セルフビルドの醍醐味ってコレでしょ!「柱をつくる」DIY加工の3ステップ全公開【連載】「セルフビルド冒険の書Vol.10」@千葉県長柄町

  • 2023年07月03日更新

こんにちは、木こりの源です。

木こりでも大工でもなかった”レベル1のど素人”が、木を伐って、加工して、家を建てる!と無謀にやり始めたものだから、そりゃ大変!
師匠に怒られ、最初はボッチで、やっとできた仲間にはなじられ、失敗を積み重ね…。 5年かけてやっと完成するまでの、貴重なノウハウをここに記していきます。

⇨連載を最初から読むならこちら.

連載10回目は、伐って製材した木の仲間をレベルアップさせる”加工”の第2弾、「柱の作り方」を見ていきましょう。

こんにちは、木こりの源です。

みんなご存じ「柱」の登場です!

家の構造材の中で、1番有名なのが柱ではないでしょうか?

建物の屋根の重みを支える構造材です。
そう!あの「強くなれる理由を知ってる」エース達の呼び名もここから来ていますね!

あ、クエストじゃないネタ、失礼しました。つい流行りに乗っかりました…。

「柱」の役割は”僧侶”!?家づくりに絶対必要な存在

有名な「御柱祭」等では、柱は”神が宿るもの”とされています。柱は神様を数える際に、「一柱(ひとはしら)、二柱(ふたはしら)」のように使われたそうです。
また、柱を立てるという行為は、”神のよりどころを作る”と言うことだったという説もあります。

まさに柱は、神に仕える「僧侶」と言えるのです。
僧侶は、時には仲間を癒やし、時には攻撃の助けをするなど、長い旅には絶対必要となる、パーティの支えとなる存在です。
洞窟や塔で僧侶のMPが無くなったとき、筆舌に尽くしがたい絶望感にさいなまれた人は多かったはず(笑)。

リフォームで柱を立てることはほぼありませんので、柱を立てることはセルフビルドの醍醐味と言っても過言ではありません。

地面から天に向かって垂直方向にのびる柱を見たとき、これからここに家が建つことをしみじみと実感します。

そりゃ、松本師匠も”仁王立ち”なのです!

そんな神に仕える僧侶、「柱」の資質とは?

柱に選ばれるのはどんな木か、見ていきましょう。

資質1.「長い丸太」じゃなくていい!

日本の木造建築で一般的に用いられる在来工法では、柱は角材を使います。
その在来工法で2階建て等を作る際、2階まで通す柱を立てるときに6メートルの長い角材を使うことはありますが、我々の建てているログハウスは、ロフト付きの平屋が主。柱は3メートル以下となります。

資質2.「太さと形」は使う場所によって使い分ける

家の四隅に使う柱は扇型、壁に挟まれた柱は太鼓型、三方が壁に接する柱は三面製材、と形を使い分けます。

▶︎伐採した木を扇形・太鼓型・三面などに加工する「製材」を紹介した記事はこちら

この3種類は全て、太い方が直径26cmから、細い方が直径24cm程度の丸太を使います。

壁に接しない柱は、一面製材の丸太を使います。
こちらは、直径24cmから直径22cmくらいと、少し細めの柱でも大丈夫です。

少し細めと言っても、在来工法で使う10.5cm角材の柱とは比べ物にならないくらい太いものです。
柱は、主に縦方向に力がかかるので、細めでも十分に上下の建材を支える役割を果たしてくれます。

柱には様々な形状の丸太を使う

では、作り方に移りましょう!

「柱」にレベルアップ!加工3ステップをご紹介!

柱の加工から、電動工具を本格的に使い始めます。
丸ノコで墨(下書き線)通りに切る練習をしてから、挑みましょう!

柱の加工3ステップはこちら!

1.「柱ホゾ」のオスを作る
2.「蟻継ぎ(ありつぎ)」のメスを作る
3.「背割れ(セワレ)」を入れ、磨き上げる

では具体的にやり方を見て行きましょう。

柱ホゾの墨線

加工1.「柱ホゾ」のオスを作る

柱ホゾのオス、つまりホゾ(木材と木材の接合部分)の凸部分を作るには、いきなり丸ノコの難しい使い方が始まります。
メーカーさん正規の使い方ではないので、絶対怒られる使い方ですが、3メートル近くある柱を立て、切り面を地面と水平にして加工する訳にはいかないので、丸ノコを縦に使わないと加工は出来ないのです… 。

剣を振らないとモンスターが倒せないようなもの。 慣れるまで大変ですが、初心者でセルフビルドに挑戦している「ヨムーノDIY女子部」(活動の様子はこちら)全員がマスター出来たので、努力すれば誰でも出来るようになる!!…かな!?

丸ノコの縦使いは、レベルアップさせてから行いましょう!

