあててみて、はみ出していないか確認します。

各所、面を取ったら完成です。

2.「フルノッチ」を作る

続いてフルノッチも行ってみましょう!
前述しましたが、下記写真までの工程は、ハーフノッチと同じなので、この続きからいきます。

ここまでの加工を、裏面も行います。
両面仕上がったら、手ノコで切った斜めの部分から5㎜くらいの所に、チェーンソーで切れ目を、下まで入れる。

四隅も同じように切れ目を入れる。

丸太材を横にして、墨線の位置まで、2cmくらいの間隔でチェーンソーで切れ目を入れる。

インテリアバールで木片をバリバリはずしていきます。

ハーフノッチでやったように、チェーンソーで面を出してきます。

ここでも優しいタッチで左右に動かし削っていく。

斜めに残った部分を、チェーンソーで削り取ります。

各所、ノミできれいに面を出して仕上げます。

削り出した部分が垂直になっているか確認します。

ノッチに治具をあててみて、はみ出していないか確認します。

各所、面を取ったら完成です。

3.「背割れ(セワレ)」を入れ、磨き上げる

木材の割れを集中させるために入れる切れ目=「背割れ」を入れ、仕上げに丸太の表面を磨き上げます。

背割れ

仕上げ磨き

こちらは、棟木の作り方の回で紹介したので割愛いたします。

▶︎背割れと磨きについて紹介した記事はこちら

これで梁の完成です!

▼参考動画:千葉県長柄町で一緒にセルフビルド中のヨムーノDIY女子部も「梁」作りに挑戦しています。

今回は、ここまでで
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次回は、「母屋(もや)・桁(けた)を作る」へ
To Be Continued

この記事を書いた人
NPO法人ふるさとネッツ理事/セルフビルドプロデューサー/木こり/移住定住コーディネータ―/長柄町TVディレクター
木こりの源

2017年より、NPO法人ふるさとネッツの理事となり、荒廃林を自ら整備して排出された杉材を使いログハウスをセルフビルド。 このノウハウを活かして、現在は東京と千葉を往復する2拠点生活を実践しながら、「セルフビルドサポーター」の資格制度を作り、多くの地方がめざす地域創生を「林業」から実現する日本初のモデルとなるべく邁進中。

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