丸ノコの縦使い

丸ノコには、刃の長さを調節する「切り込み調節レバー」がついており、これで切る深さに合わせて調節します。

今回は刃を最大に出します。

出力最大!

※電源コード式丸ノコを使用する場合、刃の角度や長さを調節するときは、危険なので必ず電源を抜いてください。

丸ノコを縦に使って、丸太の断面に書いてある縦の墨線と横の墨線それぞれ2本を切っていきます。

縦切りッ!

横切りッ!

こんな感じに切ります。

丸ノコを横使いするのは腕力がいるので、少々手間がかかりますが丸太を90度回転させて縦切りしても構いません。
剣も丸ノコも、縦切り横切りができると仕事のスピードが上がるんです!

木材の上の墨線を、丸ノコで真ん中まで切ります、反対側からも同様に切り込みます。

丸ノコで入れた切れ残りを「手ノコ」で切ります。

「げんのう」で叩いて、木片を落とします。

木材を180 度回転させ、同様に加工します。

木材を90 度回転させ、つなぎ目を手ノコで切り、げんのうで叩いて木片をはずします。

木材を180 度回転させ、同様に加工します。

ホゾの根元に切りきれていない木片が残っている場合は、ノミできれいに切り取っていきます。

ホゾのメスに入りやすいようにするため、ホゾの先の角、四辺を落として完成です。

加工2.「蟻継ぎ(ありつぎ)」のメスを作る

蟻継ぎも、木材の接合方法の一つです。

蟻継ぎメスの墨

丸ノコの刃の傾斜角度を調節する「角度調整ネジ」で、切り込む角度を調整します。

あらかじめ刃の角度に合わせて作った木材片「治具(じぐ)」を、丸ノコの刃に当て角度を調節します。

垂直を測る定規「スコヤ」を使い、刃の長さを「3cm」に合わせます。

スコヤで刃の長さを3 ㎝に調整

ホゾを掘りやすくするために、墨線の内側に丸ノコで細かく切れ目を入れます。

この程度細かく切れ目を入れたら完了

墨の右側は丸ノコで切れない角度となるので、手ノコで切れ目を入れていきます。

こんな感じになったら、ノミへ”そうび”変更

ホゾの突き当たりの墨線の真上に、木の繊維がめくれないように、ノミで切り込みを入れます。

ノミの刃裏(平なほう)を上にして、削っていきます。

丸ノコの刃が入らない、奥の切れ残りや、墨付け線の右サイドは、ノミで少しずつ角度をつけて削っていきます。

正確な角度か、高さが均一かを確認し完成です。

3.「背割れ(セワレ)」を入れ、磨き上げる

この工程は、前回の「棟木の作り方」を紹介した記事で詳細に書いたので割愛して、今回は背割れを入れるときの、丸ノコ使いのテクニックをご紹介します。
この切り方をマスターすれば、ザコモンスターは一撃なのです!

▶︎「棟木の作り方」を紹介した記事はこちら

DIYで丸ノコを使うと言えば、合板や角材をまっすぐ切るのが一般的です。
しかし、丸太を切るときは、曲面を切ったり材の途中から切ったりする事が多々あります。
そんな時に邪魔になるのが、丸ノコの刃の安全カバーです。
安全カバーは刃がむき出しにならないようバネでガードする仕組みになっており、切るとき以外は常にガードされた状態になります。

合板や角材のように、四角い材を端から切る場合は、安全カバーが自動的に上がって行くように設計されている、ありがたい仕様なのです!

しかし、曲面や材の途中から切る場合は、自動的に上がらないのです…。
そんな時は、強制的にカバーを上げてやる必要があるので、我々は、カバーを人差し指で押さえながら切るテクニックを使います。

中指の辺りを支点に、紙の裁断機の様なイメージで歯を下ろしていく。

セルフビルドで様々な形の木材を加工するには、この切り方が欠かせないのです!
マスターすれば、色々な形状の木材を加工する事ができちゃいます。

※この記事の丸ノコの利用方法は、危険を伴う切り方ですので、よく練習して自己責任で実践してください。

これで、柱の完成となります。

今回は、ここまでで
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次回は、「土台を作る」へ
To Be Continued

この記事を書いた人
NPO法人ふるさとネッツ理事/セルフビルドプロデューサー/木こり/移住定住コーディネータ―/長柄町TVディレクター
木こりの源

2017年より、NPO法人ふるさとネッツの理事となり、荒廃林を自ら整備して排出された杉材を使いログハウスをセルフビルド。 このノウハウを活かして、現在は東京と千葉を往復する2拠点生活を実践しながら、「セルフビルドサポーター」の資格制度を作り、多くの地方がめざす地域創生を「林業」から実現する日本初のモデルとなるべく邁進中。

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